◇21 今後の方針
二話更新、最終話。
セブをお迎え出来たので、休憩するため、一晩最果ての街で休むことになった。
セブを迫害した街の人達は信用出来ないと拒絶姿勢を見せるレオとシンの気持ちはよくわかる。
迫害されたセブが仲間にいるのだ。警戒するほどに信用が地に落ちているのはしょうがない。
自分達の過ちなのに、被害者面した様子にプンスカしてしまう。ムキー!!
空き家を借りて、そこに泊まることになった場所で、またもや変身したので、今がチャンスだと料理を作ることにした。
渡された食材を厳しくチェックしつつ、人になれた私は料理を始める。
作る料理は無難に生姜焼きだ。
ちゃんと調味料があるしね。まぁ、魔物肉だけれどね。
ストーンボアでじゃんじゃん焼くぞ! セブもお腹を空かせているだろうからね! 大丈夫、食べ盛りなイケもふのお腹を満たして見せるぜい!!
「生姜すり下ろすの? オレやろうか?」
「ストーンボアの肉は僕が切りそろえておきますよ」
「焼くのはオレがやろう」
「…………」
私が料理したいのですが……???
でもちっちゃいくせに翼が邪魔な私に、手伝いは必須だったので助かった。
レオとシンとセブが手伝ってくれるのを横目で眺めて、私はこれはこれでいいな、とくすぐったくなる。
「ねぇ、みんな。みんなはここで……この世界で生きることに異論はない? セブは嫌かもしれないけれど……」
「ん? オレ達はご主人様がいるなら、この世界で生きるよ」
「そうですよ。ご主人様がいるのですよ」
「オレもご主人様がいるなら、この世界でいい」
あはは……私が基準か。
「私もみんながいてくれて嬉しいよ。とても助かるしね。心強い」
生姜のタレをスプーンで掻き混ぜる作業しかしてないな、私。
ん、味はこんな感じでいいっか。
「こうしてみんなが揃ったから、今後の方針を決めたいと思うんだ。私としては、みんなの強さを活かして冒険者活動で生計を立てつつ、みんなで寛げる家を見付けてまったりしたいなぁーって。どうかな? 何かしたいことってある?」
「ご主人様にもふもふしてほしい!」
「僕もです!」
「お、オレも!」
「あはは、それだけでいいの?」
「膝枕!」
「あ、ズルいです! 僕もです!」
「オレもだ!」
「え? 本当にそれだけでいいの???」
冗談かと思ったけれど、本当にもふもふだけでいいのか、このイケもふ達。
「もふもふしてくれるなら、どんな魔物討伐も頑張ってきちゃうよ!」
キュートなライオン耳をピクピクさせたレオが、にっかりと眩しい笑顔で言い切った。
「僕が結界を張ってお守りしますから、ご主人様も一緒に冒険に行きましょう。きっと楽しいですよ」
優雅という言葉がぴったりと合う虎耳のシンは、微笑んだ。
「オレも戦える。……でも、ご主人様はそばにいてくれる約束だ。冒険の時も、一緒にいてくれ」
ぺしょんと熊耳を垂らして不安げに頼み込むセブ。
三人は、冒険も一緒がいいと要求した。
「うん、みんなを信じてるから、冒険もついていくよ。回復なら出来るから任せて!」
まだまだ神様の眷属としての力はコントロール出来てないけれど、回復能力もあるから役に立てるだろう。
「あとはご主人様が好きなように過ごしてください。おそばにいますよ、おともさせてください。もうつらい仕事はしなくていいんですよ、僕達がついてます」
「そうそう。当たりがキツイ先輩とやらもいないしね。この世界なら、ご主人様に当たるような住人はいないと思うけれど、ちゃんとオレ達が守るよ」
「つらい思いはさせない……好きなだけまったりしてくれ」
「……みんな」
そうか。社畜から逃れられたのか。漠然としてしまうけれど、ストンと自分の中に落とし込んだ気がする。
ずっと心配してくれた三人は、気遣ってくれて笑いかけてくれた。
「そうだね! 一緒に気ままな異世界ライフを楽しもうね!!」
異世界でイケもふ達と冒険しつつも、スローライフを過ごそう!
ちょっとヤンデレ気味だけど! 大丈夫、心強い味方だ!
それが異世界で神様の眷属として転生した私の方針だ!
よろしくね、私のイケもふなペット達!!
完
※※※
以上、今年(2024)の誕生日記念作品でした!
ぴよこになっちゃうヒロインと、とあるゲームのイケメンが恋しくなった気持ちを掛け合わせた物語でした!
直前まで、記念作品として投稿するかどうか悩んでましたが、いつもの衝動に負けました!
実はまだイケもふペットが異世界にいるという第二章も考えてあるのですが、
とりあえずここまでで完結にします。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
2024/08/15⭐︎




