プロローグ(2)
ゴゥゴゥと吹き荒れるはるか上空に彼はいた。
彼の名は清水 奏
そして、正確には、空にいるはずのない物の中にいた。
それは、現代陸戦最強兵器、タロット。
名を Y001≪ツクヨミ≫
そのシルエットはどの国のタロットにも存在しない正体不明機。
そして、そのタロットにはどんなタロットにも見られない装備があった。
Y001専用AD001 通称≪エンジェルウィング≫
彼の知っているメカニッカーに作られた一部。
彼は強風の中、かすかに呟く。
「虐殺、か。 コードネーム、シン。ツクヨミ。殲滅を開始する。」
それは意志。
彼は、機体は羽を最大まで広げ、紅い満月を背に、地上へと向かった。
「ミカ、補助を頼む。」
彼はこの機体のAIに頼む。
そして、機体を操作し、人間で言う、両太ももあたりから一対の銃を取り出す。
Y001専用ウェポン、AR001≪息吹≫
ツクヨミの手の中で黒光りするその息吹を地上に存在するタロットに照準する。
☆
とある兵士は虐殺を楽しんでいた。
20mm弾を放つ銃ドイツM&F社 M&ST-Atyを人々に向けると慌てて散り散りに逃げようとする。あまりに無力で滑稽な姿がとても面白いのだ。
「なんだぁ? あれは・・・」
とある兵士はふと、目に入った。
それは、あまりにも綺麗でとても恐ろしシルエットだった。
上りかけの大きな大きな紅く紅い月を背に抱え、羽を広げ銃を両手に持っていた。
ふと思い出した兵士。
ブリーフィングのときの上司の言葉
『・・以上だ。死の天使に合わないことを祈る』と・・・ 。
占めるものは恐怖。
『・・ザザッ ザッ、西より ザッ 敵出現 数1ザザッ アンノウン。おそらくサマエルです。ザッ 撤た ― ・・ダン― いしてください。』
一機が落とされた。狙われた機体は行動不能。弾痕は1。
たった1発の銃弾で仲間は落とされたのだ。
彼の頭に残された行動は1つ。撤退のみだった・・・。
☆




