帰郷
宇宙船カノン艦長室。
この部屋の主である音羽風音が、仕事机に向かってスパコンをいじっている。
風音「そうなのか・・・」
画面を見ながら呟く。
顔だけ見ると少女のような見た目をしているが、つい最近成人した青年。
今日も頭には沢山の髪留め。
そして上下とも黒が基調となっているジャケットとパンツという、オーダーメイドで作ったカノンオリジナルの仕事服を着ている。
風音が机に向かって、いつになく神妙な顔付きでスパコンの画面を見ている。
風音(財テクって財務テクノロジーの略だったのか・・・)
コーヒーを一口飲む。
と。
凌舞「まいど~~」
艦長室にカノン乗組員であり風音の幼馴染でもある、片桐凌舞がノックもせずに入って来た。
カノンでは珍しい金髪の女性だ。
乗組員に異星人が多いので白とか青とか緑の色をした髪の人はいるけど、特に地球ではレアでもない金髪女性が他に居ない。 染めているわけではなく、母親が金髪なので単に遺伝。
少し前まではロン毛で、ポニーテールか後ろを縛る髪型だったが、今ではショートボブで両サイドだけが長いままだ。そして頭の上でちょっとだけ髪の毛を縛っている。
以前空中監獄で後ろ髪をバッサリと切られ、その髪型が似合うと風音に言われ整えてからずっとこのままだ。
そして彼女は当然のように私服。この女も(他の乗組員も)風音が作ったカノンオリジナルの仕事服を着ない。
風音「まいど。 突然だけどシノ、財テクって何の略か知ってる?」
凌舞「財産を増やすテクニック、の略だろ?」
喋りながら、風音が座っている机の前に椅子を一つ移動させて座る。
風音「そう、そうだと思ってたんだよ僕も」
凌舞「まさか・・・違うのか?」
風音「うん。財務テクノロジーの略らしい」
凌舞「・・・・・・・・」
先程の風音同様、凌舞も神妙な顔付きになる。
凌舞「・・・いや、それ騙されてるんじゃない? 今画面に出てる? ちょっと俺にも見せてみ?」
風音が画面を凌舞の方に向ける。
精査するように画面をジッと見る凌舞。そこには財テクの略の検索結果がはっきりと書かれてある。
凌舞「・・・・・・。これはちょっと・・・受け入れ難いな」
風音「受け入れ難いね。 コーヒー飲む?」
凌舞「うん貰う」
風音が席を立ち、背後に置いてあるコーヒーメーカーからコーヒーをカップに注ぐ。
風音「砂糖四個?」
凌舞「いつまで子供扱いなんだよ・・・三個でいい」
風音「子供扱いが嫌なら無糖ブラックに挑戦してみたら?」
そう言いながら、言われた通り砂糖を三つとミルクを入れる。
凌舞「アホか、あんなもん人間の飲み物じゃない」
風音「そう? 僕も砂糖ミルク入れる派だけど、アイスコーヒーならブラックでも結構いけるよ」
風音がコーヒーを凌舞の前に置き、再び椅子に腰を下ろす。
凌舞「ありがと。 でさ、この前俺ら実家に帰ってただろ?」
風音「・・・急に話が飛んだな」
この前・・・というとちょうど風音が連続殺人鬼を探してた頃だ。
風音の呟きには特に反応せず、凌舞が続ける。
凌舞「その時に師匠から伝言を預かっててな。たまには実家に帰ってきたら、ってよ」
凌舞の師匠。風音の母親である藤御優希という女性だ。
風音「たまには・・・って、ちょくちょく帰ってるけどな」
月に一回くらいは。
一般的に考えると、頻繁に帰ってる方じゃないか?
