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琥珀糖に舞う、金桂と紫子さん。  作者: YUQARI
第十章 終わらない、僕の【使命】。
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✤不自然な、謝罪の手紙✤

 目の前では、信じられない光景が繰り広げられていた。

 

 だって、あの優しかった玖月善女(くげつぜんにょ)さまが怒鳴り散らしているんだもん。誰もが息を呑んだ。

 

 

 ……【怒鳴り散らす】?

 

 

 

 ううん。それとは、ちょっと違う。

 一般的な、怒鳴り散らす(・・・・・・)……なら、まだいい方だ。それだったのなら、どんなに良かっただろう?

 

 玖月善女(くげつぜんにょ)さまのそれ(・・)は、そんなものとはわけが違った。

 

 怒りに任せて叫んでいるんじゃなくて、悲しみの淵から周りの人間を巻き込んで、奈落の底へと引きずり込むような、そんな悲痛な叫び声だった。

 

 さっきまでは、確かに おとなしかった。

 

 辛く悲しい出来事はあったけれど、それもいずれ時間と共に薄れ、穏やかな日々がもうすぐやって来る……。

 僕はそう信じて待っていた。

 

 玖月善女(くげつぜんにょ)さまが悲しみの淵から這い上がってきて、また前みたいに僕と一緒に笑い合う日が来るんだって、心の底からそう思ってた……。

 

 だってそれが、盛誉(せいよ)との約束だったから。

 

 

 盛誉(せいよ)は望んでいた。

 僕と玖月善女(くげつぜんにょ)さまが、一緒に長生きして、幸せになることを。

 

 それに実際、玖月善女(くげつぜんにょ)さまだって、必死に耐えて頑張っていたんだ! まだ時間は掛かるかも知れないけれど、確実にいい方向へとは向かっていた。

 

 

 僕は知っている。ちゃんと知っている。

 

 だって僕、ずっと一緒にいたから。

 あの日からずっと、僕は片時も離れず玖月善女(くげつぜんにょ)さまと一緒にいたもの!

 

 

 だけど……だけど豹変した。

 

 必死にバランスを取っていたのに、それを崩された。

 原因?

 原因は【文】だ。

 ただの一通の文、たったそれだけで──。

 

 

『……っ、』

 

 僕は玖月善女(くげつぜんにょ)さまを見上げる。

 震えながら、必死に耐えようとするその姿が痛々しい。だけどもう、限界に近かった。

 

 ……そりゃそうだよ。ほとんど綱渡り状態で、必死に耐えていたんだから。

 その張り詰めた糸を、いきなりプッツリと切られたんだ。

 

 切られた糸は左右に飛び散って、離れ離れになってしまった。

 ……また初めから結び直すのには、相当時間が掛かるかも知れない。

 

 引き金になったのは、きっと三日月城から来たという、その【文】のせいでまず間違いない。

 

 時期を遅くして来た文。

 その謝罪の文が、忘れようとしていたあの時(・・・)の気持ちを呼び起こしてしまったんだと思う。

 

 

『……』

 

 いったいなんなの?

 もしかして、これも策略(・・)?

 

 

『……っ、』

 

 もしかしたらコレも策略なのかと、そう思うと寒気がした。いったいどこまで追い詰めれば、気が済むの?

 

 そもそも今思えば、盛誉(せいよ)が討たれたあの時期(・・・・)だっておかしい。

 

 【お姫さまの突発的な行動】の一言で収められはしたけれど、あの時はもう、既に頼貞(よりさだ)さまの件は落ち着いていた。

 

 謀反を画策した……なんていうけれど、あれは年の瀬近くの事だったじゃないか。

 だけど盛誉(せいよ)が討たれたのは三月。

 

 いくら盛誉(せいよ)が坊主で手が出せないにしても、あまりにも遅い対応だ。憂いを除くため?

 

 ううん。それだっておかしい。憂いを取り除くために お姫さまが突発的な行動(・・・・・・)を取ったって言うんなら、もっともっと早い時期じゃないとおかしい。

 

 そう。盛誉(せいよ)と宗昌(むねまさ)さまが普門寺で謹慎していたあの時。

 あの時既に盛誉(せいよ)たちは疑われていて、ずっと謹慎していたんだもん。

 憂いを除くためだったのなら、あの時が一番適した頃合いだったはずだ。その時に、なにかしらの行動を取るべきだったんじゃなかったのって僕は思う。

 

 

 だけどあの時は、なんの音沙汰もなかった。

 

 

 それなのに、三月になって盛誉(せいよ)を討った。

 三月? だって、既に掲げる旗……頼貞(よりさだ)さまは日向へ逃げていなかったんだよ? どう考えたって不自然じゃないか!

 

 

 今だってそうだ。

 

 ようやく忘れようとしていた頃だったのに、傷口を抉(えぐ)るようなそんな真似……。

 

 

 

           × × × つづく× × ×

 

   ┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈



     お読み頂きありがとうございますm(*_ _)m


        誤字大魔王ですので誤字報告、

        切実にお待ちしております。


   そして随時、感想、評価もお待ちしております(*^^*)

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