第175話 死神探偵、読腹解斗
11月2日(日)午後1時
直子達が立ち上がる間、色々な殺人未遂事件が起こった。
・島立戒、同窓会で鈍器で頭部を殴打される。しかし、自力で病院で一命を取り留め、犯人を告発。
・元挫折の土田積夫・父に絞殺されそうになる。
・元強制の規律守のクラスの優等生、連帯責任を苦に問題児を撲殺未遂。
そんな中、読腹を気絶させた安倍は、車に乗せて運転していた。
車は、安倍が手配した車だ。
「ううっ・・・、ここは・・・?」
「目、覚めましたか?」
後ろの座席に読腹が起きた。
運転席には安倍が座っている。
「読腹さん・・・、俺たち以上に凄い修羅をくぐっていたんですね」
「何を知った様に言うのかな?」
「俺も直子達と会う前から悪霊や妖怪達に命懸けで戦っています。けど、その事件はいつも依頼を受けてから犯行現場に来ているんです」
「そ、そうなんだ・・・」と読腹は呟く。
「読腹さんはさっきまで生きて会っていた人が無言の遺体になったと言う事がよくあるんですよね?」
「そうだね。出会いは良かったのに、別れが死と言うのは辛いよ」
読腹は頭を抱える。
「それで、どうして君は僕を車に乗せているのかい?」
「貴方が未遂事件を起こすのなら、俺にも手伝わせて下さい」
安倍は真剣な顔とトーンで宣言した。
「何だい?住民を犠牲にするのかい?」
「それもありますが、こうなったら読腹さんの呪いを使って、更なる事実を炙れるんじゃないかと思うんです」
「炙れる?」
「現場で騒ぎになって、その場所で因習とか不正とかが家宅捜索とかで判明できそうな気がするんです。そう言う場所に心当たりがあるんですよ」
「パパラッチの さんみたいな事をするんだね」
「そうです。そもそも、これ考えた理由が元挑戦者の人がきっかけなんです」
安倍は崩壊・革命の合唱団団長の宇田川のら事を話した。
「そうか、記憶喪失になった人を斬ったんだ。しかも、宇田川の標的は悪しき風習の。だから君は僕に協力して利用すると・・・」
「はい、それと俺は樋田のダミーもやらされていたので、貴方との縁も少しはあるんです。だから・・・」
「分かったよ、ありがとう。同情とか罪悪感とかが理由じゃなくて嬉しいな」
「……(同情だったら拒否していたのかよ。プライドが少し高いな)」
安倍はうんとも言いづらくなった。
それから17分後、直子から提案のメールが送られた。
「殺人未遂で無傷が重体かは問わないか・・・。読腹さん、事務所で報告された未遂事件ってカウントされてるの?」
「はい、数に入っています」
「おっ、そうか!読腹さん、出来るだけ人を傷つけずに呪いを解けるかもしれないぞ!」
安倍は読腹の現在地を教えて、周辺で直子達が殺人未遂を無傷で止める策を教えた。
「力技じゃないか、それ」
読腹は呆れた。
「じゃあ、どうやって被害を少しでも弱めるのですか?」
「そうだな・・・、最初っから見捨てる僕が言う義理じゃないね。ごめん・・・」
と言う事で、安倍は現在地を直子達に教えた。
13:40 西区某住宅街
ある一軒家の庭で、一つの事件が起ころうとしていた。
「アンタの教育という名の暴言でっ、娘が自ら居なくなっちゃったのよっ!」
娘の仇を討とうとする40代の女性が50代男性の教師に包丁を向けていた。
「そんな物を見せても、私は認めんっ!私は正しい事を言った!貴女の娘さんが脆かった!こっちが謝って欲しいくらいだ!」
「ふざけんなぁっ!」
女性が包丁を前に出して、突撃する。
その時だった!