数時間かかるが徒歩で行ける場所に実家があるので、帰郷が億劫という訳でもない。
凌舞「カザが実家に帰った時って、大体道場に居る研刃さんに顔出すくらいだろ? 師匠と麗奈ちゃんとは顔も合わさないって聞いてるけど?」
風音「母さんにはたま~に家の方に会いに行ってるよ。 麗奈の方は向こうが避けてるんじゃない?」
昔は「兄ちゃん兄ちゃん」言って寄って来てたのに。
最近は実家の道場に帰っても姿が見えない。
母親と違って別の家に住んでいるわけではないので、多分道場の奥の部屋に居るはずなのだが出てこない。だからと言ってわざわざ探しもしないが。
妹もそろそろ兄を避けたがる歳なのだろう。反抗期くらいそっとしておいてやろうという、優しい兄心のつもりだ。
凌舞「そうなのか? でも主に麗奈ちゃんからなんで兄さんは泊まっていかないんだ、って問い詰められてるんだけど。 何故か俺が。 実家に帰った時に、ついでに挨拶しに道場に立ち寄ったらいっっっつも」
と非難している様な口振りだが冗談交じりで言っているのだろう、言いながら凌舞本人は涼しい顔でコーヒーを飲んでいる。
風音「あ、帰って来いってそういう・・・。 たまには泊まりで里帰りしたら、って意味か。でも徒歩で行き来できるからなぁ・・・次の日の仕事を考えると、カノンで寝たいでしょ」
凌舞「分かるけども。そもそも単発の休みに実家に顔を出そうとするのが間違ってんだよ。徒歩つっても最低でも片道三時間くらいかかるだろ。その距離なら普通、連休を使って泊まりで行くもんじゃない?」
風音「いや走ればいいし」
ああ言えばこう言う風音に、凌舞が呆れる。
凌舞「・・・トレーニング馬鹿には常識が通用しないな」
風音「ひどい言われ様。 連休は出来る限りカノンの皆と過ごしたいからだよ。カノンの長として、乗組員全員とのコミュニケーションは大事にしたいし」
凌舞「・・・の割には、いっつも煉兄ぃの部屋ばっか行ってないか?」
風音「うん。和室めっちゃ落ち着くから」
この宇宙船唯一の和室に、よく寝転がりに行く。
凌舞「他の乗組員とのコミュニケーションはどうした」
風音「結果おざなりっすわ」
凌舞「・・・・・・・」
凌舞が無言でコーヒーをすする。
無言の圧力に、風音が少し考える。
風音「・・・じゃあ次の連休辺りみんなの部屋を訪ねてみようかな。亜稀とかには断られそうだけど」
凌舞「いやだから連休は実家に・・・え? 俺の部屋にも来んの?」
風音「あ、来ないで欲しい? そういう人は事前に言ってもらえれば・・・」
凌舞「いやいや来るなとは言ってないだろ。むしろ実家とか行かなくていいわ、冷静に考えたらあんなとこ何の価値も無いし」
風音「親が聞いたら泣くよそれ。 ・・・でもそうかぁ。シノ関係無いのに実家で愚痴られてるのか。お詫びに砂糖もう一個入れてあげよう」
砂糖壺から角砂糖を一個取り出して、トングで持ったまま凌舞の口付近にあったカップに近付ける。
凌舞がそれを口で受け取り、ガリガリとそのままかじって食べた。
そしてクーッとコーヒーを一気に呷る。
凌舞「ま、伝言って事だから一応伝えたけど、帰るかどうかはカザの好きにすれば?」
風音「うん・・・。確かに麗奈には最近会ってないからな、たまには・・・」
と思ったけど。
母親には会ったよ。
ごくごく最近。しかも人前で抱き付かれて、えらい恥かいた。
風音「・・・よし、決めた。しばらくは保留!」
凌舞「そか」
という事で、実家に帰るのは止めにしておいた。
はいあとがき!
今回は短めで終わりました。
本編はいっつも長いですからね。
短かったですが取り敢えずお疲れ様でした。
ここまで読んで頂いて有難う御座います。
今回短かったのには理由がありまして。
最近少し小説というものに関して二つ思う所があったんですね。
まず一つ目。
短編小説の定義って?
