第27話 カンナとアヤ
「へぇー。「紅いディーゼル機関車の列車の走る銀河鉄道」かぁ。」
と、先ほど止めに入ったお客さんの相方の女性が感心する。
「あたしも、DD51が好きな鉄道好きなのよ。君、えっと―。」
「前橋理尾鳴と申します。」
「なら―。」
それに、
「リオナって呼んであげると、喜ぶ。」
と、しおりさんが割って入った。
「リオナね。私はアヤ。相方はカンナって呼んであげて。リオナは、DD51の何番台が好き?」
マニアックな話を始めた。
「えっと、今はJR西日本にしかいないのですが、1000番台。初めて乗った寝台特急「出雲」の牽引機であったからです。」
「おおっ!渋いねぇ!紅いDD51の牽引する寝台特急は他にもあったけど、紅いDD51は「出雲」の印象が強い!私はカラーリングから、JR貨物更新色が好きなんだけど、その中でもレア物の1800番台!1800番台は5両しか製造されなかったグループで、成田空港の燃料輸送用の増備車で佐倉機関区に新製配置され、将来的な旅客列車転用に向け、SG搭載準備が施されたやつ。でも、結局、旅客列車転用はされず、JR貨物に残り、最後は稲沢機関区で―。」
アヤと言うこの女性、かなりのマニアだ。ちょっと突いただけで、一気に鉄砲水のように話し始めた。
しおりさんはタジタジだが、自分は滅多に居ないDD51のマニアを前に自分の知識をぶつけるのだから、その場はさっきの教員連中と違った意味でとんでもない事になってしまう。
特に、東日本大震災で東北本線が不通となり、燃料輸送のため磐越西線を迂回した緊急貨物列車の先頭に立つDD51重連の話は大盛り上がりになり、挙句の果てに「予定には無いけど走らせよう」と、今度は自分が暴走し、しおりさんに「いい加減にしなさい!」と拳骨を喰らってしまった。だが、しおりさんも先ほどのような不快な顔をしては無かった。
「すみません。こいつも語り始めると、止まらない事あるので。」
カンナという男性が詫びる。
「ちなみに、カンナはEF64とEH200が好き。山男って風格からね。」
「ちょっと黙れ。」
「コーヒーのおかわり。」
アヤはコーヒーのお替りを注文しに行く。
「でも、自分も全く感心されなかった紅いディーゼル機関車ことDD51について、ワイワイ話せて楽しいです。どいつもこいつも、鉄道好きイコール新幹線や蒸気機関車ってイメージで話すものですから、自分のような趣味の奴が居なくて。しおりさんもDD51の話に乗ってくれてますが、しおりさんの本心は食堂車が好きらしいので、気を使わせてしまって申し訳ないなと思います。」
「へぇっ。リオナって、私の事をそう思っていたんだ。」
しおりさんがニヤリと笑う。
照れくさくなった自分は、時計を見て、予定より早いが、「SNS用とブログ用、それから自分用の写真撮りに行きます。」と、駅のホームに向かって行った。
カンナとアヤの二人組も、コーヒーを飲み、パンを食べ終えてホームに向かって来た。




