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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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オーケストラを聴こう

音楽は人生の共です。音楽に親しみながらの人生はきっと明るい彩りを与えてくれるでしょう。

 音楽を奏でるには、当然ながら『楽器』が必要となります。みなさんご存知の『ピアノ』や『リコーダー』、なんだったら『声』や『身体』だって立派な楽器です。足を地面に打ち鳴らす音。コーラスのため用いる「ラ」や「ア」などのロングトーン。時系列ごとに旋律を奏でるものすべては人間の感覚器官にて知覚され、音の連なりはその瞬間に『音楽』となります。


 前回まで心理学的なお話をしてきたのですが、今回はそんな素晴らしい音楽がどのような『楽器』から成り立っているのか? といったお話ができればと思います。たとえば『オーケストラ』ではどのような楽器が用いられているのか、なんて気になりませんか?




 以前にも『音楽とはなにか? どこからきたのか?』をはじめとした音楽に関するお話を投稿していたのですが、その折に少しだけ音楽の歴史について記述しました。楽器の起源とされるものとして、3万5000年前にハゲワシの骨に穴をうがったものを楽器として用いたとされる研究がありました。個人的にもうちょっと調べてみたところ、同じくドイツの洞窟で見つかったらしいマンモスの牙に穴をうがった楽器は、およそ4万年前のものであるそうです。


 ほんのり楽器の種類を紹介していきましょう。管楽器などはみなさんご存知ですね? 管のなかで空気を振動させ音を出す楽器のことです。まあ、管の形でない場合もあるので『吹奏楽器』なんて表現もありますが、部活などでは吹奏楽部と言いつつちゃっかり打楽器もあるのでそのへんは適当なのでしょう。


 勘違いしないでほしいのですが、金管楽器は"金属じゃない"です。木管楽器も"木で作られてるわけじゃない"です。木管と金管の違いは『唇の振動』で、金管楽器を演奏してる方は、隠れて唇をプルプルさせて音を出しています。そう考えると金管楽器奏者の苦労が見えてくるでしょう? 唇をプルプルさせてる吹奏楽部の友達には、こんどリップクリームでもお土産に持っていきましょう。


 弦楽器は名の通り『弦』を叩くとか擦るとかで音を出します。ピアノは内部処理で弦をたたくので弦楽器か打楽器っぽく見えますが、人間が叩いているのは鍵盤なので『鍵盤楽器』です、


 打楽器もイメージ通りですね。とにかく叩けば打楽器です。ただし木琴とかマリンバは音階が示された鍵盤を叩くので『鍵盤楽器』――あ、失礼。こっちは『鍵盤打楽器』でした。めんどくせえなんて思わないでください。わたしも思ってますけど。


 適当にご紹介しましたけど、実は楽器の分類ってその筋の世界ではもっと細かい分類があります。『ザックス=ホルンボステル分類』なんていうのがありますが、詳しく知りたい方は『楽器分類学』で検索してみてください。




 現代の音楽は、だいたいが西洋の形式をもじったものです。もちろん楽譜も西洋のそれに習って作られておりまして、現代音楽は総じて西洋の強い影響を受けています。オーケストラの歴史はヨーロッパの教会音楽から発展していきまずオペラの伴奏の地位からスタートしたようです。バイオリンなどの弦楽器の合奏と管楽器が合体してオペラの修飾として利用されたんですね。


 で、オペラですからめちゃくちゃ広いコンサートホールでやります。だから楽器が火力不足ではいけませんので演奏者を増やす必要がありますよね? 歴史の中で新たに生まれる楽器もありますから、それらをうまく取り入れて規模を大きくしていった結果管楽器の種類が増えていき、時にはバスドラム、シンバルなどの打楽器やピアノなどの鍵盤楽器も取り入れられるようになります。


 当時の作曲家たちは現代でいう『著作権』を主張できない立場にありました。作曲家は貴族の援助を受け作曲し、作り上げた曲はその貴族のものとされていたようです。それは1900年代に登場した著作権の概念によって覆ることになりますが、それまでの作曲家はあくまでも貴族のために曲を作っていました。ほか、どんな事情があるのか定かではありませんが、彼らが作曲したものの多くは『〇〇のための~』みたいな題名がありますね。『2つのヴァイオリンのための協奏曲』とか『クラリネットのための第1狂詩曲』とか。まあなんか練習用に作ってくれ、みたいな要望があったんでない?


