コミュニケーションは心から
心理術的な話。コミュニケーションって難しい。そんな時は相手の心を覗いてみよう。
人間関係って難しいですよね。そんなつもりじゃなかったのに相手を怒らせてしまったり、不機嫌にさせてしまったり、場合によっては今後の人間関係に響いてしまうかもしれない。そんなの、相手もアナタも望んでいないはず。
こういったすれ違いは世の中たくさん存在します。ちょっと言葉を選び間違えただけでその後の人間関係に響いてしまう。そんなことを防ぐために、みなさんちょっと『心理術』に触れてみませんか?
心理"術"と銘打っていますが、これは特別な意味はなくて、単に『心理学をうまく活用したテクニック』と受け取ってください。心理学というと、みなさんはどんな想像をするでしょうか? 相手の心を読む? 考えを見透かす? 自由自在に操る? ――さすがにそれはやりすぎです。心理学にはそんな力は存在しません。っていうかあったらヤバイでしょう。
心理学にはそこまで巨大な力は存在しません。たしかに、ある程度相手の考えを「こうかな?」と予測することはできるようになりますが、それは万能な答えに繋がるわけではありませんし、ましてや他者を操るなんて論外です。もしそんなことができるなら、だれだって心理学を学びに行きますよ。でも、心理学ってそこまで盛んな学問じゃないでしょう?
えー、心理学は学問です。ちょっとむずかしいことを書くと、人の行動を統計学で見積もった結果もっともそれらしい流れを割り出すって感じです。まあ、こういう時はどうする? っていうパターンをたくさんの人にやってもらって、こういうパターンのときはこういう行動をする人が多い。つまりこれってこういう心理が働いてるからだよね? という予測を立てる感じです。で、それらの研究結果は年月を重ねるごとに蓄積されて、やがて『人は〇〇の時〇〇の心理がはたらいて〇〇をする』みたいな結論が生まれます。こういうデータを集めた結果、じゃあ『どう行動すれば良いの?』ということを考えたものが、これから紹介する心理術のテクニックです。
繰り返しますが、心理術は『対人関係を改善するためのもの』であり、他者を操るとか、思いのままに進めるなんて力はありません。このことを忘れず、これからの人間関係に活かしてみてください。今回はザックリ結論だけを紹介していきましょう。いくつかの心理術の本が書店にて並んでいますが、ひとまず今回は『西島秀穂』氏著作『相手を操る心理術事典』を参考にしてみましょう。あらやだ相手を操るって書いてあるわ。いやでも、これはアレです。こういうタイトルにしたほうがウケが良いとかそういう理由ですよ、うん。
――わたしの言葉を信じてください。いいですね?
まず相手の隠している本音を感じ取らないとコミュニケーションは成り立ちませんね。ということで、まずは『相手の本音を予測する』のに使える情報を集めましょう。行動主義というジャンルがありまして、これを一言で申し上げるならば『心理は行動に表れる』という感じです。隠していた心が、行動にひょっこり飛び出してしまった瞬間を見逃さずにとらえてみましょう。
例えば『目の動き』なんかは最も心が現れやすいです。なにかを思い出そうとする場合、眼球が上を向いたり左上を向いたりします。そのままずっと同じところを見ているようなら思い出す作業に時間をかけているサイン。余計な口を出さずに待ってみるのも手でしょう。
瞬きが多かったり、キョロキョロしたり、こちらに視線を絡めようとするのであれば、どこか緊張しており、場合によっては対抗心の現れかもしれません。ただし、こちらに身を乗り出して目を見開いているのであれば、こちらの話に興味を示している証拠。じゃあこっちは饒舌に語るしかないね。相手こちらに魅力を感じているのですから、こっちとしてもどんどんプレゼンしていきましょう。
笑顔の状態でも目が笑っていない(目尻にシワがない)のであれば、本心からの笑顔ではない証拠。社交辞令的な笑顔というわけですね。まあ悪意があるわけではないので、きちんと社交的な態度がとれる方なんだと思いましょう。
眼球の動きは目を閉じていても見ることが出来ます。プロのマジシャンやメンタリストの方は、あえて目を閉じさせて「目は情報として観察してませんよ」という体を出しつつ、実はまぶたの裏にある眼球の動きを細かく観察しています。目を閉じた方は、眼球の情報を封じたと安心しているので普段よりもめまぐるしく『正直な目の動き』をしてしまいます。ですから、目を閉じてくださいと言われた時点でほぼ勝負は見えているわけですね。アナタの心、読まれてますよ?
ほかにも眼球はたくさんの情報を教えてくれます。これはアナタ自身にも言えることですので、逆にこれを利用しましょう。すなわち、なにかを思い出そうとしているときは上を見て、身体に違和感を覚えた時は下を見る。音を注意深く聞く必要がある場合は眼球を左右に動かし周囲の空間を脳裏にイメージして、相手の気を惹きたいときは流し目でたまに視線を合わせるようにしましょう。いや、それでうまくいくとは限らないですけどね。
著書とは別の話も交えましょう。目もそうですが、顔にある要素は人間の心をとても正直に表現してくれます。人間の感情的表情は主に『怒り・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き』の6つで構成されています。これはアメリカの心理学者『ポール・エクマン』氏による研究で結論付けられた理論ですが、これは人間が――世界各国の人間は共通して、この6つの表情を、同じ感情を抱いた時に同じように発生させるという理論です。
つまり、どの国のどの人種でも、上記の『怒り・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き』は誰もが同じ表情をつくるということです。しかも、この表情は心理学的に作らざるを得ないので、例えば怒りを覚えた人間は、どうあがいても『怒り』の表情を作ります。これは普段から自制を心がけている人でも起こってしまう変化ですが、訓練すればその素振りを最小限に抑えることができます。
氏はさらなる研究を続け、現在では『軽蔑・困惑・罪悪感』など11種類の表情パターンを追加しました。
ちなみに、日本人は自分の心を表現することが苦手とされていますが、京都大学の実験で『日本人の6つの表情は、ポール・エクマン氏の理論にある表情とは異なる』ことを実証したようです。ひとつの研究結果として重要なデータですから、これはさらなる追試や研究が必要ですね。
ちなみに、このポール・エクマン氏の理論を題材にしたドラマ作品が『ライ・トゥ・ミー 嘘の瞬間』という題名でDVD化されています。気になる方はぜひ調べてみてください。刑事ドラマもので、心理分析を活用したサスペンスドラマでございます。そういうジャンルが好きな方はぜひどうぞ。
相手の本心をある程度見抜けたのなら、あとはアナタの心をふさわしい言葉で伝えるだけです。ここで勘違いしてはいけない要素がありまして、相手に対して言葉を選ぶ、ということは基本的にそこまで意識しなくとも良いでしょう。言葉は受け取る側の心理状態次第によっていくらでも変わります。同じ口調、同じイントネーションで「バカじゃないの?」と言われても、イライラしている時は「うるさいな!」となりますし、機嫌が良いときは「ちょっとやめてよぉ~」なんて朗らかな雰囲気になります。肝心なのは『相手の状態』を見抜くことです。そうすれば、自然とかけてあげるべき言葉もわかるはずですよね?
アナタの人間関係がより潤滑になるよう祈っております。
覗き込みすぎて結婚しちゃいましたってオチ。




