調理器具は武器として使えるのか!?
「――お料理がもっと楽しく、捗りそうです!」
「うむ。
料理に便利なのはよく分かった。
次は武器として使えるかを見てみたいが……」
自分で試すなら、分身を出して攻撃してみるんだが……。
しかしリンはそうするのを嫌がるだろう。
トウコが言う。
「んじゃ、モンスターで試すんスか?」
トウコの言葉に、リンが少し困ったような表情を浮かべる。
「スライムさんだと……うーん。
試してもわかりにくいですよね?」
核に当てさえすれば、簡単に斬れてしまう。
それでは効果が分かりにくいのだ。
「それなら、ウサギかゴブリンで試すか。
水忍法か分身で捕まえれば簡単だろう」
リンが眉を寄せて悩むそぶりを見せる。
「抵抗できないモンスターさんを斬るのは……。
なんだか、かわいそうです」
この優しさがリンの美点だ。
俺もその気持ちはよく分かる。
「まあ、絵的にもちょっとな。
かといって、いきなり実戦は危険すぎる」
包丁片手にゴブリンと向かい合うリンの姿を想像する。
うーん、しっくりこないな。
勝てるだろうけど……。
低階層のゴブリンでも、武器で殴られたらケガをする。
あ、俺と違ってリンなら無傷で耐えられる可能性があるのか。
とはいえ、それこそ絵的に辛い。
まあ、ダンジョン攻略をしている以上、いまさらの話だけどさ。
過保護なのかもしれないが、どうしても心配になってしまう。
俺は軽く息を吐いて、気分を切り替える。
「やっぱり、モンスターとの実戦はやめておこう。
俺が盾を構えるから、そこを麺棒で殴ってくれ」
「盾を叩くだけでしたら……。
はい、大丈夫そうです!」
リンがうなずく。
決まりだな。
「よし、これでいこう!」
俺はトンファー盾を、リンは麺棒を構える。
麺棒は硬い木製の棒で、棍棒みたいなものだ。
リンが棒を握って振りかぶる。
「では、スキルを使わずにいきますねー。
えいっ!」
リンが振り下ろした一撃を、俺は盾で受ける。
ごん、と鈍い衝撃。
たいした威力はない。
リンの細腕じゃ、このくらいのものか。
「ふむ。
じゃ、次はスキルありで!」
「いきまーす。
えいっ!」
リンのフォームは先ほどと同じ。
検証だから、振り方が違うと意味が薄くなってしまう。
リンはそれをちゃんとわかっている。
俺も同じように盾で受ける。
だが、先ほどより速く、重い!
ほう……。
先ほどと比べると、わずかに速度も打撃力も上がっている。
「いいぞ!
ちゃんとスキルの効果が出ている!
さっきより速いし、手ごたえも重くなったぞ!」
「使えそうっスね!」
「よかったですー!」
リンがほっとしたように微笑む。
スキルの効果は確認できた。
とはいえ、リンの直接攻撃にはまだ改善の余地がある。
それは今後の課題だな。
これまでのスタイルを考えると、気になるのは防御スキルの性能だ。
しかしこれは後にしよう。
普通の鍋のフタで試したりしたら、ケガをしかねない。
「さて。
あとは防具として調理器具が使えるかだな。
これは俺が装備を用意してから、改めて試すことにしよう」
「はーい。
楽しみにしていますね!」
リンが期待に満ちた笑顔で力強くうなずいた。
彼女の信頼に応えるためにも、最高の調理器具を作ってやろう。
クラフターとしての魂に火が付いた!
作るものが決まると、やる気が出るね!
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