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【新章開始】社畜辞めました! 忍者始めました! 努力が報われるダンジョンを攻略して充実スローライフを目指します!~ダンジョンのある新しい生活!~  作者: 3104
五章 本業は公儀隠密で!

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シャワー祭りと魔石の鑑定!

 リンが顔についた血を布で拭う。

 それを見て、トウコが思いついた顔で言う。


「あっ、店長(てんちょー)店長!

 せっかくなんで、あたし達に水をぶっかけて欲しいっス!」


「ぶっかけろってお前……。

 ペットボトルの水は残り少ないから、節約しないとな。

 そもそもトウコは汚れてないだろ!」


 トウコがげんなりした顔で言う。


「もう暑くって汗だくベトベトなんスよぉ!」


 水はあと一本しかない。

 まさか熱水で洗う訳にもいかないし。


 出口は近いはずだが、まだ見えていない。

 油断して脱水症状で死亡……という末路は避けたい。


「うーん。

 すぐ帰れるとは思うが、飲み水がなくなるのは困る」

「ソッチじゃなくて、アッチっス!

 水噴射でぶしゃーっと!」


 俺は言い聞かせるように言う。


「水噴射は微調整が効かないんだよ。

 結構な水圧になるから、危ないぞ」


 人体に向けて使うような術じゃない。

 トウコが気楽そうに言う。


「そこはうまいことやってほしいっス!

 お願いっスよ、店長エモーン!」


 無茶振りを!

 俺は少し頭をひねる。


「うーむ。

 まあ、壁に当てて勢いを殺して……。

 さらに【操水】も使えばなんとかなるか?」


 リンが申し訳なさそうに言う。


「では、私からもお願いします。

 さすがにちょっと、気持ち悪くて……」


 ダンジョンでは、モンスターの血肉はすぐに塵になって消える。

 とはいえ、少しの間でも気持ちのいいものではない。


 周囲に敵は見当たらない。

 オトリ分身を放って索敵させておけば、大丈夫かな。


「じゃ、やるか。

 目や耳を守ってくれ」


 俺は二人から距離を取って、両手を揃えて構える。

 狙いは天井だ。


「いくぞ!

 ――【水噴射】、【操水】!」


 水流が勢いよくほとばしり出る。

 天井に当たった水流が弾けて降ってくる。

 かなりのまとまりを持って、どぼどぼと床に落ちる。


 これを当てたら、滝行みたいになってしまう。


「ちょっと角度調整して……」


 水流を天井に当て、さらに壁に当てる。

 微調整は【操水】で行う。


 二段階の衝突で、かなり水がばらけてきた。

 この角度でいいな!

 ある程度ばらけた水が、シャワーのように降り注ぐ。


「よし、いいぞ!」


 二人が、水の下に走り込んでいく。


「わあ、豪華なシャワーですねー!」


 リンは髪から血を洗い流している。

 そして先ほど貸した手拭いを丁寧に洗いはじめる。

 そんなことしなくても、放っておけばキレイになるんだけど。


「うひょー!

 涼しいっス!」


 トウコは水量が多いところを選んで頭からかぶっている。

 元気な小型犬めいた無邪気さだ。


 床に跳ねた水が広がる。

 これは時間経過で消えてしまい、残らない。

 飲み水にはならないのだ。


 【水噴射】はあくまで、一時的な水を出す術である。

 となると水が奪った熱はどこへ行くんだろうか。

 周囲の温度は少し下がっているように思える。


 熱量保存の法則とか、どうなってるんですかね。

 ……まあ、気にすまい。


 ファンタジー空間で起きる、ファンタジー忍法のやってることだし!


「アギャギャ!」


 あ、分身がやられた。

 釣れたのはゴブリンだ。


「ゴブリンが来たぞ!

 戦闘準備してくれ!

 ――うりゃあっ!」


 そう言いながら水流をゴブリンに向けて薙ぎ払った。


 そのままゴブリンを倒し、出口を目指す。

 さらにトカゲを狩ったところで、階段が見えてきた。


「よーし。

 これで今日の探索は終わりだ」

「じゃあ、おフロっ!

 すぐおフロに入りたいっス!」

「そうですねー」


 階段に踏み込んだところで、俺は言う。


「あ、そうだリン。

 魔石の鑑定を頼む」

「はい。

 システムさん、お願いしまーす」


 【サポートシステム】(タコウインナー)が現れて、魔石を鑑定していく。

 結果は……。


<名称:火トカゲの魔石。カテゴリ:魔石>


「お、()トカゲか」

「普通のトカゲさんじゃないんですねー」


 コウモリやカマキリはそのまんまのネーミングだ。

 単にトカゲかと思ったけど、違ったな。


「爆発トカゲかと思ったのにハズレたっス!」


 サポートシステムが鑑定を続ける。


<名称:赤ゴブリンの鉱夫(こうふ)の魔石。カテゴリ:魔石>

<名称:赤ゴブリンの投擲士(とうてきし)の魔石。カテゴリ:魔石>


(あか)ゴブリンさんなんですねー?」

「うーん。

 まさか適当に呼んでいた通りの名前とな。

 本名はまた違うと思っていたよ。

 火トカゲときたら火ゴブリンだろ!」


 もしくは赤トカゲだろ!?

 統一してくれよ!


「あたしは燃え着火(モエチャッカ)ファイヤー・インフェルノゴブリンだと思ってたんスけどねー」

「そんな長い名前なわけないだろ!」

「覚えられませんよねー」


「さーて、あとは戦利品チェックっスね!」

「トカゲさんのお肉、あるといいですねー!」


 新しい敵と戦うのは、緊張感があっていい。

 なにより、悪性ダンジョンと違ってすぐに帰れるのがいい。

 実家のような安心感だ!


 さて、手に入れた魔石をショップで引き換えよう!

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