【操風】を組み込んだスキルビルドで無双しよう!
しばらくの間、熱中して【操風】の練習を続けた。
周囲の空気を操って、霧を一か所にまとめる。
風で霧を散らし、また集める。
「だんだん素早く操作できるようになってきたぞ!」
【濃霧】や【操水】より、【操風】で動かしたほうが速い。
風忍法は水忍法と比べると範囲に優れるようだ。
俺は濃い霧を周囲に展開したまま、無音でモンスターを始末していく。
やはり濃霧による隠密行動は強い。
低階層のゴブリンが相手とはいえ、まったく気づかれることがない。
俺の宿敵であるコウモリの感知能力、エコーロケーションにすら効果がある。
薄い霧では効果も薄いが、濃ければ一定の効果がある。
それでも完全ではない。
俺へ飛びかかってくるコウモリがいる。
「まあ、当たらないけどな!」
濃霧と水探知のおかげで、回避はたやすい。
さすが我がライバル、忍者絶対殺すマン!
侮れない探知力だね!
大雑把な位置を掴まれしまっている。
ならば、さらに工夫しよう!
風で霧をかき回せば、どうだ……?
【操風】で霧に動きをつけてみる。
「うん、効果がありそうだ!」
霧をかき回すと霧に濃淡ができる。
こうすることで、反響音にノイズが混ざるのだ。
攪乱効果が増してコウモリの攻撃精度が明らかに落ちてきた!
もちろん【操風】を使わなくても、飛んでくるコウモリを切って落とすことはたやすい。
これは【操風】の訓練のために、あえて使っている。
こうして培った戦闘経験は、より強い敵を相手にするときに必ず活きてくるはず!
休憩をはさみ、五階層ボスの大コウモリに挑む。
強敵との実戦で訓練を締める!
大扉をくぐり、ボス部屋へ踏み込む。
何度も戦った相手だが、舐めてはかかれない強敵だ。
濃霧を展開し、隠れながら進む。
大コウモリが来た!
「キィィィィ!」
「む……!」
だが、大コウモリは濃淡濃霧をあっさりと見破ってきた。
ばさりと大きな翼をはばたかせ、霧を吹き散らそうとしている!
やはりザコとは違う!
俺は思わず笑みを浮かべる。
「さすが永遠のライバル、コウモリ先生!
こうでなくっちゃな!」
一部の霧が晴れる。
大コウモリが一気に滑空して突っ込んでくる!
霧が薄くなり、こちらを発見したようだ。
「キィィィ!」
巨体が勢いよく迫る。
大きく翼を広げ、地表すれすれを飛んでくる。
逃げ場はない。
大質量の体当たりを食らえばひとたまりもない。
簡単に骨や内臓を傷つけるだろう。
どん、と鈍い衝撃音が響く。
体当たりを食らって、散ったのは分身だ。
もちろん、俺は食らったりしない。
すでに俺は分身のやや後ろ、濃い霧の中だ。
吹き散らされた霧を【操風】でまとめて潜んでいたのだ。
大コウモリが飛来するタイミングで、俺は空中に跳び上がった。
空中で交差する一瞬、刀の峰を叩きつける。
「フルスイング!」
「ギィッ!?」
低空飛行していたコウモリが床に激突し、跳ね返ってくる。
そこへ、さらに追撃!
体に引きつけた腕を一気に突き出す!
「ピアススラスト!」
「ギ……」
刃がコウモリの眼窩を貫き、そのまま頭部を突き抜けた。
会心の手ごたえ!
大コウモリが塵に変わっていく。
俺は三点着地しながら生成された魔石をつかみ取る。
「よし、ボス討伐!
いやあ、成長を感じるね!」
かつて苦戦した五階層ボスの大コウモリ。
俺の永遠のライバル。
今日はいつもの、有効な攻略方法を使っていない。
忍具や紙吹雪チャフ玉などの対策アイテムなしで倒せた。
いわば縛りプレイだ。
確立した手順を使わなければ、難易度は格段に上がる。
正面から倒したと言えるだろう。
まあ、霧に紛れて不意打ちしたわけだけど!
<熟練度が一定値に達しました。スキルレベルが上がりました!>
<【フルスイング】 3→4>
<【隠術】 3→4>
「おおっ!
【操風】ばかり意識してたけど、こっちが成長したか!」
【操風】のおかげで隠密暗殺ビルドがまた一歩、完成に近づいた!
ご意見ご感想お気軽に! 「リアクション」も励みになります!