ちょっと話は変わりますが、この前タグに関して調べてたんですよ。
タグって言うと、検索の手助けをしてくれるシステム? みたいなものだと私は解釈してますが詳細は知らん。ごめん。
要するに誰かがこのサイトで小説を探す時に、例えば「ミステリー」が好きだとすると「ミステリー」って検索欄に打ち込んで検索する訳ですな。
そしたら「ミステリー」をタグに設定している作品が、検索結果に出てくる訳ですよ多分。
私のこの作品の場合「近未来」「男主人公」「異能」「日常」とかその他諸々がタグになってます。
でですね。このサイトじゃないんですけど、ある小説サイトのタグ一覧の中に、「長編」って書いてあるのがあったんですよ。
ん? 長編ってどのくらいの尺を指すのかな?
って疑問に思ったんですね。
なんせ私は小説の知識ゼロでやり始めました。
あえて書き方の勉強もしませんでした。
内容を見て貰えれば分かりますよね。異端な事ばっかりやってます。自覚してますよ。
鍵カッコの前に名前を書くとか。
会話の時に直前に話した人物に“地の文”(会話以外の部分の文章)の主観が入れ替わったり。もしかしたらこれが特に異端なのかな。
他にも地の文の書き方が一定では無かったり。空白の行を多用したり。これはむしろ敢えてやってますが。
普通これらの事はあり得ないらしいですからね。特に地の文の主観がコロコロ入れ替わるのは厳禁とか、昔どっかに書いてたのを読んだような。いや読んだんじゃなく、学校で習ったのだったかな。
ともかく、普通の小説を読み慣れているほど、私の小説って読み辛いのかなと思います。
それに関しては・・・
すまん!!!!!!!!!!!!!!!
この勢いに免じて許しておくれ。
んで、そんなだから長編と短編の定義すら知らなかったんです。
だから調べましたよ。ええ。
長編は400文字の原稿用紙200~300枚くらいだとか。
てことは8万~12万文字くらい?
この作品「カノン」の本編の一話ごとの文字数がだいたい・・・あれ? 余裕で12万超えてない?
この作品のタグリストに「長編」を追加しておきました。
まぁここまでは良いとして、問題はついでに調べた短編の文字数ですよ。
原稿用紙10~80枚ですって。(一概には決まっていないのかな? 諸説あるみたいですけど)
いや10枚って、4000字ですよ?
行けるのそれで? 原稿用紙で会話や改行も考えると、実質3500字強くらいにならない?
人物紹介から起承転結から物語背景構成まで全部入れて3500字強?
何それ超読んでみたい。
ちなみに今回読んでもらった話が、空白改行を含めてちょうど3000字くらいです。
ルビ振ったりしてるせいで、書いた文字数は余裕で3000文字を超えてしまいましたが。
もう一回今回のを読み直してみましたけど・・・。
・・・いや短くない? 内容ほとんど無くなかった?
この作品は続きものだからそれでもいいんですけど、無の状態からの作品でこの文字数プラスアルファで・・・何が書けるんだろう。
そもそも短編小説って続き物なん? 一話完結型? それすら知らんですよ。
もちろんもっと短いショートショートは読んだ事があります。学生時代は星新一が大好きでしたし。
でもあれは・・・物語としての小説なのかな? あれって分かり易い一話完結型ですよね。登場人物の掘り下げは最低限で、ストーリーや奇抜な展開重視の。
いわゆるアイデア特化の、閃きオバケの天才型小説家が書くジャンルだと思ってます。
短編小説ってああいうのの延長?
