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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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演奏者の"心"と、私個人の今後の予定

演奏家はただ楽譜を覚えればいいってものじゃない。技術を磨いて自分だけの"味"をクリエイトしてこそのプロなんだ! とド素人が申しております。

注:この内容は、同日わたしが『犬物語』の名で『ノベルアップ+』に投稿した内容と同一となっております。




 上野学園大学音楽学部特任教授である『星野悦子』氏は、音楽心理学について網羅的に記された『教科書』を意識しつつ、多数の音楽心理学の研究をしている学者らの著を編集し『音楽心理学入門』を作った。文字通り、大学で教科書としての利用に耐えつつも、一般販売され多くの人にもとっつきやすそうな文体で物事を記している。科学的根拠があいまいなものに関しては記述を控え、現時点で解明されている事実を区別してあるのでここで『〇〇は〇〇だよ』と断定的に書かれている内容は信用にて良い内容だろう。これまでの音楽心理学理論や最新の脳科学を織り交ぜた研究もあり、まさに『音楽心理学の入門書』といった感じだ。


 あ、宣伝じゃないです。個人的な感想ですよ。心理学のや音楽の基礎を知らない方がいきなり読むと「なんじゃそりゃ?」ってなりますのでまずは心理学の入門書とか音楽の基本的な記号とかアレコレを知った上でお読みください。


 今回はこの本を参考にしつつ、わたしなりの解釈や知識を用いて書いていきます。音楽は聴くことでとても良い影響をもらうことができますが、それは『演奏者』とて同じこと。楽器を弾く、叩く、歌う、合唱するなどさまざまな方法で『演奏』する人間の脳は、いったいどんな化学反応が起きているのでしょうか?




 まず、人間は『音』と『音楽』を区別しています。音楽はハーバード大学心理学教授の『ハワード・ガードナー』氏が提唱する『MI理論』などでもわかるように、人間の知能的に認知される現象です。認知する際、その対象をある程度のまとまりとして認識する『ゲシュタルト心理学』の概念がモロにありますし、経験や体験を通して生じたスキーマからズレた音楽には大きな違和感を覚える場合もあるでしょう。それらはアナタがちゃんとその音を『音楽』として認知している証拠です。音楽を聴いてて違和感を覚えた場合、アナタの中にはその音楽の「次はこういう旋律がくる」という無意識の"流れ"があり、それが裏切られた証拠とも言えます。新しい刺激に出会えてラッキーとでも考えておいてください。


 演奏家はプロですから、楽譜に描かれた『作曲者』の意図を汲んで自らの解釈に乗せつつ演奏する必要があります。勘違いしないでほしいのですが、楽譜にはわりと『あいまいな部分』が多いです。速度を示す記号なんかは『早足の気分で』とか『跳ねるように』みたいなわりと適当な指示や、ヘタすると演奏家に丸投げしちゃうレベルの自由(?)な曲もあったりします。それらを意識して演奏する、または指揮者がそれらを先導して他者へ伝える。こういった『作曲家や識者とのコミュニケーション』が演奏家には必要だったりします。


 さらに、演奏者は表現を通して聴衆に伝えるわけですから、ここでも『演奏家と聴衆間のコミュニケーション』が発生します。なんという中間管理職。っとうこともあり、楽器の演奏は人それぞれなので、たとえば「〇〇の演奏はすばらしい」とか「〇〇の演奏は少々堅苦しい」みたいな評価も、わりと当たってる節があるのですよ。同じ曲でも演奏家ごとに『ゆらぎ』が異なるので……。


 ゆらぎ。音楽を演奏している時どうしたって、人間の運動、感覚などの能力ではいくら研鑽を積んだとして『完璧に0.000...秒の狂いもなく』演奏できるわけではありません。そういった"指示通りの完璧な演奏"はもっぱら機械の専門ですね。しかし機械には『味』を感じないという方、多いのではないでしょうか?


 実は、それこそが『人間の演奏との違い』なのです。機械に任せれば正確無比な演奏が可能ですが、人間が行う演奏はテンポやメロディーに微妙な『ゆらぎ』が存在します。これが演奏家ごとに異なるからこそ、演奏家ごとの"味"が生まれるのです。


 で、このゆらぎこそが人間の真骨頂。たとえば『機械的な演奏』と『芸術的な演奏』を頼まれた時のゆらぎの差が研究によって明かされています。なんとなく予想がつくかもしれませんが、プロの演奏家に『機械的な演奏』を頼まれた場合の演奏は、機械ほどではありませんがテンポも揃っておりゆらぎが少ない結果となりました。対して『芸術的な演奏』はこのゆらぎが大きく、しかもある一定の法則に従ってゆらぎを生み出しているようなのです。


 プロの演奏家があえてゆらぎを大きくするカギは『楽曲構造』と『演奏習慣(パフォーマンス・プラクティス』。順を追って説明しましょう。


 楽曲構造とは、現代の『4拍子』や『小節』など、一定のフレーズのまとまりで成される音楽の構造を指します。ちょっと日本民謡の『赤とんぼ』を思い出してください。知らない方はググってみましょう。


