表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自称世界一の魔術師  作者: サバ太郎
22/35

決着

王子が剣を振る。


後ろに距離を取りつつ、何とか躱していく。


『サンダーボール』


俺は目の前に電気の球をいくつも放った。


王子の周囲に光の層が現れる。


先ほどもそうだったが、王子は魔術を同時に複数使えるようだ。


球が触れた瞬間消えた。


それをちゃんと確認する間もなく、王子の白い剣が襲いかかってくる。


それをさらに躱していく。


ベルクとの訓練が活きているな。


躱すだけなら何とかやっていけそうだ。


攻撃速度はベルクの方が圧倒的に速い。


ただ、当たれば終わりというのが大きいが。


『アースハンド』


『アイスハンマー』


『ファイアランス』


回避しつつ簡単な魔術を次々に放つ。


王子の体には常に白い層ができていて、すべて触れた瞬間に消えていく。


もう何発魔術を放ったのだろうか。


ひたすら避けて適切な距離を保ちつつ、魔術を王子に向け放つ。


そしてついに、王子は剣に魔術をまとうのを止めた。


「ただの剣じゃ勝ち目はないぞ」


王子の剣を、俺の剣で弾いた。


そして炎の斬撃を放った。


「くっ!」


王子は剣に魔力を込めて俺の斬撃を消し去る。


俺は白い斬撃を躱しながら、『ファイアーボール』を放つ。


それはまた、王子に触れた瞬間に消滅した。


また白い斬撃が飛んでくるが、地面を転がって避ける。


起き上がると同時に『アースニードル』を放つ。


王子がまた俺の魔術を消し去るが、表情に疲れが見て取れた。


「まだ接近戦を続けるのか」


俺の言葉をかき消すように王子が剣をふった。


俺はそれを余裕をもって躱す。


最初に比べて遅い。


「致命的な欠陥だな」


息を荒げる王子に向かって言い放った。


「・・・まだ負けていない」


王子の目は死んでいない。


だが、もう無理だろう。


王子と俺の相性が最悪だ。


「光魔術、その使い手は初めて見たがすさまじい力だ。触れた瞬間魔術が消滅するなど、一見勝ち目がないように思える」


王子は手を止め、俺の話を聞いている。


この隙に少しでも回復しるつもりだろうが、もう関係ない。


「近距離攻撃が得意な騎士は、魔術のせいで近づけない。遠距離攻撃が得意な魔術師は、結界を張られたら為すすべがない」


「だが、近距離と遠距離両方できる人には勝てない。長期戦に不向きすぎるからな。耐えられたらどうしようもない」


結界を全身に張って斬撃魔術を放ちながら接近戦をする。


それはとても困難なことだ。


それを平気で行えている王子は本当にすごいと思う。


魔術師相手なら結界だけ、騎士相手なら斬撃魔術だけで事足りるのだろう。


だが、俺にはそれだけでは足りない。


魔力の消費量は大体わかる。


王子も魔力は多いが、とてつもなく優れている訳でもない。


最初から俺の作戦は決まっていた。


「常に結界に頼るのは、失敗だったな」


結界を消さないように身体を狙って魔術を放ち続けたのだ。


俺が放ち続けたのは小威力な魔術だが、王子が使い続けたのは結界と斬撃魔術だ。


どちらが早く魔力が切れるかは言うまでもない。


王子も現状はとっくに理解していたはずだ。


だから斬撃魔術を使うのをやめたのだ。


接近戦に持ち込んだ時点で王子の負けだ。


遠距離の魔術戦なら勝負はわからなかったかもしれない。


王子が俺から視線を逸らした。


視線の先で、メリアたちが心配そうに王子を見つめていた。


それを見た王子はふっと笑った後、俺を見つめ返した。


「俺の魔力は少ない。対する君はまだ余裕そうだな」


「状況は悪い。だが、それがどうした」


「メリア、ミズキ、ティナ、バルド、絶望的な状況もあったが誰もあきらめなかった」


「最初はAクラスのため、そして自分のためだった。だが、今は違う」


アルフレッドが大きく息を吸い込んだ。


「戦ってくれたみんなのために、俺は勝つ!」


「魔力が尽きようと、見苦しかろうと、最後まで諦めない!」


王子はそういって、魔力を練り始めた。


「・・・おもしろい。なら俺ももう温存は無しだ」


俺も魔力を練る。


どちらもその場から動かない。


どれほどの時間が経っただろう。


観客たちが息を呑んで見ている中、ついに変化が訪れた。


俺の地面が輝いたのだ。


その瞬間、俺は『サンダーボルト』を放ち地面から飛びのいた。


俺のいた地面から巨大な光の剣が突き出した。


間一髪躱して、さらに『ウォータースライサー』で追撃する。


王子は『サンダーボルト』を結界で防ぎ、白い斬撃で水の刃を消滅させた。


『アースプリズン』


王子を囲むように地面から岩の箱が現れた。


そして王子が完全に閉じ込められた。


『落陽』


監獄の真上に巨大な火の玉が現れた。


それはまるで太陽のように燃え盛っていて、そして箱に向かい落ち始める。


その時、監獄が割れた。


全方向に魔術を放ったのだろう。


監獄が割れるのと同時に、太陽が地に落ちた。




修練場が炎に包まれている。


ゆらゆら揺れる視界の中で誰かが立ち上がった。


その体は光り輝いているが、徐々に薄れてきてついには消えてしまった。


「これはしんどいな。呼吸するだけで胸が苦しい」


「そうだろうな。魔力も体力ももう限界だろう」


そういう俺も今のでかなり使ってしまった。


「そうだ。悔しいが君の方が強い」


負けを認める気か。


「もうまともに戦う力も残ってない」


そう言って手を上げ始めた。


降参か。


いい勝負だった。


「俺は降参・・・しない。どうあっても!俺は負けるわけにはいかないんだ!」


王子の顔がいびつに歪んだ。


その時、王子の背後が光った。


その光は王子の右わき腹を貫き、猛スピードで俺へと向かってきた。


『ホワイトスフィア』を背後に隠していたのだ。


油断した隙に、自分もろとも俺を貫くつもりか。


「あたれぇぇぇ!!」


白い球が俺の目の前まで迫った。


そして、そのまま俺の左腕に穴をあけて壁に衝突した。


「・・・は?」


王子が間の抜けた顔をした。


なぜなら俺は動いていないからだ。


自分が外したことが、信じられなかったのだ。


魔力を使い切り、自分の脇腹を消滅させたのに当てれなかった。


その事実を目の当たりにして、放心したようだ。


出血が進み、身体がふらついている王子に俺は言い放つ。


「詰めが甘すぎる。こんな炎が燃え盛っている中で、正確に俺の心臓を射抜けるわけないだろうが」


チャンスがここしかなかったとはいえ、この陽炎の中で実行することじゃない。


それほどまでに追い込まれていたということか。


メリア、ティナ、セレナが信じられないといった風にアルフレッドを見ていた。


奇襲もここまでいけばただ卑怯なだけだ。


「くそ、が」


そう言って王子は地に倒れ伏した。


試合終了の合図が鳴り響く。


「・・・今の行動は、仲間に対する冒涜だ」


俺は貫かれた腕を押さえながら、ミラやベルクの元へ向かった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