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怪盗はヒーロー?

 翌日、二人の元に一枚の手紙が届いた。小百合からの依頼で五星財閥に奪われた『クリスタルオルゴール』を探して欲しいというものだった。

 千歳は昨日その話を直接されたが、青葉は手紙が届いて初めてそれを知った。

「それ、もしかしたら最後の盗みになるかもしれないぞ?」

「どういう事?」

青葉は手元にある盗品リストを眺めた。

「どこから持ってきたのさそれは…」

「別に良いだろ?」

 盗品リストには、五星財閥が盗んだとされる宝物が載っていた。そこには、『クリスタルオルゴール』の文字もある。

「警察が家宅捜索を行って、大分回収したんだよ。だけど…、『クリスタルオルゴール』はまだだ」

「そうなの…?」

「あるとすれば五星道山の屋敷…、五星邸だ。本社は警察の大規模な捜査が入ったけど見つかってないからな」

「ねぇ、青葉、何でそんなに詳しいの?」

「千歳姉が知った事じゃないだろ?」

青葉は、パソコンを開いてこう呟いた。

「盗むのは悪い事だよ。犯罪行為で、人としてやってはいけない事だと思う…。じゃあ…ピンクジュエルは何だろうな…」

「何だろう…、ヒーローかな」

「それは誰にとってのだ?」

「えっ…?」

千歳は青葉に言う程の答えが思いつかなかった。

「自分って言うならただ自分に酔ってるだけだぞ?」 

「そう…」

青葉はパソコンをしばらく見ていた。




 五星邸は、今までで一番敷地面積が広い豪邸だ。しかも、情報がほとんど無い。地図にも詳しく載ってなく、何処にあるのかも分からない。千歳も青葉も、そこに行った事がなかった。

「これだけ広い屋敷…、何処にあるんだよ」

青葉はインターネットのあらゆる地図サイトを眺めたが、それらしき屋敷は見つからなかった。 

「情報がこんなにもないなんてな…」

「青葉、どうするの?」

「俺、ちょっと行ってくる」 

青葉は、パソコンを閉じてリビングから出ていった。



 青葉は、洋司の書斎にやって来た。そこには、趣味の画集以外に、仕事の書類も幾つか残されてある。

「確か、ここにあったはずなんだ」

青葉は本棚の奥にある、古びたファイルを見つけた。その中には、洋司がずっと集めていた古地図がある。青葉はそれを一枚一枚見た。


 青葉はその中から一枚の地図に目を付けた。それは、過去の泉ヶ丘周辺の地図だった。変色しているが、文字は辛うじて読める。

「あった…、これだ」

 その地図には、五星邸の文字があった。それによると、五星邸は、泉ヶ丘のはずれの山奥に経っている。

 青葉は携帯電話の地図を出して、今の同じ場所と照らし合わせた。現在の地図にも、同じような屋敷が載っている。

 その場所はここで間違いないようだった。 



 青葉は、地図を持って千歳の所に戻った。そして、先程の話をする。千歳はそれを聞いて感心していた。

「青葉、よくそんな事思いついたわね」

「そうかな?」

青葉は地図を見てそう言った。

「それで、行けそうなの?」

「それは…、えっと…」

青葉はそこまでは考えていなかった。

「それも考えないとね…」

「そうだな…」

青葉は千歳に向かって頷いた。





 その後、二人は一日中その事について話し合っていた。これがピンクジュエルにとって最後の盗みになるかもしれない。また、小百合から直々にお願いされた依頼だ。絶対に成功させなければならない。


 また、五星道山やその関係者に直接話が出来るチャンスだ。それで行方不明になった二人の両親やちえりの両親についての手掛かりが見つかるかもしれない。

 千歳と青葉は今まで以上に真剣に取り組んでいた。だが、青葉の方は、最近自分の行動に疑問を抱いている。


 それを他人事に捉えていた千歳だが、青葉の様子を見てだんだん自分もそうなっていった。

「私は…、誰の為に行動してるの…?」

「誰の為…?」

 千歳は誰の為にピンクジュエルとして活動しているのだろうか。最初は自分達の為だとばかり思っていた。だが、呪宝を取り返してもらった人に感謝の言葉を貰うと嬉しくなる。そんな事を繰り返していると、自分は誰の為に行動しているか分からなくなる。


 一方、青葉は、最初警察は敵だと思っていた。ところが、厄神警部やりんか、涼平、ちえりと様々な人と関わっていくうちに、人は敵味方とはっきり区別出来るものでは無い事に気づいた。

 そして、今まで自分は二人だけで物事を成し遂げていたと考えていたが、それは違った。涼平やりんか、厄神警部が陰ながら支えてくれたからこそ、今の青葉がある。


 二人がそれぞれ違う事を考えている中、千歳がポツリとこう呟いた。

「私は…、ピンクジュエルは…、正義のヒーローなの?それとも…、正義に楯突く悪役なの…?」 

「正義と悪っていうのは、人それぞれに考えがあって、それが全部正しいとは限らないんだよ…」

 青葉は、千歳にそう答えると、パソコンを持って自分の部屋に行ってしまった。青葉の答えに対して、千歳はまた悩んでいる。


 だが、悩んでいても何も始まらない。『クリスタルオルゴール』を取り戻すまでは、怪盗レディ・ピンクジュエルとして突き進むしかないのだ。

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