量子力学のすすめ
ミクロの世界には謎がいっぱい! 物理学の常識が通じない世界へアナタをご案内。
この世界って『何』でできてるんでしょう?
人間の身体はたくさんの細胞が集まってできています。細胞はたくさんの分子が集まってできています。分子は複数の原子が集まってできています。原子というのは原子核と電子、原子核は陽子と中性子、さらにそれはクォークというミクロサイズの物質によってできています。
では、クォークはいったい『何』でできてるんでしょう? ――そうやって突き詰めていくと、世の中の物質は極小サイズの粒子が存在するようです。
そういったレベルで物質を見ていくと、物質というのは『0→1』というように『連続的ではなく離散的になっている』ということがわかってきました。これを『量子化』といいます。
こんな極小サイズの世界を観察し、世界の真の姿を暴き出してやろうなんて無謀な挑戦をしてるジャンルこそ『量子力学』です。この領域まで達すると、我々にとって常識とされている物理法則がまったく通用しません。ある量子力学の権威は「量子力学を理解してるヤツはいない」と言い切るレベルに、量子力学は奇々怪々な世界なのです。
本日は、そんな『量子力学』の魅力を紹介しみなさんの好奇心を刺激できたらいいなと思います。あ、この領域は物理学のいちジャンルなので、ノーベル物理学賞の範囲内ですよ。未来のノーベル賞をゲットするのはキミだ!
『量子ってどのくらいの大きさ?』
これを理解するには、まず原子の大きさから理解する必要がありますかね。えー、よく使われる例は『地球とピンポン玉』の大きさを比べてみてください。いったい何分の1くらいになるのか想像できますかね? ――では、次にピンポン玉を地球の大きさまで拡大しましょう。いったい何倍になるのか気の遠くなるような倍率ですが、とれの隣に並べた"拡大してないピンポン玉の大きさ"が水素原子1つぶんです。
『地球:ピンポン玉』の比率が、そのまま『ピンポン玉:水素原子』ってことです。いやあ下には下がいますねぇ。
で、それよかさらに小さいのが(現時点で判明している)最も小さい素粒子です。水素は最も小さい原子で、1つの陽子を原子核として周辺を電子が回っています。それで上記の『ピンポン玉』を形成しています。って考えると、つまり『ピンポン玉の半分が素粒子の大きさ』って考えガチですがちょっとまってください。電子は陽子の周辺を回っているんです。で、どういう軌道で回ってるのかというと――みなさん、高校野球は好きですか?
高校球児の夢の舞台である『甲子園球場』。この中心に1円玉を置きます。この『1円玉こそが陽子』です。そして『甲子園球場の外環を電子が回っています』。その間には電磁気力などの力がはたらき形を維持していると考えられています。
つまり、上記で例えばピンポン玉をさらに甲子園球場サイズまで拡大して、その中心にある1円玉こそが素粒子1つ分のサイズだってこと。
いくらなんでも小さすぎない? 地球と比較したピンポン玉サイズが陽子。で、その陽子をさらに甲子園球場サイズに拡大して、その中心にある1円玉が素粒子ひとつぶんです。これ逆にスケールでけえな。
『量子はあいまい』
さきほど、このサイズになると通常の物理法則が通じなくなると説明しましたが、その最たるものがこの量子のあいまいさでしょう。
量子は『波と粒子の二面性』をもっています。つまり粒であり、波なのです。何いってんだコイツと思われるようですが、実際そうでもしないと説明できないのですから仕方ありません。
人間が目で感じる『光』は電子が『光子』という粒を放出します。これを受け取った脳がその"波"の強さを判断して『色』をつけます。これだけじゃ理解できませんか? 安心してください。わたしも理解できてません。
と、ここでおもしろい実験を紹介しましょう。イギリスの物理学者『トマス・ヤング』という方が1805年ごろに行った実験です。なんと200年以上も前の実験です! このころはまだ量子力学という概念がなかったので、光が果たして波なのか粒なのか、すさまじい激論が繰り広げられていたんですよ。そのへんはぜひみなさんでググって頂くとして、こちらは『二重スリット実験』の話をしていきます。
ヤングの実験とも言われるこれは、スリットをふたつ用意しそこに光を照射するというもの。スリットには縦穴が2つ開いており、光はそこを抜けてその奥のスリットへ着弾します。そうすると、そこに光が当たった印がつくわけですが、普通に考えれば『スリットに開いた穴の向こう側に光が着弾する』ですよね? つまり奥のスリットにはきれいな2重線が描かれるはずです。 しかし、二重スリット実験ではわけのわからない結果が導き出されました。
そこにはきれいなスリットの穴型の『干渉縞』が発生したのです。ちょうどこのような――
[ | | | | | | ]
という感じです。これはいったいどういうことでしょうか?
