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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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腸って大切_その5

食べ物ひとつでアナタの身体は大きく変わる。エンプティフードはやめて、これからは善玉菌が喜ぶ食べ物をたんと頂いてみては?

 腸のための食生活、みなさんうまくやっていますか? 食に関する健康を考えた時、なにをしてもまず消化器官についての知識を深めることが大切となるでしょう。そのなかでも、身体へ栄養を行き渡らせる『主役』である腸へのいたわりは必須となります。みなさんが思っている以上に、腸は人間の健康に大きく寄与しているのです。


 本日も医学博士である『松生恒夫』氏著作『腸の老化を止める食事術』を参考に、わたしなりの知識や解釈を交えながらのご紹介になります。これまでさんざん『腸に必要な栄養素はなにか? 良い食品とはなにか?』をお伝えしてきましたが、今回はそれらの食べ物を分解し人間の身体に都合の良い栄養をつくってくれる『乳酸菌』について書いていきましょう。


 あ、言わずともわかります。おそらくみなさん「ヨーグルトなどの発酵食品を食べれば良い」と思っていらっしゃいますよね? ――正解です。正直な話、ヨーグルトは優秀な乳酸菌入りの食べ物です。ただ前回までにお話した通り、便秘や食べすぎなど場合によっては逆効果になる場合もありますので、ここではなるべく多様な乳酸菌摂取の方法を紹介できればと思います。




 そもそも『乳酸菌』とはなんでしょうか? 乳酸菌とは読んで字のごとく『乳酸を作る菌』です。発酵(代謝)することによって糖から乳酸をつくる"嫌気性"の微生物を総称したもの。嫌気性とは『酸素を必要としない』存在のことで、場合によっては酸素が原因で死んでしまうこともあります。


 乳酸は腸内で大腸菌などの『悪玉菌』の増殖を抑え、腸内環境のバランスを整える役割を果たしてくれます。その過程で前回まで説明した様々な栄養素も生まれることから、乳酸菌は腸内にて『善玉菌』と称されるようになりました。




 と、ここでトリビアがてら『乳酸』についてのお話を。乳酸菌の話と食べ物だけ知れればいいという方は、これ以降は読み飛ばしていただいても構いません。


 乳酸という言葉を聞くと、一部の方々はとある筋肉番組を思い出すのではないでしょうか? 参加者が次々とアトラクションに挑戦していき身体能力をもってクリアしていくあの番組です。芸能人が速攻で水にドボンする姿は笑いも誘いますね。


 第1ステージをクリアした後の第2ステージでは、主に腕を始めとした上半身を徹底的にイジメ抜いていくコースが待ち受けています。そこで実況アナウンサーが「なんという乳酸地獄だあ!!」なんて言ってみたり……そうです。ここでも乳酸という言葉がでてくるのです。


 筋肉と乳酸にどのような関係があるのでしょうか?


 以前まで、乳酸は『筋肉を使うと出てくる代謝物で、不要な廃棄物』という見解が大多数を締めていました。しかし現在は研究が進んだことによって筋肉に溜まっていく乳酸の認識が変化していっています。


 以前、筋肉について書いた題材では話題に上げませんでしたが、筋肉に溜まる乳酸は『疲労物質』ではありません。筋肉は酸素を主たるエネルギーとする『遅筋』と、糖を主たるエネルギーとする『速筋』に分けられています。普段は遅筋が活躍しており、激しい筋トレなどをしなければ酸素をエネルギーとする遅筋がジャンジャン働くのですが、筋トレや筋肉アトラクションに挑戦するとなると、糖を必要とする速筋にもお声がかかってきます。そうすると身体はどんどん糖をエネルギーとする速筋を運用し始め、これまで酸素をエネルギーとしていた遅筋に供給されていたエネルギー、『ピルビン酸』が燃料として使われなくなっていきます。しかし供給はストップしませんので、ピルビン酸は使われ消費されるまでの間一時的に『乳酸』へと姿を変えます。これが、筋肉に乳酸が溜まっていくメカニズムです。つまり、遅筋へのエネルギー供給がストップした結果乳酸が生まれるので、乳酸を抜きたい場合は筋トレをやめて軽い有酸素運動をすれば良い、ということになります。


 チャレンジャーがいちいち筋肉をマッサージしているのはそういうことだったんですね。




 さて、もうひとつトリビアを紹介します。乳酸を生み出すということは、腸を『弱酸性』の状態へ導くということ。腸という環境だからこれが有用に働くわけですが、場所が異なると素直に喜べなくなってしまう場所もありますよね?