 次は具体的なオーケストラの配置を見ていきましょうか。




 オペラの引き立て役、的なアレからはじまった合奏団。現在は単体で利用されたくさんのオーケストラを想定した楽曲が発表されています。


 観客席を隔てて最前列。中央に位置するのは『指揮者』です。文字通り楽曲に関する指示を各奏者に送る人ですが、プロの演奏家にそんなのいるのか? って気になる方もいるでしょう。これの答えは前回に書いておりますが、ざっくり言うと『人間の演奏は機械とはぜんぜん違う』です。違いのわかる大人になりたい? じゃあ指揮者によって音楽が変わるのを『感じて』ください。


 指揮者は奏者に指示を送る都合上、客集に対し背を向ける格好となります。客に背を向けた指揮者が左手に見るのは大勢の『ヴァイオリン』奏者たち。16世紀に北イタリアで誕生したこの楽器は、美しい音色と豊かな表現力で、主に楽曲の主軸と高音部分を担当します。弦楽器の半分を占めるヴァイオリンは、まさにオーケストラの主役と言っても過言ではないでしょう。


 右手前方には『チェロ』、後方には『ヴィオラ』が控えております。どちらもヴァイオリンより1オクターブほど低い音域をカバーし、曲に厚みと深みをもたせます。ふたつの楽器の後方には最も低い音域を担当する『コントラバス』が位置します。デカイので座っての演奏になります。ジャンルが異なりますが、あるいは立ちながら指で弦を弾くスタイルもありです。


 これら弦楽器の後方、指揮者はそこに『管楽器』のみなさまを確認できます。おおむね指揮者左には『フルート・ピッコロ・クラリネット』の順番で、右側は『オーボエ・ファゴット・ホルン』の順番に位置するようです。その後方に金管楽器の『トランペット・トロンボーン・チューバ』が立ちます。ホルンはフルートらのさらに左にも位置しており、そこが本来の立ち位置のようですね。どの楽器も総じて重低音のものは後方に位置しています。低い音のほうがよく伝わるという性質のためでしょう。


 鍵盤楽器が登場するときは『ヴァイオリン』の後方である場合が多いようです。ハープ、ピアノ、マリンバ、シンバル、グロッケンとまあ暇ありませんが、それらはそこに詰め込みます。打楽器はこれらの楽器のさらに後方に位置しており、打楽器ならではのパワフルさで周囲の音を消し去ってしまわないよう工夫されているようです。


 打楽器代表は『ティンパニ』です。デカイ鍋型の胴に皮を張るのですが、その張り具合で音の高さを調整することができるステキな楽器です。打楽器は操作の単純生も相まってか、ひとりの奏者が複数の打楽器を担当する場合が多いようです。アルゼンチン生まれの作曲家『マウリシオ・ラウル・カーゲル』さんは、ティンパニ奏者に恨みでもあったのか『曲の最後にティンパニに頭をつっこんで楽器を破壊する』なんつー指示を楽譜に書きつけました。この方はほかにもイロイロと個性的(意味深)な曲を作曲しているので、興味ある方はいちど調べてみてください。ほんとイロイロやってますから。




 なんか最後は作曲者の紹介みたいな形になってしまいましたね。演奏を聴く時楽器の並びだとか、どういう部分を担当するなんて意図を理解しつつ聴いていると、また違った響きに聞こえてくると思います。動画で演奏を聴いてみるのも良し、なんだったらアナタが楽器に挑戦してみてもいいんですよ?


 音楽は人生の共。みなさんの生活に音の連なりがあらんことを。

指揮者がぶっ倒れても演奏を続ける演奏家。どよめく聴衆。さあどうする?

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