水たまりを思い浮かべてください。そこにしずくを垂らすと波紋が広がっていきますよね? そして、複数の波紋が重なるとより高い波になる。波が高いということは、それだけ波をつくるエネルギーが高いということになります。この波の性質がなければ、上記のような結果になることはあり得ません。
つまり、光には『波の性質がある』と認めざるを得ないのです。200年前の実験で、光には波の性質があると判明したわけですが、その100年後に粒子としての性質ももっていることが証明されました。かの『アルベルト・アインシュタイン』が発表した『光電効果』というこもです。
光電効果は『金属に強い光を当てると電子が飛び出す』というものです。説明すると数ページの冊子になるので大胆にはぶきますが、電子を波として考えるとこの時に起きた反応をまったく説明できませんでした。ところがアインシュタインが提唱する『光量子論』のもと、光を粒だという認識で考えた場合は見事に計算が合います。
結局光(量子)って粒なの波なのどっちやねん! という論争に再び火が付きそうになったとき、アインシュタインはたった一言ですべてを丸く収めました。
「波でもあり粒でもあるんだよ」
『量子は確率』
わたしたち物理の世界の住人は、触れあえば摩擦が生まれ、物理的な壁に阻まれ『すり抜ける』ということはできません。しかし、量子の世界に足を踏み入れるとまさかの『壁抜け』ができてしまうのです。ですので、たとえば手と手を合わせたら手がすり抜けちゃった! ――なんて確率も量子論的には『ありえないことではない』とうのが結論になります。
量子は『観測された瞬間に場所が決定する』という不思議な性質をもっています。同時に『場所が確定している量子の運動は観測できない』という不思議な性質ももっています。場所がわかった時運動量がわからない。逆に運動量がわかった時には場所がわからない……こんな物質あるかあ!!
普通でしたら、転がっているピンポン玉を観察して『座標はここ、で運動量は毎秒3キロ』みたいな感じに観察できるでしょう? ――でも、量子は観察できないんですよ。これをかっこよく言うと『不確定性原理』なんて呼んだりします。読書好きでSF小説をよく読む人なんかは、たとえば『シュレディンガーの猫』って言葉を目にしたことがあるかもしれませんね。
このように、量子は『場所と運動量』が同時に観測できないので、譲歩に譲歩を重ねつつ、なんとか観測してやろうと息巻いた結果『確率』という世界に手を付けました。
これ、単に『そこにいる確率』というわけではありません。量子は『実際にそれら全てに存在するのです。存在するとしか考えられないのです』。だからこそシュレディンガーの猫とかいう摩訶不思議で猫がかわいそうだろってなっちゃう思考実験が生まれてしまうし、量子力学の権威でさえ「量子力学を理解してる人はいない」って言い切っちゃう学問なのです。
遠い将来、この不確定性原理を解決してくれる論文が発表されるのでしょうか?
ほかにも超弦理論やマルチバース、パラレルワールドなど、量子力学には紹介しきれない不思議がたくさんあります。みなさんの好奇心センサーが立ち上がっている限り、これらの謎はアナタを歓迎し諸手を挙げて歓迎してくれることでしょう。20年後のノーベル物理学賞を目指して、アナタもぜひこのカオスな学問の世界に足を踏み入れてはみませんか?
わたしは量子になりたい。




