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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
六章 章タイトルはおいおいで!

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積み上げられた災厄と危うい均衡!?

 公儀隠密の隠し階層へやってきた。

 パスワード管理された部屋のさらに奥。

 閉ざされた深部へと足を踏み入れた。


 その部屋には異様な光景が広がっていた。

 様々な荷物が乱雑に積み上がっている。

 スーツケースやタンス、ロッカーにカラーボックス。

 中には年代物の葛籠(つづら)や玉手箱もある。


 年代やサイズ、形は様々だ。

 だが共通点がある。

 すべて箱、入れ物に分類できる品だ。


 拠点の奥深くで厳重に管理する意味はおのずと知れる。

 趣味で集めた品……ではあり得ない。


 老人――金建(きんだて)さんがタンスの一つに近寄っていく。

 まるで今日着る服を選ぶような気軽な足取りだ。


「この辺でいいかの……ホレ!」


 金建さんがタンスに鍵を差し込む。

 いや、よく見ればその手に鍵は握られていない。

 取り出すそぶりも見えなかった。


 老人が鍵をひねる動作をすると、ガチャリ、と音が聞こえた気がする。

 タンスが開くと、そこには黒々とした転送門が渦巻いていた。


「やはり、ダンジョンか……」

「ということは、ここにあるものはすべて、そうなんですか?」

「悪性ダンジョンが山積みっス!

 大丈夫なんスか、これ!?」


 爺さんが緩んだ顔で言う。


「それが大丈夫なんじゃよ、トウコちゃん。

 儂がしっかり鍵をかけておるからな!」


「つまり、金建(きんだて)さんが、異能で封じているんですね?」

「そうじゃ!

 どうだ、すごいじゃろ?

 かっこいいじゃろ?」


 老人は俺に答えると、トウコにドヤ顔で迫る。


「凄いっス!

 ただのスケベジジイじゃなかったんスね!」

「いつも言っとったじゃろ。

 儂が死んだら、世界が滅びるかもしれんって!」


 鍵をかけて封じる異能……。

 そして術者が死ねば能力は解除される、と。


 トウコが感心した調子で言う。


「へー、本当に凄いんスね!

 冗談(じょーだん)かと思ってたっス!」

「わかったなら、もっと尊敬して敬うんじゃな!」


 老人が長く伸びた白いあごひげをふぉっふぉとしごく。


 俺は笑う老人から視線を外して部屋を見渡す。

 部屋を埋め尽くすほどに積み上がっている箱の数々。


 この全てが悪性ダンジョンだとすると……。

 とんでもないことだぞ!?


 世界が滅びるかまではわからないが、この拠点は間違いなく消滅する。

 周辺一帯を巻き込んだ大規模パージが起きることは間違いない!


 以前の事件では三つか四つのダンジョンで、街の一区画を包んでいた。

 この数となると街ごと消えてもおかしくはない!


 この老人は気難しいと聞いている。

 頼み事もめったに聞いてくれないと御庭は嘆いていた。


 今、機嫌を損ねたらヤバいのでは?

 頼むぞ、トウコ!

 空気を読むんだ!


 老人の言葉にトウコが眉を顰め、口を尖らせる。


「うぇー?

 でも爺はゲームはへたくそだし、あたしが手伝わないとぜんぜんダメっスよね!

 いまさら尊敬(そんけー)とか、ないっスね!」


 ダメだ―っ!

 トウコが空気を読むはずなかった!


 トウコは爺さんの面倒を見ているといっていたが、それはゲームの話だ。

 現実では上司の上司みたいなものなんだぞ!


 だ、大丈夫なのか!?


「フム……」


 トウコの言葉を聞いた老人が顔色を変える。

 老人が表情を一層緩めて、猫なで声で言う。


「そうじゃのぉー。

 またトウコちゃんに手伝ってもらわないとのぅ」


 トウコが腰に手を当て、歯を見せて軽く笑う。


「しょうがないっスねえ。

 暇なときならいいっスよー!」


 よくわからないが、トウコは妙に気にいられているようだ。

 世界の命運はトウコに委ねられた……のかもしれない!

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