コーヒーのエビデンス
コーヒーに入っている成分じゃなくて『コーヒー』に関するエビデンスの話です。
カフェインには〇〇作用があり、とても健康に良い。
コーヒーに関する話題では必ず登場する謳い文句だと思います。確かにカフェインのパワーってすごいですよね。たった数グラムの物質があんだけの効果を生み出すわけですから。
が、ここでいくつか気をつけなきゃいかん事があります。
カフェインがスゴイ! って話題が先行するなら、それは『コーヒー』じゃなくて『カフェイン』を摂取しましょうって話になります。世の中にはたくさんの『カフェインサプリ』が販売されています。純粋なカフェインだったり、ちょっとした栄養素もプラスしたり、まあ色々ありますが、カフェインがスゴイという話なら、コーヒーではなくそれらのサプリを購入したほうがよろしいでしょう。
が、今回紹介するのはカフェインのすごさではなく『コーヒーのすごさ』です。もちろん、カフェインもコーヒーの大きな武器ではありますけどね。
ただ、前提としてカフェインは中毒量にすぐ達しやすいのでそれだけはご注意ください。このヘンは農林水産省の注意喚起のページがありますので紹介しておきましょうか。カフェイン含有量が多いドリンクを多用した結果、中毒死してしまった例だってあります。
農林水産省:カフェインの過剰摂取について
ttps://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
それでは、コーヒーに関する素晴らしい話、はじめていきましょう。
人間が古くから用いてきた嗜好品だけあって、コーヒーに関しては多くのエビデンスが存在します。同じエビデンスでも、その信用性にはレベルがありまして、コーヒーは比較的高い水準の研究がされているのです。結果、コーヒーにはいくつもの『作用』があることがわかってきました。
ひとことで作用と言っても、早く効くヤツとながーく効いてくるヤツでワケられています。
・急性作用 = コーヒーを飲んですぐ表れる作用
・慢性作用 = コーヒーを長期間飲み続けることで表れる作用
よく言われる急性作用として、カフェインの覚醒作用がありますね。夜間ドライバーを対象とした実験では、なんと仮眠30分以上の効果が出たという研究結果さえあります。
ちなみに、眠りたい時にコーヒーを飲むと、これは『不眠をもたらす悪い作用』になります。覚醒作用というのは、必ずしも良い変化と捉えないでください。良いか悪いかというのは人間が勝手に決めつけるモノでしかありません。コーヒーを飲むことで、カフェインを摂取することでどのような変化が起きるのか? ――という見方をしていきましょう。
カフェインの適度な摂取量は、コーヒー1杯に含まれる程度です。量として以下を目安にしましょう。
・150mlのコーヒー
・60mlのカフェイン
コーヒーと共に語られガチなカフェインですが、実は『玉露』のほうがメチャクチャ含有量が多いです。
・60mlの玉露
・160mlのカフェイン
体重60kgに対し、カフェインを『10g』摂取したあたりから危険信号になります。接種しすぎると感覚が敏感になったり、不安や焦燥感にかられたり、胃痛や嘔吐などの諸症状が表れたりしますので、くれぐれもカフェインの過剰摂取にはご注意ください。
カフェインにだけスポットを当てましたが、コーヒーには他にも複数の急性作用を産む成分が含まれています。
胃液の分泌を促進し、消化を促す急性作用
・カフェイン
・M-アルカノイル-5-ヒドロキシトリプタミド
・N-メチルピリジニウム
※場合により胃粘膜障害、吐き気などをもたらす
血中コレステロール上昇
・カフェストール
・カーウェオール
まあ、テストには出ませんから覚える必要はないです。コーヒーは消化を助けつつも胃のむかつきをもたらしたり、血中コレステロール値を上昇させたりします。コレステロールの分解を防ぐ両者の活躍(?)により、血中にコレステロールが長く留まることになるんですね。
ちなみに、血中コレステロールを上昇させるこれらの物質は『蒸出し式・プレス式』など油成分が増える入れ方で増えやすいようです。急性作用なのですぐ元に戻りますが、ちょっとした変化でも気にするのであれば、このヘンを考慮すると良いでしょう。
長いことコーヒーを愛飲している方、いらっしゃいますか? 短期的であっても、妊婦が高濃度のカフェインを摂取した場合、胎児の発育を阻害する可能性があるようです。上記農林水産省のページを参照してみてください。さらに、大量に長期間コーヒーを飲み続けていると、そのうち『カフェイン離脱』と呼ばれるのっぴきならない症状が表れます。カフェインの項目で書いた不安などの諸症状ですね。
そのほか、コーヒーには各種疾患のリスクを増減させる影響があります。良い影響ばかりじゃない、ということです。以下に少しだけ紹介しましょう。
リスク低下
・2型糖尿病
・肝がん
・パーキンソン病
・アルツハイマー、認知症
リスク上昇
・膀胱がん
・緑内障
がん対策研究所 予防関連プロジェクト
ttps://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3527.html
国立がん研究センター
ttps://www.ncc.go.jp/jp/cis/divisions/info/project/pub-pt-lib/20161204/20161204_01.pdf
これらのエビデンスは現在も積み上げられ続けており、今後新たな研究結果が発表されるかもしれません。ひとつ言えることは、コーヒーを活用する時『これらのデータを鑑みて、アナタがどのような付き合い方をするか』だと思います。コーヒーを飲んだ時、どの程度の効果を実感しているか? 実際にどの程度作業効率があが上がったり、集中力が増えたりなどの良い影響が表れたか、そういったことを確かめながら、うまくコーヒーという嗜好品と付き合っていきましょう。
カフェイン離脱(依存)は、コーヒーを常飲している人にとって気をつけなければならない症状です。最後の摂取から半日~2日以内に頭痛や集中力の低下などの違和感を覚えたら、もしかしたら離脱状態になっているかもしれません。
一種の依存状態ですが、薬物依存症レベルの「相手を○してでも手に入れる!」みたいなアレはなく、自制心で充分なんとかできるレベルです。症状も一週間くらい経てば無くなりますが、できることなら頭痛や吐き気などは味わいたくないですよね?
コーヒーは1度に1杯、せいぜい150~200ml摂取する程度に留めましょう。
コーヒーの理想的な『一日の摂取量』はどのくらいなのか? ――それは、卑怯な書き方をすればアナタ次第と表現することになるでしょう。ざっくばらんに、上のような諸症状が出なけりゃグビグビいっちゃってもいいんじゃね? 的な考え方です。
精神的、肉体的に負担がない状態を維持できるなら、それは『適量』と言えるでしょう。アナタにはアナタの適量がある。ぜひ、アナタが好きなコーヒーをごっくんごっくん飲んで頂き、アナタならではの適量を開発してみてはいかがでしょうか?
もちろん、ずぅ~っと頭痛がしてるのに「なんともないぜ!」とか言うのは無しですよ? ――アナタの心身の健康を祈っています。
インスタント、ドリップ、抽出方法などにより成分が変化します。アナタの理想のコーヒーを探してみるのも良いでしょう。




