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6-10

(駄目だ、こいつとは、分かり合える気がしない。)

 よほど恥ずかしかったのか、クイは、ソファの背もたれに顔を突っ込んで、小さく丸くなっている。

(まったく、なんで朝っぱらから、しかも会議室なんかで……。)

 そこまで考えたとき、不都合な記憶が頭をよぎった。

(あ。)

 そういえば、オレリアスがクイを襲ったのも、真っ昼間のやしろだった。

 あのとき、大雨で辺りは薄暗かったが、あれは間違いなく昼間だった。それに、社も公の場所だ。誰がいつ、何時なんどき入ってきても、何も文句は言えない。

(ち、ちがう。あれは、少し脅かしてやろうと思っただけだ。クイは俺を嫌っていたし、少し脅かせば、言うことを聞くと思っただけだ。)

 しかし、今度は別の考えが脳裏をよぎった。

(……クイも、領主を脅してウテリア領を奪う気でいたな……。)

 そうやって考えると、二人の発想は同じだった。

 何事も力で解決しようとする短絡的な思考。

(いや、俺は、クイとは違う……。)

 否定しようとして、オレリアスは、やめた。

 相違点を挙げても仕方がない。

 共通点の方がはるかに多いのだ。

 二人とも、己の剣の腕だけで、ずっと大切なものを守ってきた。

(そうか。)

 オレリアスは、冷静さを取り戻すと、

(俺たちは、似たもの同士なんだ。)

と、観念した。

(それでいいんだ。互いに尊重しあえば、誰よりも分かり合える。)

 オレリアスは、クイを見た。

 びなければならないことは、いくらでもあるのに、彼女はもうすでに何もかも許して、ここにいる。これから先もずっと、自分を慕って、そばにいてくれるのだろう。

 オレリアスは、彼女の気持ちにむくいたかった。

「クイ。」

 オレリアスが呼びかけると、クイは、恐る恐るこちらを向いた。

「……はい。」

「クイ、俺と結婚してくれないか?」

「!?」

 正式なプロポーズは初めてだ。

「俺と結婚してくれ。」

「……ほ、本当に?」

「ああ。」

「……わ、私でいいの?」

「いいんだ。」

 未だ半信半疑のクイに、オレリアスは、優しく微笑みかけた。

「俺は、お前がいいんだよ。」


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