1話 「君は初めて嘘をつく」
これは今から10000年後程の遠い遠い未来の話。
この10000年の間に、地球は色々と変わっていた。
10000年もあれば生物は進化する。過去から現在に至るまで、人類というものは様々な進化を経験してきた。
今から約700万年前には、最初の人類の猿人が誕生した。猿人は二足歩行を取得し、道具が使えるようになった。
約240万年前に、猿人は原人へと進化した。原人は火や言葉を使い始めた。
約60万年前には旧人へと進化した。旧人は心が発達していた。仲間を弔うことが出来るようになったと同時に、「嘘」の存在が現れた。
約30万年前には新人へと進化した。新人は高度な知能を得て、国を作ったり、戦争をしたりした。また、技術の進歩も凄まじく、コンピューターやAIなども創り上げた。
そして現在、人類は超人への進化が進んでいる。
超人は、今までの人類とは大きく違う点が一つある。それは、生まれた時に超能力が与えられているというところだ。例えば、火や水や電気を操ることができたり、かっこいい使い魔みたいなものを召喚できたり、瞬間移動ができたりと、新人たちが夢見るような能力が与えられる。
そんな超能力を持った人類が一人現れたら、世の中はどうなるだろうか?無論。戦乱の世となる。10年前ほどには、第5次世界大戦が行われた。勝ったのは、超能力者を保持していたドイツだった。ドイツでは、戦争後、超人が繁殖し、ほとんどの超人をドイツが保有する形となった。
もしドイツが戦争を仕掛けてきたら負ける。そう思った各国は、ドイツと統合することを決意した。その結果、地球は一つの国となった。
では、戦争はなくなったのか?否。なくなっていない。
人類は進化をし続けた。それは地球で。宇宙で。
人類が超人へと進化し始めた頃、太陽系の中でも新たな生物が出現し始めた。起源は不明。
その生物たち、以降宇宙人とするもの、はありえないスピードで成長した。今では地球よりも高度な文明を築いているところもある。
ある時、そんな宇宙人が地球に攻めてきた。地球は負けた。超能力者を唯一保持していながらも負けた。これを火星地球全面戦争と呼ぶ。
火星地球全面戦争のせいで、地球が弱いと宇宙に知れ渡ったのか、水金火木土天海で太陽同盟が組まれた。
太陽同盟は、地球に戦争を仕掛けた。第一次宇宙大戦の始まりである。
そして今。第一次宇宙大戦の真っ只中である。
「あっ、アーサー君が起きた!!」
可愛らしい、女の人の声が聞こえた。アーサー君っていうのは誰のことだろう。分からない。
目を開ける。目の前に、女の人が立っている。この人が声の正体か。
周りを見渡すと、俺は白い部屋にいることが分かった。
窓がある。窓の外を見ると、そこにはあたり一面の星空が広がっていた。
やけに体が軽い。俺、今なら空を飛べるんじゃないかな。
というか、アーサーって誰のことだろう。この流れ的に、俺のことっぽいが、俺はそんな名前を授けられた覚えはない。そもそも名前を覚え出せない。
「アーサー君、おはよう!」
「あ、おはよう。」
おはようと言われたので反射的に返した。
「ちょっと聞きたいことがあるんだが、俺ってアーサーって言うの?」
女の子はものすごく驚いた顔を見せた。
なんか俺変なこと言ったかな?いや、そりゃ自分の名前を知らないって急に言われたら誰でも驚くか。
「え、自分の名前を覚えてない?」
「うん。」
「てことは、記憶喪失かな?私のこととか、この船のこと、覚えてない?」
「全く覚えていないです。」
そう、俺は何一つ記憶がない。記憶喪失というものになってしまったらしい。
「君の名前は、ディープルート・アーサーだよ。」
彼の名前はディープルート・アーサー。
―人類初の超人だ。
能力は重力。
彼は任意の相手に重力をかけることが出来る。
能力ランクは唯一のSランク。
誰もがチートだチートだと叫んでいる。(本人はこれらのことを現時点では知らない)
ちなみに、能力ランクは下からG・F・E・D・C・B・A・Sの8ランクにわけられる。
Gは一般人と変わらない。
Fは木刀。
Eは鉄バット。
Dは刀。
Cはガトリング。
Bは戦車
Aは核爆弾と同レベルだ。
そして、Sは天変地異を起こせるレベル。やろうと思えば、全人類絶滅させることも可能だろう。
「君の名前は?」
「私の名前はスターブルーム・アネット」
彼女の名前はスターブルーム・アネット。
能力は星座。
全88種類の星座を召喚することが出来る。しかし、同時に召喚出来るのは一体まで、という制約がある。
能力ランクはCランク。
結構強い。(アーサーは知らない)
「そっか。記憶喪失になったってことは、アーサー君、ここがどこなのかも分かんないか。」
「まぁ、そうですね。」
「じゃあ、私がいろいろ教えてあげる。それよりも、敬語、やめてくれないかな?アーサー君が敬語なのはなんか違和感。」
俺は初対面の人にタメで話せるほど陽キャじゃない。
というか、記憶喪失前の自分はアネットさんとどんな関係だったんだろう。こんな親しく接してくれるなんて⋯。
もしかしてカップルとかだったり。なわけないか。
「こんな感じでいい?」
「うん、まあ違和感あるけど、今回は許してあげる!」
「敬語外してくれたことだし、説明するね。」
「私たち、地球は今戦争をしているの。地球 vs 太陽系の第一次宇宙大戦。」
そんなん圧倒的に地球にとって不利じゃないか。
「今、地球勝てるわけないじゃんとか思ったでしょ。」
すごい。人の心を読む能力でも持っているのではないだろうか。
「やっぱり。全部顔に出てるよ。」
俺ってそんなに顔に出るのか。意外だった。
「大丈夫だよ。私たちには超能力者がいるから。あなたも、私も超能力者。」
俺が?そんな感じは全くしない。
「アーサー君の能力は重力。能力ランクはSランク。いいよね。強いって」
Sランク。分かんないけど響き的に強いんだろう。
「私の能力は星座。Cランクだよ。」
Cか、そんな強くないのかな。どんまい。
「それよりも!今、私達は第一次宇宙大戦の最初の作戦である、水星支配に向かってるの。」
「そして、今は宇宙船の中。」
どうりで体が軽かったり、変な感覚だったわけだ。
というか、宇宙で重力って最強じゃないか?
俺は気づいてしまった。
「これは国の指示でね。一旦水星は弱いから倒して仲間にさせておけって。」
「後もう一日ぐらいで水星に着くの。そのときは、アーサー君も戦ってね。」
戦う⋯。なんにも戦闘についての知識がないのに大丈夫なのだろうか。
「だいたい分かった?」
「分かった⋯はず。つまりは今は水星に戦いに行ってるんですね。」
「まあそんなところかな。」
「じゃ、私は船長としていろいろ仕事をしてくるから。アーサー君はここでくつろいでたりしといて!」
「そうだ。一つ言い忘れてたことがあった!」
「アーサー君は私の彼氏だから。これからもよろしくね!」
「え?」
そういった後、アネットはドアを閉めて部屋から出ていった。




