【栄養学】食物繊維ってなんだ? 商品表示から糖質量を測る
健康を取り扱う情報でたびたび見かける『食物繊維』という言葉。わかったつもりになってるけど、アナタは食物繊維の意味、本当に理解していますか?
注意:食物繊維ってなんだ? という疑問だけを解決したい方、先に本文の下のほうから読んどいてください。まずは『糖質の量を考えてみよう』コーナーからやっていきます。
スーパーで食品を購入する際、必ずついている表示があります。健康を気にしている方はご存知かもしれませんが、以下にかんたんな例をご紹介しましょう。
・エネルギー:〇〇kcal
・たんぱく質:〇〇g
・ 脂質:〇〇g
・ 炭水化物:〇〇g
・食塩相当量:〇〇g
まあ、こんな感じですかね。商品によってはもっと詳しく書かれていたり、書かれていなかったりします。これは『食品表示法』っていう法律で定められたもので、とりあえず『食べ物の安全性を確保したり、消費者に自主的かつ合理的な食品選択の機会を与えましょうね』っていう目的のもと施行されたものです。ここで法律についてまで書いちゃうと文字数がアレなので、とりあえず以下のサイトへアクセスしていただければ良いでしょう。食品表示法についてすべて書かれています。
デジタル庁、e-Gov法令検索:食品表示法
ttps://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=425AC0000000070
で、上記が代表的な栄養表示なのですが、三大栄養素のふたつ『たんぱく質・脂質』が書いてあるのに、なんで『糖質』が書かれてないんだっていう話になります。なんでだって話ですが、これは『炭水化物』のなかに糖質が含まれているからですね。以下のような表記を見たことはないでしょうか?
・炭水化物:〇〇g
うち糖質:〇〇g
炭水化物は『糖質 + 食物繊維』ですので、炭水化物の量を見れば、おおよそ糖質が含まれている量がわかります。さらに、食物繊維はゼロカロリーで、各栄養素のエネルギー量は以下のとおりですから、おのずと糖質の量も予測できるようになります。
・エネルギー(kcal) = 脂質×9 + 糖質×4 + タンパク質×4
↓↓
・糖質 = エネルギー(kcal) - (脂質×9 + タンパク質×4)
栄養素の単位はすべて『グラム(g)』でどうぞ。糖質量にこだわってる方は、これを参考にイロイロ商品を見比べてみてください。
うん、今回『食物繊維ってなんだ?』っていうテーマで書こうと思ったんだけど、なんかイロイロ書いちゃったなぁ。まあ、これは予備知識として受け止めておいてください。で、おそらく博識なみなさんは、三大栄養素の役割について充分ご存知だと思うので、今回はタイトルのように『食物繊維』について書いていこうと思います。
人間が食べ物を消化するメイン会場は『胃』です。口で咀嚼し、アミラーゼなどの酵素である程度分解した後、食道を通って広い広い酸性の海へと放り込みます。
胃液はpH値としても、とんでもない酸性度です。雑菌野郎もあらかたやっつけてくれますので、まあ『胃袋はとっても清潔な環境』と言っちゃえば言えちゃうんじゃないでしょうか?
ただしピロリ野郎、てめーは来るな。あとアニサキスもな。あいつ胃袋の環境がイヤだからって食い破ろうとするんだもの。人間だってね、胃酸が胃袋から漏れちゃったらタイヘンなんだよ!