 夕焼け小焼けの赤とんぼ~ ……これをプロの方が歌った場合どうなるでしょう? いちど想像してみてください。わたしの主観ですが、たとえば「ゆうやけ」の部分はやや声を抑えて、演歌で言う『小節』をきかせる姿が浮かびます。それから「こやけの」では一気に声が伸び上がります。音も切るようではなく、どこか息をはいた吐息を思わせるような息継ぎになるかもしれません。


 こういった、楽譜には存在しない細やかなゆらぎが、その曲をより感傷的に際立たせることになります。ただし、これは演奏習慣に基づいた場合に限られます。


 この『赤とんぼ』を、たとえば『デスメタル調』で歌った場合どうなるでしょう? デスボイスで「ユ"ヴヤ"~ゲゴヤゲーヴォーァ↑↑!!」――まあ、場合によっちゃアリかもしれませんが、赤子を背負って夕焼けを眺めていたら赤いとんぼが飛んでいたっていう場面にはちょっとマッチしませんね? いや、アナタが合っていると思えばそれは合っているで正解なんですけど。


 まあ、ざっくり言えば『曲の意図や想定された楽器など』が演奏習慣の正体です。曲の〇〇風アレンジってのは、この問題をうまく解決して作ってるわりとスゴイ作品だったりするんですよ。同じクラシック音楽でも『バッハ風』とか『ベートーヴェン風』とか、『ドビュッシー風』とかで色々演奏方法も変化していきます。ですので、作曲家さんに曲の制作をお願いするときは『〇〇風』みたいなイメージはどんどん伝えたほうが良いでしょう。コミュニケーションにも繋がりますしね。


 後出しですが『状況と文脈』も大きな要因です。演奏者の心理として、おそらく『練習室でひとり黙々と』演奏してる時と『コンサートホールで大観衆の中』演奏している場合は心理状態ががぜん変わってくるはずです。観客の反応を見ながら『即興音楽』を奏でるパフォーマンスもありますし、その場合はさらに他者からの影響が強くなります。


 実はこれを扱った研究もあり、結論だけ書くと『曲の特徴がより大きく出る形に演奏する』です。作曲家『ロベルト・シューマン』の『子供の情景』第7曲『トロイメライ』は、老齢に至ったある人が子ども時代を回想するという、ノスタルジックで穏やかな楽曲です。これを演奏家の『リハーサル』と『本番』の演奏の差を解析したところ、本番のほうがよりゆったりとした、特徴の出るテンポとして演奏していたことが、この結論への強い示唆になるでしょう。




 演奏家は『ゆらぎ』という、本来ならズレを生み出すよろしくない状況を『技術』として利用しています。そして、そのゆらぎこそ、人々が音楽により深みを覚え、脳に心地よい刺激を与える原因となっているのでしょう。音楽は言葉もないのに『メッセージ』が伝わる不思議なツールです。みなさんもひととき、大好きな音楽をじっくりと聴いてみてください。そして、その曲の『メッセージ』がどんなものなのか感じてみてください。そこで得た感覚こそ、アナタにとっての『正解』です。


 もっと音楽を身近に感じましょうね。




 っと、エンディングっぽいこと書いておきながらまだちょっとだけ続くんじゃ。


 えー個人的なことですが、このたびちょいと忙しくなるので今まで1年間続けてきた『1日2作品投稿』がままならなくなってしまい、明日から『1日1作品』を目標にがんばっていくことになりました。現状『小説家になろう』と『ノベルアップ+』にて活動を続けておりまして、それらを交互に投稿していくことになります。


 で、現状ノベルアップ+さんのほうに『野球×異世界』的なお話の『異世界ベースボール』を投稿中ですので、ノベルアップ+ではそちらの投稿をやっていき、こうした本で得た知識系の話はしばらく小説家になろうのほうでやっていこうかなと思っています。まあ、異世界ベースボールももうすぐひと区切りするし、現状小説大賞に応募中ですので1次選考突破しなかった場合は中断して新しいお話でも書いてみるか、ノベルアップ+さんのほうでも『つれづれグサッ』を続けるかって感じですね。


 ただ、PV数というか感想的なアレを期待してた小説家になろうですが反応がいまいち芳しく無く、なのでささっと別の媒体にシフトチェンジするのも悪くないかなと考えております。現状はニコニコ動画さんとなんかつながってるっぽい『カクヨム』さんか? ――まあいいや、ってか最近ブログにも興味持ち始めちゃってる自分がいてなにがなんだかアタマがフットーしそーだよー。


 と、私事ですがイロイロと読んでくださりありがとうございます。今後もこういったサイトでつれづれっていきたい所存ですので、どこかですれ違ったら記憶をなくした恋人だったもののどこか懐かしい雰囲気に惹かれて振り返ったけど気のせいかなと思い後ろ髪ひかれつつ歩きだす的な気分で微笑みかけてください。


 わたしはアレです。アナタが犬と一緒に歩いてたら振り返ります。犬のほうに。


 っということで、今後共々わたくし『犬物語』をどうかご贔屓にお願いいたします。

苦手な曲も、ずっと聴いてるとアラふしぎ。スルメのように魅力を見出してしまうのが人間ってもんです。おそるべし単純接触効果。

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