風呂特化型忍者!?
俺たちは並んで湯舟につかっている。
草原の柔らかな日差しと風が心地よい。
リンが湯をちゃぷりと揺らし、笑顔で俺に尋ねる。
「湯加減はどうですかー?」
「いつも通りバッチリだ。
ふう、生き返るな!」
俺は湯にゆったりと浸かる。
暑すぎず温すぎず、ちょうどいい湯加減である。
お湯はリンが沸かし直してくれた。
家事炊事は火魔法でお手の物というわけだ!
トウコが湯を手ですくう。
「このお湯も店長水っスね!」
「湯舟やタンクに残っていた水が大部分だけどな」
「言われてみれば、いつもより温まる気がしますー!」
「さすがに気のせいだぞ、リン!」
妙な思い込みで変な水を高値で買わされそう。
そうなったら俺が止めねば……!
トウコがわざとらしい口調で言う。
「いやー、店長水は最高っスねえ!
おかげでお肌はスベスベ!
店長が水を入れて、リン姉があたためる!
水入らずでアツアツな共同作業っス!」
なんだ、このヨイショは……。
おだてても水しか出ないぞ!
って、こいつめ。
「おいっ!
水汲みを逃れようと適当なこと言ってるだろ!?」
トウコがぺろりと舌を出して笑う。
「へへー。
バレたっスね!」
湯舟は三人で入れるほど広い。
水生成でこの湯舟を満杯にするのはムリだろうな。
でも瞑想で魔力を回復しながら時間をかければ……。
うん、練習法としてはアリだな!
いずれやってみよう!
使うほどスキルは使いこなせるようになる。
システム的な熟練度も貯まるしな。
でもま、それは後!
今は癒しの風呂タイムだ!
ゆったりのんびり休む時間だ。
「そうだ。
さっきトウコと話してたんだけど【水生成】のほかにもスキルを取ろうと思ってるんだ。
【濃霧】か【防水】がよさそうだと思うんだが……。
リンはどう思う?」
リンは少し考えてから口を開く。
「防水もよさそうですねー。
でも、私は【水探知】がいいと思います!」
「お?
どうしてそう思うんだ?」
また渋いスキルを勧めてきたな。
理由が気になるところだ。
「お借りした【岩石探知】のナイフが便利だったんです。
トカゲさんが隠れていたのも、これのおかげで見つかったみたいな……」
「ほう?
【魔力知覚】で見つけたんじゃないのか」
「それもあるんです。
ただ、トカゲさんは多分、隠れるスキルを持っているんだと思います。
魔力知覚でもぼんやりとしか見えなくて……」
「うぇっ?
【岩石探知】でトカゲを見つけたんスか?」
俺も使ってみたからわかる。
【岩石探知】はその名の通り岩や石を感じるスキルだ。
トカゲは岩場に潜んでいる。
だけど岩石そのものじゃあない。
岩を隠すなら岩の中。
似ているけど違う……。
なるほど、そういうことか!
「岩が分かるのでトカゲさんが目立って見えるんです。
魔力知覚と、岩石探知と、自分の目で見たものと……。
それで見つけられたんです!」
ほう。
俺は感心して眉を上げる。
「複数の知覚力で索敵したんだな!」
岩を見ることで、それ以外を見つける。
さらに魔力知覚と自分の目も加わる。
ただ足すだけでないだろう。
掛け合わせるような相乗効果が生まれたんだな。
リンが大きく頷く。
「そうなんです!
なので、水探知でも同じことができないかなって……。
それと……」
「それと?」
「私が魔法を使うときは、魔力を感じながら使っているんです。
だから、お水も同じじゃないかなと思って……」
「ふむ……。
俺はなんとなくで魔力を使っているな。
疲労感で判断してる感じだ」
「あたしもそうっス!」
魔力の残量は感覚でしかわからない。
俺やトウコには魔力を感じる能力がないのだ。
【魔力知覚】は魔法使いの特権なのかもしれない。
魔力を感じながら【魔力操作】も使い、豊富な魔力で高威力をたたき出す職業。
忍者の魔力量は平凡だ。
さっきも使いすぎて魔力欠乏症状が出てしまった。
普段の俺は余裕を持って魔力を運用している。
術を使った回数を数えたり、休憩しながら【瞑想】で回復したりしているのだ。
だからカツカツにならずに戦える。
限界まで使うことは、最近ではめったにない。
これはソロプレイ時代に決めたスキル構成が活きている。
継戦能力と生存能力は人並み以上に高いという自負がある。
魔力操作は……あまり意識できていなかったな。
「つまり、水を感じられれば操作が上達するってわけだな!」
「はい、そうです!
……どうでしょうか?」
リンはやや心配そうな表情を浮かべている。
差し出がましいかな……とでも思っているんだろう。
そんなことはない!
リン自身の経験に根差した素晴らしいアドバイスだ!
「ナイスな助言だな、リン!
さっそく【検証者】にセットしてみよう!」
空き枠を遊ばせておくわけにはいかない!
気軽に試せるんだから、バンバン使っていくぞ!
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