カステラ
法治国家日本。
その首都東京、その片隅にひっそりと佇む古ぼけた、否。味のある風合いのバーが一軒。
そこにいるのは初老を迎えたであろう、小綺麗なバーテンダーが一人。
その前のカウンターに少し小柄だが綺麗なスーツを着込んでコニャックを飲む男性と、秋口だというのに黒いロングコートの男性が、語り合っていた………
「で、俺はどっちをヤりゃぁいいんだい?」
「勿論両方とも血祭り、と言いたい所なんだが事はそう簡単じゃ無いんだよな。」
楊は一呼吸置き話す。
「上海の方は俺のテリトリーだ。そっちはどうとでもなる。だが、問題はロシアンマフィアだ、
あいつら武器商人スコーピオの娘を人質に取ってやがる。」
「めんどくさそうな匂いしかしてこないな。要はそいつをかっさらって、かつ血祭りにあげろと?」
「話が早くて助かるよ。」
「はぁぁ、血祭りだけならよかったのによ、報酬は?安くは上がらないぜ?」
「わかってるって、そこんとこは勉強するよ
勿論お前の欲しがってるものでな。」
ブラックマンの眉毛がピクリと動く。
「情報が……入ったのか?」
「あぁ、まぁそこまで大きい情報がある訳じゃないがお前にとっては必要なものだろう?」
あぁ足元を見られているな……
そう感じていたが首を縦に振る以外の行動を自分自身が許さなかった。
ニヤリと微笑む楊に難しい顔を取りながら立ち上がる。
そして一言、「ごちそうさん」
そう言ってブラックマンは酒場を去っていった。
「やれやれ俺が客なんだが、まぁいいか、
マスター、もう一杯コニャックだ。」
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コンコン
ドアは開けっ放しなので仕方なくノックをする
ここは古本屋。
どれもこれも今さらな感じが否めない古い書物ばかりだ。
事このご時世に紙媒体など酔狂な店も有ったものだと言わんばかりの店の寂れっぷりだ。
「いらっさいましー!!」
「あらあら珍しいお客様ねぇ黒ちゃんじゃない」
少しおっとりめのロングヘアー。
胸には迸らんばかりのメロンが2つ、すこし着崩れている着物から目眩を起こしそうなほどの色香が溢れだしている。
「久しぶりだな、アゲハ」
そう言うと持っていた包みを渡す
「いつもありがとうね黒ちゃん
あぁ……文敬堂のカステラね?大好きなの!
お茶いれるからあがって?」
「あぁ邪魔するぜ。」
「っと、その前に1ついいか?情報を楊に売ったか?」
「えぇ、相当な値段で買っていったわよ?」
「……そうかよ」
一足遅かったそう思った。
ただ、世界でも有数の情報屋だ他にも得られるモノはあるだろう。




