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第14話 DD51+12系+EF64

 碓氷峠鉄道文化むらでは、名物「峠の釜めし」よりも、園内で週末のみ営業している越後屋食堂のもつ煮定食の方がお勧めとされている。


 なので自分は、越後屋食堂でもつ煮定食で昼食にする。


 もう、13時だ。


 件のEF64の牽引する列車は11時ちょっと前に横川駅に到着している。

 列車が着いた後は、ここからトロッコ列車に乗り継いで、碓氷峠のハイキングや日帰り温泉に行く人、バスで軽井沢へ行く人で大賑わいだった。

 殊に、軽井沢へ行くバスの方は続行便で2階建ての大型バスまで引っ張り出してきたのだから驚いた。

 ワイワイと賑やかな碓氷峠鉄道文化むら。

 その賑わいは、やはり今日はSLではなくなっているが、こうした観光列車の存在も大きいだろう。


 さて、横川駅に行き列車に乗る。


 帰りの列車は蒸気機関車の代走で急遽登場したDD51‐895だ。


 紅いディーゼル機関車は自分の好きな機関車だ。

 乗る前に、中線を挟んだ向かいのホームから、DD51を先頭にした列車を撮影して、列車に乗る。


 SLではなくなったこともあってか、車内は意外に空いていた。


 14時15分という微妙な時間に横川を出るのでは、碓氷峠や旧中山道のハイキングに行った人や、バスに乗り継いで軽井沢へ行った人はまず帰って来られない。最も、軽井沢へ行ったのなら、わざわざ横川へ降りて来なくとも、新幹線で帰れるのだからそれが普通なのだ。


 定刻通り、DD51を先頭にした列車は横川を出る。

 一番後ろにEF64が居るのが少し気に食わないが、これは仕方がない。


 考えてみればSLよりも貴重なDD51を先頭にした列車。だが、急遽決まった事でも沿線では写真を撮っている撮り鉄が多い。


 ガタゴトガタゴトと、DD51を先頭にした列車に揺られ、車窓に見える榛名山や妙義山の山麓の景色を頭の中や写真に収めながら、こうした景色と今日の碓氷峠鉄道文化むらで見たジオラマ等で得た物を元に森羅万象、ジオラマの世界を頭の中やフィールドノートに書き付けていく。


(やはり、南十字~北十字はトンネルという設定で潜り抜け、メインの駅が、北十字と南十字の両方を兼ねるってことにしよう。そして、列車は蒸気機関車ではなく、ディーゼル機関車や電気機関車をメインにする。蒸気機関車の列車ではないと宮沢賢治も言及している。あとは、制作計画を練るだけだな。)


 と、自分は思いながらふと、しおりさんの事を思い出した。


(やっぱり、しおりさんも誘えばよかったかな。)


 と、少し寂しく思うが、


(しおりさんが居たら、銀河鉄道999のメーテルか、ガラスのクレアを登場させて、列車がC62蒸気機関車の特急「つばめ」や「はと」になってしまう。)


 と、小さく一人で笑ってしまった。

 最も、銀河鉄道の夜のカムパネルラが女の子であったなら「北斗星」や「カシオペア」のような列車に一緒に乗っているという絵面も考えられるだろう。


(夜走る列車。今は、貨物列車だけだなぁ。一応、「サンライズ」や、変な豪華列車はあるけど。)


 と、思う。


 妙義山麓を抜け、磯部温泉を過ぎると、東邦亜鉛の工場が隣接する安中駅に着く。


(白鳥座の駅からプリオシン海岸へ行く引き込み線、あるいはアルビレオの観測所に行く引き込み線があると設定したら、ちょうど安中駅のようになるだろう。)


 と、頷く。


 碓氷川を渡る鉄橋を越えると、国道の橋の灯りと都会の灯りが見えた。

 八幡宮へ行く最寄り駅、群馬八幡駅を通過する。

 夕暮れの駅は、平日程ではないが学校の部活帰りらしき学生や通勤客の姿が見えた。


(タイタニック号の旅客が乗って来たわし座の駅はどんな感じかな?)


 と思う。


 列車は都会の駅に着いた。

 ここから、211系の普通列車で洋館の町の駅まで帰る。


 かつては洋風木造建築の駅舎が多くあったこの路線だが、今は自分の住む町の駅に残っている程度で、ほとんどの駅は高架駅になってしまった。踏切の廃止を目的としたものだろうが、駅と駅の合間は武蔵野線や埼京線のような高架線になっているわけではないので、高架橋の外壁で景色が見えないという事は無い。北を向くと、北関東のシンボルたる赤城山が見え、南を向くと、北関東の田園地帯が見える中を走って、洋館の町に帰って来た。駅前のパン屋がちょうど閉店する時間だった。


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