まあ、胃液の強力さについては各自でググっていただくとして、そんな強靭な胃液でさえ消化できない物質もそれなりに存在します。食物繊維とは、そういった『難消化性成分』の総称だとイメージしてください。
『炭水化物 = 糖質 + 食物繊維』という扱いですが、これは食物繊維が『難消化性の多糖類』と言い換えることができるからです。書きすぎると情報過多になるので省略しますが、糖質ってのは『単糖類・少糖類・多糖類』と分けられています。人は単糖類になるまで分解した後吸収するのですが、そのなかでも消化しにくいぜっていう物質、つまり『難消化性多糖類』こそ食物繊維だっていうことです。
イロイロ端折ったけど、いちおう基本部分は抑えたってことにしましょう。じゃあ次は『大腸まで行った食物繊維』について書いていきましょう。
食物繊維ってのは『水に溶けるか否か』により、水溶性と不溶性の食物繊維に分かれます。この違いが大腸内で大きく影響するので覚えておいてください。
食物繊維は消化されず、そのまま大腸までたどり着きます。じゃあそのままう●ちになるんか? っていうとそうではなく、大腸にいる『腸内細菌』たちによって様々な物質へと代謝されるんですね。知識的な話ばかりだとタイクツさせると思うので、とりあえず『食物繊維を食うと、健康にどんな効果があるの?』っていう話を先にしちゃいましょうか。
解説入れるけど、めんどくさいなら『・』でくくったとこだけ知っときゃいいんじゃね?
・腸内環境を整える
――水溶性食物繊維は、腸内細菌により発酵され短鎖脂肪酸を生成します。こいつが腸内環境を酸性に傾け、乳酸菌やビフィズス菌を増やしてくれるのです。
――不溶性食物繊維は、大腸内のイロイロなモノを巻き込んで移動していきます。結果、便通が良くなったり、大腸内の良からぬ物質を排泄してくれたりして、うまくすれば発ガン性物質もゴッソリ持ってっちゃったりします。
・血糖値の急激な上昇を抑える
――水溶性食物繊維の粘性によって、胃から十二指腸への移動がスローペースになります。そうすると、でんぷんの消化吸収速度が抑えられるので、血糖値の急上昇や、それに伴うインスリン分泌までも抑えられるのです。
・コレステロールの吸収を抑制する
――水溶性食物繊維は、少腸内でコレステロールや胆汁酸を吸着してくれます。そうすると、それらの吸収を抑えた上で、排泄まで持っていってくれます。
・過食による肥満を防止する
――食物繊維は消化器官内部で膨張する性質があります。胃袋内での停滞時間も長いため、自然と満腹感を感じさせることができ、余計な間食を防ぐことにも繋がります。
ほかにもイロイロと良い効果があったりするけど、とりあえず代表的なものだけよろしくおねがいします。あ、そうそう。これ大事なことだから書かなきゃいけないわね。
食物繊維、便宜上『ゼロカロリー』と上で紹介しましたが、厳密に書くとすればゼロカロリーではありません。食物繊維自体のカロリーは? っていう意味ならゼロかもしれませんがね。
上記のとおり、食物繊維は小腸を通り過ぎ大腸までたどり着きますが、そこで『腸内細菌』による分解、発酵を受けます。そうすると、例として以下のような物質を作り出すことになります。
・短鎖脂肪酸
酪酸
プロピオン酸 etc...
・ガス
二酸化炭素
水素
メタン etc...
これらのうち『短鎖脂肪酸』は大腸にて吸収され、エネルギー源となります。なんで、食物繊維はだいたい以下のようなエネルギーを生産できると思ってください。
・水溶性食物繊維:1g = 2kcal
・不溶性食物繊維:1g = 1kcal
厚生労働省が「日本人はこんくらいの食事しといたほうがいいよ」っていう基準を設けた『日本人の食事摂取基準』っていうのがあります。とりあえず例として紹介するけど、以下のリンクに細かい年齢ごとの『目標値』が書かれているから、気になった方は参照してちょうだいな。
18 ~ 29歳(1日あたり)
男性:11.27g
女性:10.65g
厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2020年版)
ttps://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586559.pdf
これだけじゃアレだから「どんな食材がいいの?」っていう話もしましょう。だいたい以下の食べ物がおすすめですね。
・糸引き納豆
・小豆
・玄米
・ごぼう
・そのほか野菜類
・キノコ類
・のり(あまのり/干し)
・干した果物
・ニンニク
まあ、このへんは『食物繊維 食品』みたいなワードでググればたくさんでると思います。みなさんそれぞれの食材を調理して、たっぷり食物繊維をゲッチュしましょうね。
アナタの心身の健康を願っています。
食物繊維を食べて、大腸の"ゴミ"を根こそぎゴッソリ持っていっちゃいましょう!




