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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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無味無臭! だけど水臭い!

「そう言えばゼンジさん。

 さっき、トウコちゃんと何を話していたんですかー?」

「ああ、新しいスキルを取ったんだ。

 水生成って忍法だ」


 俺は指先から水を飛ばして見せる。

 と言っても飛距離はほとんどない。

 水圧の弱いおもちゃの水鉄砲くらいだ。


「わあ、ゆっくりお水が出せるんですね!」

「うむ……。

 ゆっくりしか出ないんだけどな……」


 物は言いようだ。

 水噴射は激しくしか出ない。

 こっちは少量がゆっくり出る。


「これでおフロの水入れ放題っス!」

「お風呂……?」


 リンが首をかしげる。

 いきなりそう言っても飛躍していて伝わらないよな。


「風呂の水を汲むのが面倒って話でな。

 あ、そうだリン。

 この水を鑑定してくれるか?」


 俺はコップに水を入れて差し出す。


「はい。

 ……素材で、お水ですね。

 毒はなくて、飲めるそうです」


 リンは虚空に向かってうなずいた。

 不可視状態のシステムさんから【物品鑑定】の結果を聞いたのだ。

 そのあと【食品鑑定】もしたようだ。


 普通の飲める水という結果だ。


「水道水やミネラルウォーターと同じ扱いだな。

 つまり、普通の物質とみなされるのか」

 このお水は水噴射と違って、ずっと残るのかな?」


 トウコが言う。


「生成なんだから、そうじゃないっスか?」


 スキルの説明は相変わらず簡素なものだ。

 生成する、としか示されていない。


「ゼンジさん。

 これ、飲んでみてもいいですか?」

「大丈夫だと思うけど、まだ自分で試していないんだよな」

「では、私がはじめてですね!

 いただきまーす!」


 リンは嬉しそうにコップを傾ける。

 こくこくと喉を鳴らして一気に飲み干す。


 ふう、と息をつき、顔を紅潮させて言う。


雑味(ざつみ)がなくておいしいですっ!

 なんだかスッキリします!」


 お、妙に好感触!

 そんなにうまいなら俺も飲んでみようかな。


 ん?

 トウコがコップを差し出してくる。


店長水(てんちょうすい)、あたしも欲しいっス!」


 なんだその微妙なネーミング。

 俺の体液ってわけじゃないぞ。


 トウコがはよはよと、コップを振って催促してくる。


「がっつくなって。

 ほらよ!」


 俺は指から出した水を【操水】でコップへ飛ばす。

 指水鉄砲の術!


 見事にコップに水が入る。

 さらにこぼれたり跳ねたりしないよう水を操作!


「おおーっ!

 ウォーターサーバーっス!」


 トウコがコップの水をがぶがぶと一気飲みする。


「うーん……」


 微妙な顔を浮かべ、コップを差し出して笑う。


「ぬるーいっ!

 もう一杯っス!」

「温度にうるさいね!?

 常温なんだよ!」


「冷たいお水は出ませんか?」

「無理みたいだ。

 お湯も作れない」


 冷水や熱湯は出せない。

 常温の水が出るだけだ。

 念じても効果は表れなかった。


 水生成君は、忍具作成君のようにホイホイやってくれるタイプじゃないようだ。

 水臭い奴め!


 コップに注いで飲んでみる。


 ふむ……。

 ぬるいというか、刺激を感じない温度だ。

 胃に優しいかもな。


「ゼンジさん、お味はどうですか?」

「味は……まあ、うまいんじゃないかな?

 水道水特有のカルキ臭は感じないし、匂いは悪くないな」


 無味無臭で飲みやすい。


 リンが(あわ)てた様子で容器を探している。

 ヤカンを手に取って差し出してくる。


「あの、お料理に使いたいので、いただいてもいいですか?」

「いいけど……。

 味はともかく保存性はどうなんだろうな?

 殺菌成分が入っていないから、雑菌が繁殖するかもしれないぞ」


 湯冷ましした水や浄水した水は長期保存には向かない。

 常温で放置したら、すぐ雑菌が繁殖してしまう。


 リンが首を傾け、考え込むような仕草をする。


「うーん。

 それなら【食品収納】に入れておけば大丈夫ですね!」

「貴重な収納を水で埋めるのもな……。

 まあ、実験のために水を汲み置きしておこう」


「ありがとうございまーす!

 もし痛んでしまったら【食材無毒化】をかけて飲みますね!」


 なにやら頼りになる顔で言うリン。

 しかし、そこまでせんでも!


「いや、捨ててくれてもいいんだぞ」


 ただの水だし、いくらでも出せる。

 まあ、湯舟を満杯にするのは魔力的に厳しいけども。


 飲食に使うくらいの水量はすぐに出せる。

 そんなに大事にしなくてもいいだろう。


 リンがぶんぶんと首を振る。


「いえいえ!

 せっかくゼンジさんが作ってくれたお水を捨てるなんて、できません!」

「ああ、そう……。

 まあ、好きに使ってくれ!」


 勢いがちょっと怖いけど、ずいぶん気に入ってくれたようだ。


 今後、ダンジョン内で飲み水に困ることはない!

 それだけでも心強い忍法だと言えるな!

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