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異常の深部を目指そう(仮)  作者: POG


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プロローグ

 俺、日下小太郎には昔、不思議なものが見えていた。

 といっても、幽霊や妖怪なんかじゃない。

 幼い頃一部の子供が見る空想の友達。

 いわゆるイマジナリーフレンドってやつだ。


 そいつは金髪の少年で、アルトと名乗った。

 俺が成長するとアルトも成長した姿で現れ、中学の終わり頃まで見え続けた。

 流石にイマジナリーフレンドというものには俺が小五の頃には理解していた。

 だから、少なくとも人前では無視していた。


 そして、アルトの姿が消え5年。


 消えたはずの妄想の友達は再び俺の前に現れた。


「やぁ!久しぶりだねコタロー」


 その日、俺の物語が動き出した。



 ——————



 ある日この世界に四つの異常が現れた。

 一つは世界のどこからでも見える不思議な巨塔。

 一つは都市さえ飲み込む奈落の大穴。

 一つは海底からから空へと浮上した巨大な島。

 一つは失われた伝説の船団が彷徨う黒い大海。


 更にこの異常からは未知の生物が出現し、その生物は既存のどんな獰猛な動物であろうと比較できないほど強力なものだった。研究者は「魔物」と名付け研究した。

 魔物は既存の銃火器を物ともしない強靭な身体を持ち、異能と名付けられた不思議な力を使う。


 人々が絶望する中、人の身ながら異能を扱う人々が現れ始めた。

 彼らは地上に現れた魔物のことごとくを倒していった。

 そして世界に再び平和が訪れた。



 これが俺が産まれる、大体五十年ぐらい前の話だ。


 そして俺、日下小太郎二十歳は現在、探索者となる為探索者協会の日本支部の前にいる。

 探索者とは世界に現れた四つの異常、〈境界〉の内部へと入り中の魔物を退治し、調査し、お宝を持ち帰る職業だ。

 だが、危険はつきもので年間の死者数は万を超える。


 しかし探索者という職業の人気は尽きない。

 先人の探索者が偉大で子供からも人気だからという理由もあるが、一番は境界に入ることで得られる異能とお宝だった。

 どんな綺麗事を並べようとも最後には力と金が残るのだ。


 本当はそんな危険な職業には尽きたくない。

 金なら昔当てた宝くじの賞金が腐るほどあるし、異能は興味はあるが死んでまで手に入れたい物じゃないからだ。

 本当はこのままニート生活をしたかった。



 しかし両親に言われたのだ。ニートなんかしてるんじゃないと、なんでもいいから仕事をしろと。

 なぜかと聞くと世間体だと言われた。

 そんな物犬にでも食わせとけと言ったら殴られた。

 解せぬ。



 と、そんなわけで前々から興味があった探索者になりに来たんだ。

 死にたくはないがなんだかんだ異能というワードが厨二心をくすぐるんだよな。


 ま、さっさと探索者に登録して異能ゲットして今日は帰ろう。



「探索者になりたいんですけど」

 中へと入り俺は早速受付へと声をかけた。

 流石探索者協会。受付も美人だな。


「かしこまりました。探索者登録のお客様ですね。ではこちらに氏名、住所等の個人情報をお書きください」


「はいはい」

 名前と住所と電話番号…所持済みの異能?持ってるわけないだろ。

 今日取りに来たんだから。


 しかし、実際一部には境界へと入る前から異能を手に入れる人間がいるらしい。

 まぁ最初期の人間がそんな天才達だ。後の連中はそいつらと一緒に境界に入って手に入れた物だからな。


 それと他には探索者登録せずに先に境界に入ったパターンだ。

 そんなことが出来るのは相当な金持ちだけだけどな


 書き終わり受付嬢へと渡すと


「はい。これで登録自体は完了です。三日後の日曜日に他の新人探索者と一緒に異能獲得の為に境界へと潜って頂きます。次回は動きやすい格好で来てください」


 三日後ね。


「異能を獲得されてから日下様は下級探索者として活動が可能です」


「分かりました。また来ます」



 ———三日後———

 俺は再び探索者協会へと来ていた。

 本日ついに異能を獲得するのだ。


 今日一緒に境界に行くつやらも既に集まっていた。

 俺が来てから約十分。

 全員集まったのか、奥の部屋へと案内された。

 その部屋には1人の男性が立っており素人目から見ても只者ではなかった。


「お、全員集まったな」


「はい。参加者十名。全員おります」


「じゃこっからは俺の仕事だ。俺は国見司。上級探索者だ。お前らにはこれから俺と一緒に境界へ行ってもらう」


 境界に行く?じゃあなんでこんな部屋に連れてこられたんだ?

 連れてこられた部屋は広く一見すれば何もないように見えた。


 同じ疑問を持ったのか参加者の一人が質問をした。

「あの、境界に行くならなんでここに集まったんですか?この部屋は何にもないように見えますけど」


「何言ってんだ。あるだろ、お前らの足元に」


 足元、正確に言えば床へと視線を向けるとそこには魔法陣の様なものが描かれていた。


「こいつは日本支部にある転移門」

 門っていうか陣じゃないのか?

「この門はかの大賢者ロダン・ラウデンが作り上げた偉大な技術の一つだ」


 そう言って俺たちを壁際に引かせた後、彼が何かを呟くと、

 魔法陣がひかり、中央から門が現れる。


 なるほど確かに門だ。


「さあ門に入るぞ。着いてこい」

 国見司が門の中へと消えていく。


 ぽつぽつと参加者が門の中へと入っていた。


「いよいよ境界か」

 俺はまだ見ぬ景色を胸に門をくぐった。


 しかし

 門を抜けた先はまだ建物の内部だった。


「さて、ここがどこだか分かるやつはいるか?」


「…また探索者協会の建物の中ですか?」


「ま、そうだ。だがここはもう日本じゃない。ここは四大異常の一つ〈幻想の巨塔〉の所在地にある探索者協会だ。外に出てみろ」


 外に出るとそこには現実ではない様な光景が広がっていた。

 巨塔の周辺には街が存在し、街中を様々な格好をした探索者が歩いている。

 大剣を背負った戦士に、杖を持った魔法使い。

 異常が発生する以前は夢物語だと言われていた世界が眼前に存在する。

 そして何より、日本からも見えていた巨塔が歩いていけるほどの距離にあることだ。


「さっ、こっからは塔まで歩きだ。はぐれず着いてこいよ」

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