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自称世界一の魔術師  作者: サバ太郎
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入学試験

もうあれから5年か。


俺は道を歩きながら、昔のことを思い出した。


王都メルトキオにあるメルトキオ魔術学園、そこで行われる入学試験に俺は向かっている。


魔術学園と行っても魔術だけを教えているのではない。剣術などの講義から、作法の講義など様々である。


最高峰の学園というだけあって、良い成績で卒業すると有力な貴族や王家の騎士、魔術師にスカウトされることだってあり得る。


俺は王家や貴族に興味があるわけではないが、自分を鍛えるにはここが最適だろうと考えてこの学園に入学しようと決めた。


ただ、最高峰だけあって試験料や入学金がとてつもない。


俺の持ち出した金では到底足りなかったので、この5年間鍛錬のついでに魔獣を狩り素材を売って、ようやく入学金を貯めることができたのだ。


それに16歳というのはこの学園に入学する年齢の平均くらいなので、それも都合がよかった。


入学自体は12歳からできるが、12歳では体が出来上がってないので優秀でないと授業についていくのが難しいらしい。


金銭的にも年齢的にも、何とか今年で合格したい。





学園に着くと、そこは人でごった返していた。


さっさと受付を済ませて、試験開始を待つ。


その間、試験の参加者を観察していた。


雰囲気でしかわからないが、強そうなのがそこそこいるな。


人間、獣人、エルフなど様々な種族がいるが、人間の国の国なだけあって圧倒的に人間が多い。


他種族を好奇の目で見ている人が多いが、その視線に負けず堂々としている姿は格好良く見える。



試験内容は筆記、実技、面接の中から二つ選ぶ方法だ。


噂では、貴族は面接で高得点を取りやすいらしい。


その噂を信じるわけではないが、俺は実力勝負の方が性に合うし、面接で正当に評価されないのも嫌なので筆記と実技を選択した。



筆記試験は順調であった。


両親が魔術師だったため魔術に関する書物は書庫に大量にあったし、一人になってからは拠点にしていた町の大図書館で本を読み漁っていたので、魔術の知識はかなりのものであった。


自称ではあるが、魔術に関しては俺が一番だからな。


魔術に関する問題はすべて完答しているので、高得点は確実であろう。



問題は実技だ。


二人一組で模擬戦闘をするのだが、ここに問題がある。


俺は魔獣相手なら、毎日のように戦っていたので負けることはないと思う。


だが人間相手の戦闘経験はほぼ皆無と言っていい。


普通なら人間相手に訓練するのだろうから、俺の人間との相性は最悪だ。


どうしたものか、と考えているうちに自分の番が来てしまった。



修練場と呼ばれる広い空間で俺は相手と向かい合っている。


俺の相手は少し緊張しているようだ。


背は小さいし、顔にあどけなさも残っているので12、3歳であろう。


持っている杖から魔術師と思っていいだろう。

高級そうな服を着ているので、金持ちの貴族なのだろうか。


一通り観察を終えて、戦闘開始の合図を待つ。



戦闘開始の合図とともに、相手は魔術を発動する。


飛んでくる火の槍を避けつつ、俺は相手に向かって駆け出した。


『ファイアーランス』か。高威力ではないとはいえ、ほぼノータイムで放てるとはやっぱり優秀だな。


またも飛んでくる火の槍を、今度は剣に軽く魔力を込め受け流す。


相手はそれを見て動揺した。


が、すぐに立て直すと再度魔力を練り始めた。


しかし、その隙を見逃すほど甘くはない。


俺は相手に向かって『ファイアーボール』を放つ。


相手は想定外の攻撃に驚くが、とっさに反応し『ファイアーボール』を何とか避ける。


無理な避け方をしたせいか、相手は体勢を崩した。


相手の避ける方向を予測していた俺は、その間にさらに距離を詰め、相手の顔に剣を寸止めした。


「勝負あり!」


結局対人戦は難なく勝利に終わった。心配しただけ損した気分だ。



「あなたは剣士ではないのですか?」


修練場から出ようとすると、対戦相手の少年が責めるように話し掛けてきた。


「もちろん剣士だ。けど魔術師でもある」


この少年の疑問はもっともだ。


俺の格好はどう見ても剣士だ。それなのに魔術を使えば、それは騙されたと思うだろう。


「得意なのは魔術だ。剣術は補助的な役割だな。森みたいなところだとまともに魔術使えないからな」


まあそれを解消するためのパーティなんだが、俺は一人だったから全部俺一人でやってるわけだ。


かなり大変だが、やってみると中々面白い。案外性に合っていそうだったので、ずっとこのスタイルでやっていくつもりだ。


「そんな人もいるんですね。勉強になりました」


少年は苦笑いしつつ、手を伸ばしてきた。


「僕はエルといいます。名前を教えてくれませんか?」


俺はその手を取って答えた。


「グレイだ」


手を放した後、気になっていたことを聞いた。


「でもいいのか。俺のせいで試験に落ちるかもしれないんだぞ」


そう言われたエルは、にやりと笑みを浮かべた。


「いえ、勝ち負けは点数には関係ないらしいので構いません。僕は最初に高速で放った魔術を見てもらえれば、十分です」


なるほど。勝敗は関係なかったのか。俺はどうにも勝負に勝つことを優先させてしまうようだ。


「それでも大技を見せれなかったのと、戦い慣れしていないのを見られたのは悔いが残りますけどね」


その後も少しエルと話した後、俺は宿を探しに街に出た。

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