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自称世界一の魔術師  作者: サバ太郎
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和解

目を覚ますと、知らない天井だった。


「どこだ、ここは」


俺はベッドに寝ているらしい。


体を起こすと、体に痛みが走った。


「やっと起きたか。簡単に治療はしたが、数日は痛むからな」


そう言って、スキンヘッドのいかついおっさんが現れた。


白衣を着ているので、彼が治療師なのだろう。


この学園では怪我をする人が多すぎるので、治療専用の棟があるのだ。


そこには何十人もの治療師がいて、誰かが治療してくれるというわけだ。


「ったくお前らは、何やったらそんな怪我するんだよ」


お前ら、というとベルクはどうなったのだろうか。


「虎の獣人はどうなったんだ?」


おっさんに聞くと、隣のベッドを顎でさした。


そこには全身包帯でぐるぐる巻きにされたミイラのようなやつがいた。


まだ目を覚ましていないらしく、かすかにいびきをかいていた。


「そいつが全身大やけどの血だらけでお前を背負ってきたんだ。自分も死にかけのくせして、お前を死なせないでくれって頼まれてな。お前の容体が安定したのを見た後意識を失ったよ。まったく、獣人の生命力は半端じゃねえな」


やっぱりベルクが運んでくれたのか。


しかも俺の心配まで、か。


すると、隣のベッドがもぞもぞと動き出した。


「おお、生きてる・・・って、なんじゃこりゃ!?」


ベルクが包帯ぐるぐる巻きの体を見ながら叫んでいる。


「怪我自体はお前の方が重かったんだ。お前は二、三日は包帯外せないからな。全治は一週間ってとこだな」


おっさんがそういうと、ベルクは愕然としていた。


「こんな姿で過ごすとか、ありえねーだろ・・」


「次からは怪我しないようにすることだ。じゃあ俺は別のとこいくからよ。落ち着いたらかえっていいぞ」


そう言って出ていくおっさんに俺たちは感謝を告げた。


自分の手をみて、まじかよ・・・と呟くベルクを見て、思わず笑みがこぼれる。


俺の負けだな。


心の底からそう思ってしまった。


もちろん悔しさはある。


だけど、それ以上に清々しかった。


それは俺が初めて経験した、理不尽じゃない負けだったからだろう。


まあ次は負けるつもりはないけどな。


「助かった。俺はグレイだ。お前は強いな」


そう言ってベルクに向けて手を伸ばす。


ベルクは驚いたように俺の顔を見た後、笑いながらぐるぐる巻きの手を伸ばしてきた。


「お前じゃねえよ。俺はベルクだ。やっぱり俺の勝ちだったな」


握手を交わした後、俺たちも治療棟を後にした。




「遅いぞ、今まで何してたんだ・・・ってお前は誰だ」


あの後、俺たちはアリア先生のところに来ていた。


今のベルクは包帯で顔すら判別できない状態だ。


「これはベルクです。ちょっと一悶着あって、それで遅れました」


俺が答えると、先生は少し驚いた顔をした。


「さっきまでと雰囲気が全く違うな。クラスのことはもういいのか」


「はい、もう大丈夫です。もともと俺のせいですし、面白いやつとも知り合えましたしね」


俺がそう言ってベルクの方を見ると、先生は呆れたような顔した。


「一体何があったんだ。まあお前たちが仲良くなったんなら、用事は半分済んだも同然だな」


「お前たちがEクラスより高い実力を持っているのは、今日見て分かった。グレイ、済まなかったな。卑怯だと言って」


頭を下げて先生は謝った。


「いいですよ、もう気にしてないです」


「ありがとう。さて、話にもどろう。お前たちに頼みたいのは、クラスのリーダーになってほしいということだ」


「この学園では、最初にクラス分けされるがずっとそのままというわけではない。実力があれば上のクラスに上がれるようになっている。だからお前たちも上がろうと思えば、すぐに上のクラスに上がれるだろう」


「だが、そうすることでどうしても下のクラスの人たちはないがしろにされやすいんだ。BはAに、CはBに逆らえない。しかしお前たちなら、それにも対抗できるかもしれん。負担になるのは確実だが引き受けてくれないか」


「それに、本来はこういうのはいけないことなんだが、上のクラスに上がるほど貴族も多くなり家柄を重視しがちなんだ。グレイは平民、ベルクは獣人だから、上のクラスではやっていきにくいかもしれん」


アリア先生はすまなそうな顔をしている。


俺たちはどうしたものかと顔を見合わせた。


「クラスのリーダーは、なにか他に仕事があるんですか」


「そうだな。クラス対抗戦を仕切ったり、クラス同士の揉め事を治めたりだな。それと学年で何かするときは、全クラスリーダーが集まって会議をしたりだな」


「なるほど。まあ俺はとりあえずは受けてもいいです。その方が面白そうですし」


「俺は遠慮するぜ。細かいことはグレイに任せる」


「お前も手伝えよ。その方が強いやつと戦えるかもしれないぞ」


俺の抗議も空しく、ベルクは全くその気にならなかった。


「ありがとう。今度のホームルームでクラスリーダーを決めるから、その時は立候補たのむぞ」


そういうわけで、俺はクラスリーダーに立候補することになった。

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