スリッパが女性の行く先に飛んで来た。
「なっ、何これっ!?」
「スリッパ!?」
男性と女性は驚いていた。
飛んで来た先に振り向くと、塀の上に直子がいた。
「あのー、何かありましたか!?」
大きな声で一つの殺人未遂を無傷のまま終えさせようと、尋ねる。
しかし、この作戦は直子達だけでは難易度が高い物だった。
隣の家から、女性の悲鳴と鈍い音が聞こえた。
「「「なっ!?」」」
3人が驚いて、隣の家に向かうと、そこには30代の女性が頭から血を流して倒れていた。
女性の付近には、ガラスの灰皿があった。
モストホープ社
「これ直子達だけじゃ足りないね」
「まさか隣で続けて事件が起こるなんて・・・。さっきまで殺そうとした人も驚いてるぞ」
「直子さん達、正気のまま成功を最小限に抑える事が出来るのでしょうか?」
「無理そうだね。事件が起こった後は事情聴取とか色々ロスタイムが発生するよ」
「あれっ、先生は?」
「怪我人の治療に行きました。事後の治療なので、妨害にはなりませんと伝えたら急いで行きました」
モストホープ社、窓際の通路
「次は何処で起きますか?」
美香は占い師のカサンドラビューに殺人事件が起きそうな場所を宇宙から国嶋市を覗いて予知する。
「次は、南区の竜小屋町の三柳さんの家でで事件が起こります」
美香はカサンドラビューの占いが当たるのを信じていた。
彼女は人の死も予知する事が出来る。
しかし、致命的なデメリットがある。
それは、カサンドラビューの占いを誰も信じてくれない事だ。
彼女はギリシャ神話に出てくるトロイアの王女『カッサンドラー』の様に予言した事を信じてもらえないと言う呪いの様に誰も信じてくれない筈・・・、だった。
カサンドラビューは不思議に思う。
しかし、風刺画の風間はどうして信じるのか、気づいた。
一つは、美香が無いよりマシだと言う考えの元で聞いているからだ。
美香は怪しい予言を信じる程、一つでも情報を求めている。正に溺れる者は藁をも掴む。
もう一つは、死に近い事を自認出来るか。
カサンドラビューは、突然通り過ぎる人に死の予言を伝えては、怪しまれて信じてもらえない。
しかし、その後に本当に言われた人は事故や殺害されて等で死んでしまう。
これによって予言は本当と認識されると思いきや、カサンドラビューが死の運命を付与している『言霊』と認識されて迫害される様になった。
そして、現在は誰かの殺人未遂が起こる事を美香達は認識している。
その為、カサンドラビューの予言が殺人未遂をどう最小限にできるかの助けになっていく。
美香は次の犯行現場をメッセージアプリのグループチャットに書き込む。
尚、今回のグループチャットは直子達だけでは無くなっていった。
一部の参加者、元挑戦者だった者も殺人未遂を止めようとしている。
※尚、今回のチャット履歴は挑戦終了後、消去される事になっている。
それから、4日間事件が立て続けに起こった。
三柳さんの家
「死んで詫びなさい」
三柳坴男の妻、三柳正恵(48歳)は坴男に包丁を刺そうとしていた。
そんな時だった。
「待ちぃ!」
窓ガラスを割って犯行現場に入り込む人がやってきた。
入った男は祭りの だった
「何をしている!」
「「それはこっちの台詞だ!」」
殺人現場になる状況とは思えない程、三柳夫妻は息ぴったりに文句を言った。
「包丁刺そうとしているアンタにだけは言われたかねぇよ!」
そして、いざこざになった。
「やめろぉ〜!うっ!?」
被害者になりそうな須田直哉を庇おうと、 島立が自ら盾になって、腹部を鉄串で刺された。
「島立さんっ!?」
須田直哉の父、須田玄人は刺した鉄串を握ったまま引き抜いて、須田直哉に迫る。
「くそっ!邪魔だ!」
「おぉいっ!?」
直哉は逃げるも、背中から鉄串を刺された。
「まじ・・・かよ・・・」
島立は唖然としながら意識を失う。
氷川率いる愛星家達はそれぞれ止めようと励む。
小野聖子が元シスターらしく、諭す。
「今ならまだ罪は軽くなります。もう、やめましょう」
かつての鬼塚望にイジメを行って返り討ちにあった男子中学生が襲撃。
それに対して、望は鬼の力が発動とするが・・・。
「望・・・?はっ、やめろっ!」
近くにいた蛇笏が目を見開いて叫ぶと、突如、両方が戦意喪失したのだった。
落書きアーティスト・海賀色は美術館に投稿した絵を回収した絵を盾にして、通り魔のナイフを止める。
「あ〜!しまった〜!」
絵はボロボロになった。
un perfect objectの は画材で買った筆の金属部分でナイフを止める。
「一か八かっ!止めれたっ!?」
動物の川徳綱吉はブレーキ跡の無い交通事
故に遭いそうになるも、車を飛び越えて難を逃れる。
エレキウォーカーの は悲鳴を聞いて、塀を越えて、容疑者をキィーック!
