火照ったカラダを鎮める方法!?
スキルポイントを割り振って【水探知】を取得した。
まさに【水忍法】の核となるパーツ!
様々なシナジーを生み出す最重要スキルだったとは!
目から鱗とはこのこと!
目が悪いことに気づかず、初めて眼鏡をかけたような気持ちだ!
世界はこんなにも素晴らしいものだったなんて!
今検証を始めたばかりだというのに、消費したのは三ポイントだ。
ごく短い時間で熟練度が貯まっていたらしい!
濃厚な経験を積んだからな。
世界の神秘、最奥の叡智を覗き見たのだ。
水えっち……いや、水探知君とは分かり合える気がする。
共に経験を積んでいこうじゃないか!
リンが心配そうに眉を寄せる。
「ゼンジさん……本当に大丈夫ですか?
のぼせたなら、上がったほうが……。
ああ、蛇さんのお肉が効きすぎちゃったのかな……!?」
リンがなにか言っている。
後半は小声でうまく聞き取れなかった。
トウコが俺の肩に手を置き、元気に申し出る。
「手ぇ貸してあげるっス!」
気持ちはありがたいが、それはできないのだ。
今、湯から上がることはできない!
諸事情でな!
「いや、もう大丈夫だ。
水探知の検証はいいとして、次は【濃霧】を試そうと思う」
「あ、水探知はお気に召しませんでしたか?」
リンが残念そうに言う。
俺は首を振って断言する。
「お気に召したとも!
もう取得したから、次の検証に入ろうと思ってな!」
怪訝な表情を浮かべるトウコ。
「あれ?
店長が迷わずに決めるのは珍しいっスね」
勘ぐるんじゃない!
勘のいい子は危険だよ!
俺は話を先に進める。
「あとがつかえているから、どんどん試すぞ!
【検証者】に【濃霧】をセット!」
「セーットっ!」
トウコが復唱してくる。
リンが不思議そうに言う。
「あの、どうして濃霧なんですか?
防水のほうが、今の階層では役に立つような……」
「ちょっと思いついてな。
濃霧が攻略に役立つと、ピンと来たんだ」
頭に血が上った今だからこそ思いついたとも言える。
前から可能性は考えていたが、切実に必要だと感じた。
トウコが頭上に疑問符を浮かべたような顔になる。
「うぇぇ?
なんでキリが役に立つんスか?
もやもやするだけじゃないっスか!」
「暑さ対策だよ!
霧ってのは、水蒸気みたいなものだ」
リンが理解を表情に反映して、ポンと手を打つ。
「あっ!
そういうことですね!」
リンには伝わったようだ。
トウコがじれったそうに言う。
「だから、どういうことっスか!?」
「霧を操れるなら、蒸発や凝結を操れることになるだろ?」
トウコの頭上に疑問符が増える。
「じょ、ジョーハツとギョーケツ?
キリって、じめじめもやもやするだけじゃないんっスか?」
俺は説明する。
「ジメジメするのは湿度が高いからだ。
モヤモヤするのは空気中の水滴が光を散らせるからなんだよ」
トウコがぜんぜんわかっていなそうな声を出す。
「は、はぁん?」
「言い換えれば、目に見えない小さな水滴の集まりが霧なんだ。
たくさん集まるから目に見えて、視界を悪くする。
温度が高いとき、水分は空気に蓄えられる。
それが冷えると水滴に……」
トウコの頭上でハテナマークがさらに増える。
「ちょ、店長!
ムズカシイ話はナシでっ!」
飽和水蒸気量とか状態変化とか……。
そんな話をしようと思ったが、このへんにしておくか。
トウコの頭が限界を迎え、湯気でも出そうな様子になっている。
まあ、細かいことを理解する必要はないだろう。
俺がそれを都合よく解釈して、使いこなせばいいだけだ。
スキルは柔軟だ。
間違った知識を思い込むことで強化されることもある。
正しい知識を前提として細かく運用することもできる。
しかし自分自身に枷をはめて、効果を制限しては意味がない。
だから俺も柔軟に対応する。
リアルとファンタジーを都合よく混ぜて利用すればいい。
「簡単に言えば、霧を操れるってことだ!
霧を作ったり、消したり、動かしたりできる!」
まだ試していないが、ひとまず断言する。
飽和水蒸気量か、温度か、蒸発や凝結、あるいはその全て。
これを支配し、操る能力。
そう言うことで頼むぞ【濃霧】さん!




