お泊り会とお風呂の順番
スーパースターの閉店時間は0時だ。
女子大生が外をウロウロするような時間ではない。
常連に合わせていると、何時までたっても帰れそうになにので閉店前に明日香達は帰る事にした。
途中でコンビニに寄って桜や蓮香がお泊りで必要な物を買い揃える。
女子は男子と違って自分が使いやすい化粧落としや、化粧水などその他諸々が必要なのだ。
そして明日香のマンションへ向かう。
Zを駐車場に停める為に、マンションの裏口から入る。
地下駐車場の車の出入り口はマンションの裏側にあるからだ。
セキュリーティーもしっかりしていて、裏口には自動シャッターが有る。
そしてセキュリティーロックを入り口の端末で操作しないと入庫出来ない様になっている。
この一連の手順を見て、蓮香が少し驚いた顔をした。
「明日香お姉様って、、、お金持ちでいらっしゃるんですね、、、」
「只者では無いと思ってはいましたが、、、」
明日香は自分の駐車スペースにZを停めながら苦笑した。
「いやいや、、、多分だけど蓮香程じゃないよ、、、」
すると桜が嬉しそうに、
「そんな事ないよ~!」
「おうちも広いし、一番上の階だし~」
「セレブだよ~」
困った顔で否定する明日香。
「セレブとか言わないで、、、恥ずかしいから、、」
「そんな高級な生活してないし、それに家賃も20万程度だよ」
車から降りながら蓮香が感心する。
「いえいえ、、一大学生が20万のマンションを借りているのは普通では無いですよ」
「デイトレーターとか、、親がそれなりの地位に有るとかなら、、まぁ有り得るかもしれませんが」
桜は気になったのか、後部座席から降りると明日香に訊いて来た。
「そうだよね~」
「明日香さん、株とかやってるの?」
皆でエレベータールームに向かう。
明日香は桜の質問をどうやって躱すか迷っていると、蓮香が助け舟を出してきた。
「まあ、いいじゃないですか桜さん」
「お姉様が困ってらっしゃいますし、今は言い難いのでしょう」
そして蓮香は明日香に笑顔を向けると、
「それにお姉様がどんな生活をしていて、どんな状況でも、」
「私は今ここに居るお姉様をお慕いしているのですから」
「秘密にされている事があっても、私は気にしませんよ」
桜も納得した様子で、
「それもそうだねぇ~」
と言う。
そのまま慣れた様子で勝手にエレベーターのボタンを押す。
勝手知ったる何とやら、、、。
『一回しか来たことが無いのに、なんだこの桜の慣れた感じは、、、』
と内心で半ばぼやく明日香。
明日香の部屋に着き、中に入るとその広さに驚く蓮香。
そして少しウズウスしている様子だった。
女子と言うのは、間取りとか大好きだから気になるのだろう。
おずおずと蓮香が明日香に訊ねてきた。
「間取りは、どのような感じなんですか?」
笑みが零れる明日香。
『やっぱり訊いて来た』
明日香はリビングへ行くよう軽く蓮香の背中に手を添えて促す。
「間取りは、4LDKだよ」
「さ、とりあえずリビングでソファーにでも座ってて」
桜はと言うと勝手にさっさとリビングに向かって行ってしまう。
広いリビングに驚く蓮香。
そして二人掛けのソファーに座りながらリビングを見渡す。
「良いお部屋ですね、、、都心部なら30万はしますよ」
明日香は冷蔵庫から冷やしてあった緑茶を出し、人数分グラスに注ぐ。
「まあ、ここは大学までの利便性は良いけど、他は全然駄目だからね」
「それで家賃が安いんだよ」
何を隠そう明日香は、大学への通学が便利というのは建前で、スーパースターが近いからここを選んだのだ。
恥ずかしくて、そんな事言えないが、、、。
勝手に一人掛けのソファーにふんぞり返る桜が、
「ここってスーパースターが近いよね~」
「ひょっとしてそれで選んだとか?」
黙らっしゃい桜さん!!
と言いそうになる明日香。
蓮香は明日香から緑茶の入ったグラスを受け取りながら苦笑する。
「まさか、、、そんな訳ないですよね」
「彼の明日香お姉様が、学業より娯楽を優先するなんて」
すると桜が物申した。
「何を言いますか蓮香さん!」
「学びも大切ですが、娯楽は心のオアシスですぞ!!」
「娯楽だけでは困るけど、娯楽無しの人生なんて嫌であります!」
おいおい、桜さん、話し方が変ですぞ、、、。
少しハラハラしながら明日香は内心で突っ込んでしまう。
そして桜に緑茶の入ったグラスを手渡す。
焦っているのが顔に出てなければいいが。
何となく桜の押しに納得した蓮香は、
「う~ん、、、まぁ、一理ありますね」
「ところで、お風呂はどうしましょうか?」
「3人いますし、時間も遅いですから、、、」
む、、話題を変えて来たな。
つまりこれは3人個々にお風呂を済ませると、遅くなってしまうと言いたいのだろう。
桜は少し考える様子で天井を見つめた。
「そうだね~」
「でもお風呂広いから、2人同時なら大丈夫だよ~」
すると桜と蓮香が身構えた。
『え? 何?』
と慌ててしまう明日香。
「「じゃんけんっ ぽん!」」
二人はじゃいけんをし出し、やはりと言うか、、何故か必然的に蓮香が勝った。
「勝ちました! お姉様!」
困った様子で明日香は二人に問う。
「え~と、、、つまりどういう事かな?」
蓮香は少し怒った様子で、
「決まっているではないですか!」
「勿論、明日香お姉様とどっちが一緒にお風呂に入るか決めていたんですよ!」
明日香は頭を抱えて溜息をついた。
「桜と蓮香が一緒にお風呂にはいっておいで」
「私は後で1人で入るから」
ここは流石に2人の要求には答えられない。
だって私、、、男なんだから、、、。
「え~~~っ」と露骨に残念そうな顔をする蓮香。
すかさず桜が口をはさんできた。
「じゃぁ明日香さん先に入って来てよ~」
「後で私と蓮香ちゃんで入るから~」
「まあ先でも後でもどちらでもいいのだけど、、」
「じゃあ先にお風呂使うわね」
と明日香は桜の申し出を承諾する。
お湯はスマホによる遠隔操作で、スーパースターから帰る前に湯舟にためるよう指示を出していた。
IT管理で大概の事は帰宅前に出来てしまうのだから、便利な世の中だ。
とりあえず下着を選びに寝室に向かう。
寝室のクローゼットスペースに下着を入れたタンスが有るからだ。
今夜は桜と蓮香が居るので、胸に入れたシリコンパットがバレない様にしなければ。
今回はナイトブラでスポーツブラのような形をしたものを選んだ。
桜と蓮香が明日香に選んでくれたパジャマが、デコルテが割と見えるワンピースだからだ。
スポーツブラタイプだと極小のタンクトップのような感じなので、シリコンパットが全て隠せる。
まあ下は普通のショーツで良いだろう。
桜が何か企んでいるような感じがしたが、、人の家で悪さをする事は流石に無いだろう。
焦っても仕方ないので明日香はのんびりとお風呂に入る事にした。