正義・ハイパーヒーローの少年も絞殺寸前の揉み合い現場に被害者と犯人を両方殴って止める。そして、過剰防衛とみなされて警察に連行された。
「なんで俺も悪者扱いされるんだよっ!」
「必要以上に殴り過ぎなんだよ」
殺人未遂事件が霞んでしまった。
遠藤西尾も前に助けた人を憎む者から報復をまた受けそうになるも、サチコが母のデコピンで返り討ちにした。
「大丈夫かい!?」
「母さん、ありがとう…」
遠藤は、内心狙われるのを既に知っている事に罪悪感を抱いた。
そして、国島市の警察署はあり得ないほどの大量の殺人未遂の通報に大忙しだった。
警察官の猪村も「流石にこれはおかしい!この街で何かが裏にいるんじゃ無いのか?」と怪しんでいた。
「こんな時に、樋津根さんがいてくれたら…」
先輩刑事が猪村に声を掛ける。
「気持ちは分かる。あいつは凄く頼れる奴だ。今も何処かで誰かの頼りになっているはずだ」
「そうですね…」
11月5日(水) 午後7時
そして、事件が残り一件になろうとしていた時だった。
読腹の乗せた車がコンクリートから上に離れていく。
「なんだこれっ?浮いてるっ!」
「まさか・・・、やっぱりコイツかよ・・・」
読腹は頭を抱えた。
挑戦者を拉致するUFOが上空にあった。
車ごと、読腹を拉致しようとしている。
「まずい、このUFOってあんたがターゲットか?」
「そうです!お願いします!助けてください!」
読腹の頼りに安倍は少し呆れ始めた。
「あのさ・・・、あんたが消えたらどの道殺人事件が起きなくなるんじゃ無いのか?」
「僕だって死にたく無いんですよっ!何で僕が消えなきゃならないんですかっ!?ふざけんじゃねぇ!」
あまりの豹変に安倍はゾッとした。
「わっ、悪かったよ…」
「本当ですよっ!」
(肯定するのかよ…)
更に呆れてしまった。
しかし、安倍自身も危機を抱く。
車を囮にして飛び降りようか?しかし、標高はもう落ちたら死にそうなところにまで来てる。これの場合って、殺人未遂に含むのかな?と頭の中でごちゃごちゃになる。
万事休す、そんな時だった。
安倍の車でゴンっと上から音が聞こえた。
窓から体を出して見上げると、そこにはアイアスが車体の上に立っていた。
「アイアス!?」
「デビルハンター!?」
その時のアイアスは決意を抱いた表情をしていた。
「読腹さん。私の一方的な綺麗事で貴方を挑戦者にさせた事、本当に申し訳ございません。せめて、貴方を救う事で助かる命があるなら、私は貴方を今から助けます」
そして、車がUFOに入れられる前にアイアスがジャンプしてUFOの中に入った。
そして、5秒後ー。
UFO爆発。
「「ぎゃあっ!」」
安倍と読腹は爆破を避ける為に車から飛び降りる。
安倍は着地と共にでんぐり返しをして衝撃を逃してやり過ごす。
読腹はアスファルトに衝突して重症。
救急搬送されるのだった。
後にメディアチームは安倍に質問した。
『Q:読腹さんを爆破の時、何故助けなかったのですか?』
「A:死にはしないと聞いた。それにあいつ、なんか気に食わなかった。それとあの爆破は自分の事で精一杯だ。だから、放った」
そして、この事によって最後の殺人未遂事件となり、挑戦成功となった。
尚、アイアスも救急搬送された。
331件の殺人未遂が起こり、読腹の挑戦が終わった。
直子達の暗躍により、無傷で済んだ殺人未遂事件が259件、軽症の殺人未遂が23件、重症の未遂殺人未遂が49件起こった。
アウルート「読腹解斗さん、挑戦成功…」
今回の挑戦は血が多い苦々しい挑戦内容だった事もあり、アウルートの結果発表もテンションが低かった。
挑戦者ファイル76
名前 読腹解斗
年齢 32歳
テーマ 災禍・死神探偵
好きなもの ブランコ
嫌いなもの 毒殺、時限式の犯行
望み 自身の殺人事件誘致の解呪
切実タイプ
一週間に一人以上の殺人事件が起きてしまう呪い持ちの探偵。
犯人の説得に5回も失敗して、お腹を3回刺されたり、犯人が自害したりと散々な目に遭っている。
解体・解剖師とは心から起こる命の話が一件で仲が悪い。