 たとえば『口の中』とか……歯についてのお話は、筋肉の話同様に『つれづれグサッ』でご紹介したのでそちらをご参照ください。ざっくり説明すれば、虫歯の原因は歯にバイオフィルムが形成され、そこに溜まった菌が酸性の物質を生み出し、それが毒となって歯の表面のエナメル質を溶かしていくというもの。そうでなくても、エナメル質はpH値5.5以下になると溶け始めてしまうので、炭酸飲料などを飲んでもエナメル質は溶けてしまう恐れがあります。


 ここで問題になってくるのは乳酸菌の存在。彼ら?(彼女ら?) は乳酸を作る、つまり弱酸性の物質をつくる菌なわけですから、お口のなかでは必ずしも善玉菌だ! と言い切れるわけではなさそうです。


 虫歯になったとき生まれるあの"黒い穴"に乳酸菌が住み着き、乳酸を作ることでさらに悪化させるということもあるようです。ただし周知されている乳酸菌の数々はバイオフィルムに付着することは少なく、メインの原因というよりも悪い奴らをアシストしてしまう存在になってしまうようですね。


 しかし、虫歯菌の原因になる『ミュータンス菌』や歯周病の原因になる『ジンジバリス菌』をやっつけてくれる乳酸菌もいるようですから、ようは『うまく共生してくれる乳酸菌だけウェルカムしたい』ってことですかね。それらを食品から摂取できれば最高なのですが、わたしの調査不足で「これだ!」という乳酸菌を発見することはできませんでした。




 では、腸ではたらく乳酸菌にはどういった種類があるのでしょうか?


 乳酸菌には大きく『動物由来』と『植物由来』の2種類が存在します。主にヨーグルトに入っているものが動物由来、漬物やミソに入っているものが植物由来のようです。で、近年の研究では、動物性乳酸菌の多くは胃液や腸液のなかで死滅してしまい、大腸の中まで届きにくいという結果が発表されています。著書内部のグラフにその差が表記されており、生存率を比べてみると確かに大きな差があるように感じます。全ての動物性乳酸菌が40%以下に減少していくなか、植物性由来の乳酸菌のなかには100%の生存率を誇るものもあり、とういった意味では腸まで生きて届く、という言葉の重みがわかる気がしますね。


 こういった植物性由来の乳酸菌は『味噌・漬物・醤油』など、日本の昔ならではの過程では常に食卓に登場していました。とくに漬物は"ぬか漬け、たくあん、しば漬け"などまあ多種多様です。


 あ、ちなみに『浅漬け』っていうのは調理液で満たしただけのものであって『発酵は一切されておらず乳酸菌も一切含まれていない』ので勘違いしないようお願いします。


 調理の上でも注意が必要です。乳酸菌は生き物ですから加熱調理はすぐ死滅してしまいます。あくまでも加熱せずそのままの状態で食べることがカギなので、漬物をさらに加熱するとかそんなマネは冗談でもしないでください。まあ、そんな調理法をする方はいないと思いますが……。


 他にもチーズ、とくに『ナチュラルチーズ』がオススメです。『キムチや納豆』なんかも候補ですよね。とくに納豆は各方面から絶大な支持をあつめる超優秀な食べ物で、わたしも個人的に1日1パック食べてもいいんじゃない? と思っているくらいです。実際、低コスト高リターンな食材ですからいいんじゃないでしょうか? ――ただし、付属のたれはたれであって『醤油』ではありません。成分表を見て『果糖ぶどう糖液糖』みたいな表記があったら避けるというのも手段でしょう。


 これらの乳酸菌に加え、こやつらが大好きな『オリゴ糖』、『食物繊維』を一緒に食べればもう乳酸菌にとってはパラダイスです。せっせと乳酸菌をつくって腸内環境をすんばらしいものにしてくれることでしょう。




 腸内にいつのまにかいついてしまった乳酸菌たち。それらの多くは善玉菌となり、意図せずわたしたちとの共同生活を実現しています。そんなかわいらしい奴らに対して、わたしたちがしてあげることはなんでしょう?


 アナタの腸内環境の改善を願っております。

ちなみに、善玉菌のような、人間にとって都合の良いはたらきをする存在を総称して『プロバイオティクス』


プロバイオティクスが与えられて喜ぶ栄養素を『プレバイオティクス』なんて言ったりします。

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