【心理学】噂は事実になる
予言は当たる。周囲を行動させられればね。
世の中には根も葉もない噂話がたくさんありますね。学校に通ってる方、普段の何気ない会話で「~らしいよ」という言葉を一日に何度使っているでしょう?
らしい話は、だいたい噂レベルでしかありません。事実はまったく別モノか、当たっていたとしても、真実とは大きくかけ離れていたものとなっているでしょう。人間、もともとそういった噂話がダイスキな生き物です。噂に尾ひれがついて壮大な一大巨編になっちゃうことも、まあ仕方ないのかもしれませんね。
とはいえ、場合によっては単なる噂話じゃ済まなくなるパターンもあります。今回は噂話が真実になる、そういった心理学的なお話をしていきましょう。
特に根拠なく「オレはビッグになる!」と思ってらっしゃる方はいますか? ――ああ、決してバカにしているわけではありません。っていうか、逆に『ほんとうにビッグになる可能性がある』とさえ思っています。なんと驚き、心理学ではこれが理論的に説明できちゃったりするんですよね。
予言されたことの影響で、実際に予言通りになる。これを心理学では予言の自己成就と言います。
これはアメリカの社会心理学者『ロバート・キング・マートン(robert king merton)』氏により、1948年に発表された理論です。予言、たとえば『半年後に〇〇銀行が経営破綻する!』という予言があったとして、それが誤った予言であっても、それを信じる人々の行動により、それが事実になってしまうという社会心理現象です。
予言というか、まあ予言の部分を『噂』という言葉に書き換えても良いでしょう。そのほうが理解が早いと思います。
実際、上記のような予言により、世界恐慌時代のアメリカの銀行が倒産する事態にまで発展した例があります。っていうか、日本でも『昭和恐慌』ってのがありました。中学生のみなさんは習ったかな? ――その時代に『東京渡辺銀行』も同じ道を歩むことになりました。ほかにもたくさんの『〇〇銀行』が同じ憂き目にあっておられているので、銀行経営者はなによりも『信用』を重視するわけですね。
銀行がどうやって運営が成り立っているのかは、各自でググって調べてください。
他にも例をご紹介。学生さんにとっては『受験ノイローゼ』ってワードのほうがビクッとなるのでしょうかね?
えー、これは『受験に失敗する!』という、自らへの根も葉もない予言により、ほんとうに受験に失敗してしまう現象です。
受験に失敗したらどうしよう? もし落ちてしまったら? ――そういった『不安』に苛まれ、勉強に集中できず時間だけが過ぎていき、結局満足な受験勉強ができずに、本当に受験に失敗してしまうのです。
そうならないためにはどうすればいいか? 簡単なことです。不安を感じても、気分が良い時でも、雨風ヤリがふろうとも、とにかく『受験勉強する』ことです。不安にかられてウジウジする暇があるなら勉強しましょう。気分良くヒャッハーしたい時は勉強しましょう。雨が降って外出できない時は勉強しましょう。槍が降ったら? そんな時でも勉強しましょう。
受験合格という目標があるのなら、その目標を達成するためどのような手段があるか? を見据え、しっかりと『行動』する。たったこれだけのことで良いのです。あるいは、予言の自己成就を逆に利用して「自分は受験勉強に成功する!」という予言をしちゃうのも良いかもしれませんね。
予言の自己成就。この現象が起こる理由は『社会がその"予言"に対し、行動してしまう』ことによります。予言と行動を以下のようにまとめましょう。
・予言:〇〇銀行が破綻する
・行動:銀行倒産への不安感が募り、銀行の「運営は順調です」という発表を信用できなくなり、急いで銀行に預けた預金を引き落とそうとする
・予言:受験に失敗する
・行動:不安に苛まれ勉強する時間が減る
受験失敗の例は、その人本人だけの問題なので『その人自身』が行動を起こすだけで予言が成就します。銀行の例は、社会を大きく巻き込みより多くの人間が行動に移す必要があります。実現しにくいかと思いますが、歴史上この流れで破綻してしまった銀行は数知れずありますので、まあバカにはできない理論なんですよね。
自然界における『予言』、たとえば『〇〇彗星の軌道』などを予言(予測)するとき、予言に対応して彗星の軌道が変化したなんてことは有り得ませんよね? ――自然界では、結果が変化することなく、修正を強いられるのは予言の方です。
しかし、人間は『予言(予測)に対し、行動を変化させる生き物』でございます。人間は自分や他者の予言に対し行動を変化させてしまうので、結果的に予言通りの事象が起こってしまう場合があるのです。
上記のほかにも、アナタの身近には様々な『予言の自己成就』が存在します。たとえば、アナタが『自分は数学が得意だ』と予言していれば、数学が得意な頭脳になっていくかもしれません。学校で「今年の夏は水色のスカートが流行る!」という予言(噂)があれば、友だちは夏服を水色のスカートにコーディネートするかもしれません。
人間は社会を形成する動物ですもの。そういった周囲の予言、あるいは『ラベリング』はとても重要な要素なのですね。
これらの知識をどう活かすか、アナタのウデにかかっています。学習効率を上げるもよし、周囲に流されない人間として生きるもよし。なんだったら、これを機に様々な社会心理を勉強してみてはいかがでしょう? なかなかおもしろい話がたくさんありますよ?
アナタの人生に、ちょっとだけ面白いトリビアを提供できたでしょうか?
都合の良い予言ばっかってのも飽きるよねー。




