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つれづれグサッ  作者: 犬物語
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はははははじょうぶだ_その1

わたしの歯はじょうぶではありませんでした。なのでコレをきっかけに丈夫になろうと思います。

 えー、わたくし事ですが、現在歯科医に通っておりまして、ほったらかしにしていた虫歯治療を邁進中でございます。で、ただ治療するだけに通うのもなんだから、お医者さんにたくさん質問攻めしてやろうかな? なんて考えちゃったりして、これまでにちょいちょい会話を繰り広げていたんです。


 しかし、せっかくその道のプロであるお医者さんと会話する機会があるのですから、表面的な質問で終わらせるのは非常にもったいない。そんな思いで、わたしはひとつ歯科治療に関する本でも探してみようかなと思いたちました。とりあえず歯に関する内容ならなんでもいいやと適当に手をとってみたところ、なんとわたしの需要に超どストライクな1冊があるっぽいではありませんか。


 ということで、本日は歯科医師である『堀滋』氏著作『歯のメンテナス大全』のなかから、わたしが面白い、興味深い、これはビックリだよと感じたものを紹介していきたいと思います。


 著者である堀滋氏は、日本大学松戸歯学部を卒業後、口腔外科勤務を経て自らの診療所を開設。歯科治療の先進国とされるスウェーデンで学を重ね、自らの治療に取り入れています。そんな彼が語る、歯の新たな常識とはいったいなんなのでしょうか?




 と、その前に簡単な歯の名称を書いていきましょう。歯は上下合わせて28本。親知らずを合わせると32本存在します。ちゃんとした名称もあり、前歯から順に『中切歯・側切歯・犬歯・第一小臼歯・第二小臼歯・第一大臼歯・第二大臼歯・第三大臼歯(親知らず)』となっています。犬歯などはみなさんもご存知ですね?


 形状や目的は様々ですが、その構造はすべて共通しています。歯は必ず『歯肉』に刺さった状態であります。歯の表面は『エナメル質』という層があり、その下には『象牙質』、さらに『歯髄』という層があります。そのあたりは画像を提供すればわかりやすいのでしょうが、ここは小説投稿サイトなのでなるべく文章で表現したいと思います。いや、べつに画像を用意するのはメンドクサイとかそういう理由じゃありませんから、ね?


 で、こういった構造でできている歯が歯肉にきちんとはまっており、それは歯肉と歯槽骨という歯を支える骨によって支えられています。この構造が、食べ物を噛む時にしっかり歯で食べ物をぶった切る、すりつぶすなどの効果を与えることができるんですね。


 ところがどっこい、お口のなかにはそんな歯を苦しめる病原菌がたくさんいるのですよ。じゃあ、次はそんな雑菌野郎どもを紹介しましょう。




 虫歯菌と言えば、みなさんがまず始めに思いうかぶのは『ミュータンス菌』でしょう。レンサ球菌という、数珠のような形をした菌で、こいつは歯垢(プラークを作る基になります。もちろん、こいつの他にもたくさん歯垢を作るヤツはいるのですが、そのなかでも特に強力なヤツが、このミュータンス菌という認識で良いと思います。こいつが作る歯垢は『不溶性グルガン』と言い、いわゆる「歯がヌメッとする感触」は主にこいつのせいだったりするのです。このヌメリの中に、それは身の毛もよだつほどの量の雑菌がうじゃうじゃ潜んでいるわけですね。


 通常の歯磨きで除去することはできますが、たとえば歯肉の奥の奥に潜んでしまった場合は歯科医師でなければ除去は難しいです。普段のブラッシングを行った上で歯肉の健康を保つような栄養状態、つまり食生活や運動などをこなさなければ、真に良い口腔環境を得ることはできないでしょう。


 不溶性グルガンやプラークなどは、合わせて『バイオフィルム』と呼ばれる雑菌の温床です。放っておくと、雑菌が次々と強い酸性の毒素を出してしまし、それが歯の表面のエナメル質を溶かしていきます。これが虫歯という病気の正体です。ミュータンス菌は糖から酸をつくる能力が高く、糖分を摂ると虫歯が増えると言われているのはこのためですね。ただし、ミュータンス菌でなくとも虫歯の素である『強い酸性の毒』をつくる輩はたくさんいますから、要は――


 『食べかすをそのままにしてんじゃねえ!!』


 ということですね。あ、ちなみに酸性の毒をつくるってことは、口が全体的に酸性に傾くということですが、ミュータンス菌は酸性の環境でも生き残ることができます。つまりミュータンス菌は酸性に偏ったお口の中でも死にません。糖分がある限り永遠と毒素を放出し続けます。やったね。


 グルガンは『ブドウ糖が長く結合した多糖』です。歯磨き粉の中には、これを分解してくれる『デキストラナーゼ』や『ムタナーゼ』という酵素が入っておりますので、歯磨き粉を購入する際はぜひご健闘ください。フッ素だけが脳じゃないんだぜ。


 さて、お口にはそういった悪さをする病原菌に対する対抗策も用意されています。すなわち『唾液』です。


 唾液に含まれる『ペリクル』というタンパク質は、歯の表面にくっつき防護膜を形成してくれる重要な役割を担っており、さらにエナメル質への酸の浸透を低下させるので結果として修復作業(エナメル質の再石灰化)の援助をしてくれる効果もあります。


 ただ、このステインが逆に困ったことをする場合がありまして、直接的な害はありませんが、芸能人にとっては大問題なものです。


 歯の黄ばみなどの原因になりえるのですよ。


 歯が黄ばむ原因は主に『食べ物・歯石や歯垢・ステイン』の3つ。食べ物はとりあえず歯磨きすればすぐ除去できます。歯石や歯垢は歯磨きをせず長い間放っておいたバイオフィルムが固形化してしまったものです。これも普段から歯磨きすれば予防できますが、歯石や歯垢にまでなってしまったらもう歯科治療でしかとれないのでお医者さんに向かいましょう。


 で、最後のステインというのが、唾液によって生まれる予想外の弊害です。唾液中のペリクルが歯に新着し表面に皮膜を作ります。このペリクルの層にタバコの『タール』やコーヒーなどに含まれる『タンニン』、緑黄色野菜の各色素などがひっつくことで色が生まれてしまうのです。ペリクルについた色は強力に付着するので一度くっついてしまった色は歯磨きではどうすることもできません。


 ペリクル自体はブラッシングで容易に除去することができます。ただペリクルは3分もたてばすぐエナメル質を覆い終えるので、その時に磨き残した色素があればやったぜって感じでひっつきます。それを長い年月くりかえせばどうなるか、わかりますよね? コーヒーなどを飲んだだけで歯磨きする人はいません。タバコを吸った後に歯磨きする人もいません。それの積み重ねが、あの歯の色を生み出してしまうのです。


 ちなみに、口腔環境はストレスや糖尿病などと深く関わってきます。健全な歯のためを思うならば、なるべくストレスのない生活をして、健康的なペリクルちゃんを生み出して頑丈な栄養状態の歯肉を作らなければなりませんね!




 どうでしょうか。みなさんもちょっと「歯磨きしなきゃ……」とか「健康的な生活しなきゃ……」なんて考えませんでしたか? 食べ物を生涯の最期までおいしく頂くにはこの28+4本の歯が必要になります。虫歯になったら歯科医師に通うのも良いですが、どうせ通うなら治療ではなく『メンテナンス』として、虫歯になる前に自らの手で予防(歯磨きなどなど)して健康的な歯を歯医者さんに見せつけましょう。で、こう言わせるんです。




「なんで来たの?」

歯の筋トレってないかなぁ……ないかぁ……はぁ。

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