だとしたら純粋に面白そうなジャンルだと感じますね。一番好きなジャンルの小説かも。
そんな気になるなら読めばいいじゃんって思うかもしれませんが、ちょっとそれが出来ない状態でして。
理由は長くなるので割愛しますね。
ほいで短編の文字数が気になったから自分も一回、ちょうど3000文字の作品を書いてみて長さを確認してみようと思ったんです。
結論。
短かったです。なんかすぐ終わりました。書くのも読むのも。
そして二つ目。
短い小説を書くなら・・・どうせなら。
商業用の文庫本では出来ないって言われていた事が出来るのでは?
と思った事です。
とその前に。
今これを読んでいる方が、今考えている事を当てて見せましょう。
・・・なるほど。
そろそろこのあとがきを読むのに飽きてきましたね?
あ、もうとっくに飽きてましたか?
そう。都市伝説かもしれませんが。
短編を書く作者さんの中には、あとがきの方が長い人がいるらしいんです。
いやホントかどうか知りませんけど。
で真似してみたくて、わざと出来るだけあとがきをダラダラ書いているのですけど・・・このペースじゃ3000字越えるのは無理ですかね。いやいけそうか?
っていうかほんとに居てるんですか? 本編よりあとがきの方が長いて。
実在するのなら、ますます面白いな短編作者さんって。
なので、読むのが飽きたらここらで止めて下さいね。
この後も大した内容ではないですよ?
ここで読むのを止める方の為に、一応ここでさよならの挨拶を。
お疲れ様でした。また次の話で会いましょう。次は本編じゃなく余話かな。
今回も読んでくれてありがとね。ばいばい。
さて話を戻しましょう。
以前テレビで、松本人志さんとお笑い芸人のサバンナの八木さんの会話にこういう感じのがあったんです。
八木「K-1(格闘技)のテレビ放送は、放送終了時間というのがあるので、残り時間を逆算する事でその後の大体の展開が分かってしまう。だから放送終了前に空白時間を少し作るべき。角田さんが一曲歌うとか」
松本「なるほど。K-1はともかく、ミステリー小説は俺もそう思う事がある。途中で犯人らしきやつが分かっても、残りページ数がまだまだあるとミスリードと分かってしまう。だから逆に、例えばそのまま犯人を追い詰めて、まだ文庫本の半分しかいってないくらいで事件が解決。残りのページは白紙。だと俺は、やられた! と思うしアリだと思う。 その場合もし途中で後半のページ開いてしまったら最悪だけど」
っていう感じだったかな。うろ覚えですけど。
確かに二人とも面白い発想です。さすが普段から面白いものを追求しているお笑い芸人らしい考え方だな、と思いました。二人とも話の最後にオチも付いてますしね。
そして松本さんの方。商業用の文庫では出来ないですね多分。
今回は上記一つ目の理由から、短い文章を書くと決めていました。
だからいっそ松本さんの言うような、読んでくれている人への裏切り? みたいなのをやってみようかな、と。
商業用では出来なくても、ウェブ小説なんだから何でもありでしょ。
・・・て事で。
前回のあとがきで、最後の方でチラッと「次は実家編ですね」みたいな事を書いてたんですよ。
加えてこれまでフリもありました。本編各話で主人公の実家の話を散見させていました。
でいざ本編第4話実家編が始まると、実家に帰れと身内や幼馴染から促されるシーンがあって、主人公がどうしようか悩むシーンがあり。
結局帰らないっていう。
そしてそのまま実家編終わりっていう。
やり終わってみて言うのも何なんですけど、これは・・・松本さんの言うのとはちょっと違うな。
読者への良い意味での裏切りではなく、ただの裏切り? 肩透かしをしただけ? みたいな感じに思えてきました。
まぁやってしまったもんは仕方ない。やり直す気など毛頭無いですけど。
さてここまでのあとがきの文字数は・・・空白改行込みで3000文字超ですか。
よし目標達成ですね。
さすがにもう書く事無いや。
さっき一回最後の挨拶をしたから簡単でいいですかね。
お疲れ様でした。バイバイ。




