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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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アインシュタインの『光電効果』

アインシュタインと言えば『相対性理論』だよね。でも、彼はその他にもイロイロな発見をしているのですよ。


彼がどんな研究でノーベル賞を獲得したか、知ってますか?

 『光』ってなんなの? ――そう問われてすぐ「コレがそうです」と答えられる人は、おそらくいないでしょう。電磁波だよ、っていうのがもっともらしい回答ですが、電磁波をより詳しく説明するとなると、ちょっとした本レベルの内容になってしまいますね。


 『光』の正体に関しては、むかーしからイロイロな論説が繰り広げられてきました。太陽から発せられる光を人は『崇高な存在』と感じ、様々な宗教的思想に取り入れてきました。日本でも『天照大御神』さんが、太陽を司る神様を担当していますね。海外に目を向けてみれば、例えば『ラー』とか『アメン』とかイロイロあります。興味ある方はぜひググってみてください。


 長らく宗教的な思想のもと考えられてきた『光』ですが、科学の発展に伴い、夜の科学者たちは「光ってなんだべよ?」というテーマを、宗教的思想ではなく客観的事実として知りたくなってきました。で、たとえば「光の速度ってどんくらい?」的な謎を解明するために、『蝕』現象を利用して導こうとしてみたり、歯車と太陽で計測してみたりと様々な工夫を盛り込んできました。現代科学では、光速度を『299792458 m/s(約、秒速30万km)』と定められておりまして、1秒で地球を7周半くらいできちゃうという計算になります。


 さらに、かのアルベルト・アインシュタインさんが「光速は不変で、おまえらの速度が相対的に変化してるの確定だからよろしく」と申し、実はそれが正解らしいということで、えー理論的には光速より速い存在は無い、と思われます。実際には量子テレポーテーションとかイロイロ可能性はあるんだけど、光についてより深く書こうとすると文字数がアレなので、今回はここで端折っちゃいます。気になる方は『光速度不変の原理』をとっかかりとしてググってください。


 で、光にはもうひとつ大きな謎が歴史上ありまして、それは『光とは"粒子"なのか? それとも"波"なのか?』という問題。これね、歴史上ドンパチしまくった問題でして、みなさんご存知『ニュートン』さんや『ホイヘンス』さん、さらに『ヤング』さんや『マクスウェル』さんにだれかれと、まあたくさんの偉人たちが


「光は"粒子"だ!」

「いんや、光は"波"だろ!」

「エーテルが光を伝えてるんだよ!」

「粒子にしたほうがニュートン力学で説明できるんだよ!」

「二重スリット実験はどう説明すんだゴルァ!」

「電磁気力の伝達速度が光の速度とだいたい一緒なんだよ!」


 ――まあ、けっこうな論争が繰り広げられていました。こういうやりとりが300年くらい続いたのかな? で、19世紀に入って、やっぱり出てくるのはかの天才公園ベンチでのんびり物理学者『アルベルト・アインシュタイン』でございます。


 彼は、それまでの歴史で明らかになった『電磁波=光』という当時超有力だった説から考えを発展させ、「光などの"電磁波"は、それ自体が"量子"でできているんだぜ」という理論を発表したのです。


 当時はまだまだ賛否両論があった『原子説』をアインシュタインは信じ、ならば『気体が原子の集まりなら、光(電磁波)も、同じような"粒子"の集まりなんじゃね?』と考えたわけです。当時はほぼ『光=波』として認知されていた時代です。そりゃあもうアチコチから反発されたでしょう。が、アインシュタインはこの理論に絶対の自信をもっていたようです。その理由が、今回タイトルにあげた『光電効果』と深く関わってきており、アインシュタインはこの『光量子仮説・光電効果』により『1921年、ノーベル物理学賞』を受賞しています。


 前置きが長くなりすぎましたが、今回は光電効果について書いていきましょう。




 光電効果は『ある物質に光を当てた時、電子が放出される現象』のことです。当時実験を行っていた『ハインリヒ・ヘルツ』氏が偶然発見したモノで、以下のような現象が確認されました。


・2個の金属球の間に火花が散っている時

  片方の金属球に紫外線を当てると

  火花の明るさが増す


 言ってしまえば『光エネルギーを電子にぶつけたから、電子が飛び出た』ってことです。金属内部には、けっこうな数の『電子』が存在します。そいつらに必要なエネルギーを与えてあげれば、電子は金属からポンと飛び出すわけですね。で、光を強くすればするほど多くの電子が飛び出ていきました。


 この時光を『波』として考えると、飛び出す電子はどんだけエネルギーを強くしても『1つ』だけ飛び出します。波から受けたエネルギーをぜんぶひとつの電子が受け止め、たったひとつの高エネルギー電子が誕生する計算になるのです。


 が、実際の実験で得られた結果は以下の通りです。


金属に光を当て、そのエネルギー量を強くしたり、弱くしたりした結果

 ・飛び出す電子の個数が増えた(・・・・・・)

 ・飛び出す電子のエネルギーは不変(・・・・・・・・)


 つまり、光を『波』として考えると矛盾が生じるわけです。これを、光を『粒子』として考えたらどうでしょう?


 電磁波をより強くするってことは、電磁波を構成している光量子の『個数』を増やすことになります。そうすると、それだけ多くの電子に"体当たり"し、多くの電子を金属から脱出させることができます。


 さらに、エネルギーの大きさは『光量子の数』によって決まり、すべてのエネルギーがひとつの電子にぶち当たるなんてことはありません。つまり、飛び出す電子がもつエネルギーはすべて同じとなります。


 矛盾、ないね。


 ってことは『光=粒子』じゃね? と言いたくなりますが、コトはそう単純ではありません。光電効果の他『光量子』を説明できる理論はごく少数であり、その中には『光=波』として考えたほうがシックリくる理論もあるのです。


 ということで、アインシュタインは「光は"波と粒子"ってことでよくね?」という結論に達し、ここに『光は"波と粒子"両方の性質をもつ』という新たな説が生まれたのです。実際、光電効果は量子論の基礎的な理論になり、アインシュタインは『光電効果の法則の発見』を理由に、1921年のノーベル物理学賞を受賞しました。ほんと、マジで天才だよね。




 要約しちゃえば難しい話ではありません。ただ単に『光電効果は、光が"粒子"だと考えればスムーズに説明できる』から、光は波と粒子両方の性質を持つと考えられるようになった、というだけです。その後の実験で実証もされたので、晴れて光は両方の性質をもつことが"常識"となりました。


 そんなこんなで、現代では『光』をはじめ、多くの量子が『波と粒子、両方の性質をもつ』と認識されています。そんなワケワカメな法則が基礎なんですから、ほんっと量子力学ってこえーよなぁ。


 肉眼では決して見ることができないので、金属に光を当てて「オレは電子を見るぞ!」とか張り切るのはやめましょう。とはいえ、その探究心は驚嘆に値します。そんなに量子の世界が気になっちゃうのなら、ぜひぜひ自ら量子力学の沼に降り立って、ズブズブに浸ってみてください。きっと、この世の法則すべてを信じられなくなるでしょう。


 アナタの知的好奇心が満たされる世の中に、乾杯。

波か粒子かでドンパチやってたのに、急に第三勢力が「どっちもだよ」と抜かして、しかもそれが正しかったとか、もうアレだね、魏呉蜀がドンパチやってたところを晋がぜんぶかっさらっちゃった感あるよね。


ない?

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