仕事の依頼
煙草の煙が薄暗く彩られたレトロなバーの空中に漂う。
飲みかけのスコッチを置き、古めかしいドアに身体を向ける。
キィィ 小気味のいい音を立てながら開いていくドア、その先に立つ中肉中背の男に声を掛ける。
「待ってたよ楊さん。」
「おぉ、ブラックマン久しぶりだね。」
ブラックマン、そう呼ばれた男はバーテンにコニャックを注文すると楊という男をカウンターの隣に促した。
運ばれてきたコニャックを傾けながら、ふうっと息を漏らし楊は身体を少しブラックマンに向ける。
「掃除の依頼かな?派手にヤられてるようだし」
新しい煙草に火をつけながらブラックマンは呟く
「ああ、そうなんだよ。非道い話だろう?こっちは兵隊150人はイカれてる。それに事務所にも来てね」
「ホシは?」
ああ、と、楊はうちポケットから1通の封筒を取り出しカウンターに放る。
それを受け取り開く、カランとスコッチの氷が溶け、音をならし、早く飲まないと水割りになるぞ、と急かす。
「ほぅ、こりゃぁ豪勢だなたった1つの看板潰すのに上海とロシアが手を組んでくるか」
「そうなんだよ、弱いもの虐めは嫌いだ。」
「ハハハっどの口が言っているのか」
「俺のは趣味兼仕事さ鉛弾で人の頭を弾き飛ばすのが好きなだけだよ。」
楊は、そう言ってもう一杯コニャックを注文する。
「んで、あちらさんは掃除屋使ってんのかい?」
「使ってない様だな情報屋から買ったんだ間違いないな。」
「マフィア同士の小競り合いに掃除屋使わないなんて珍しいというか、傲慢だな。」
小さくなった丸氷を見つめ渇いた笑みを漏らす。
「その答えは簡単だよ。お前だよブラックマン、掃除屋だってバカじゃない、やり合う相手のこたぁ調べる。」
コニャックを一気に煽り目を細めながら言葉を続ける。
「度々俺と会ってる身長180cm黒のロングコートどう見ても堅気じゃない雰囲気の左目の縦傷。どう考えもお前しかいない。」
「最高にいい男って所が抜けてるぜ?」
チェイサーで頼んだジントニックを飲み干し、楊に向き直る。
「ハハハっ相変わらずだな。最強の掃除屋とやり合うやつの顔が目に浮かぶよ。」
新しいスコッチを頼みなおすと、ふうっと煙草に火をつける
「仕事の話をしようか、」
ブラックマンは紫煙を燻らしながらつぶやいた。




