愛されて愛を知る
いつの間にか明日香達のD&D3を後ろから観戦していた3人の常連。
一人は古川氏。
もう一人は細身で黒のズボンに白のシャツ、そして黒のベストを着たバーテンダー風の男性。
最後に、小太りの男性だ。
皆、30代程の年齢に見える。
古川氏が珍しそうに、
「今日はやけに賑やかだと思ったら、アマネンの友達か?」
明日香は席から立ち上がると、
「うん、紹介するよ」
「私の隣の娘が武野内蓮香さん」
「それから肉屋の隣が、、、」
と桜の紹介しようとした時、桜が食い気味に、
「桜だよ~、よろしくね~」
藤が不服そうに、
「肉屋言うな、、、」とぼやく。
苦笑する古川氏。
「そうか、、よろしく」
「俺は古川だ、好きに呼んでくれ」
次にバーテンダー風の男性が小さく会釈する。
「はじめまして、、俺は岡部」
「べーやんとか、おいやんとか呼ばれてる」
最後に小太りの男性が風邪をひいているのか、凄いしがれた声で、
「俺はプーだ」
「プー太郎の時期が長かったからプーって呼ばれてる」
「よろしく~」
最後に名乗ったプーが余りにも印象深く、デスボイス並みにしがれていたので蓮香はドン引きだ。
どうやらプー氏は喉風邪をひいているようだ。
家で寝とけよ、、、。
一方桜は、特に気にならないらしく笑顔で、
「よろしくね~プーちゃん!」
といきなり慣れ慣れしい。
流石、桜だと感心してしまう。
岡部氏が少し意外そうに訊いて来た。
「それにしても君らくらいの女の子が、こんなレトロ調のゲームしてるなんて珍しいな」
「クリアしてたし、やり込んでるのかい?」
蓮香が少し不思議そうに答えた。
「いえ、今日初めてプレイしましたよ」
「やり込んでいる様に見えましたか?」
それを聞いて驚く古川氏と岡部氏。
「まじかよ!」
「普通に連携とれてたし、凄いな、、、」
肉屋がドヤ顔で岡部氏と古川氏を見て言い放つ。
「そら~あれやろ、俺が上手いからやろ!」
「うはは」
岡部氏が間髪入れずに、
「肉屋は黙っとけ、、、」
古川氏が分析するように話し出した。
「後半見てたが余計な事しないし、アマネンの指示にちゃんと従ってたから、」
「恐らくこの娘らがそもそも上手いのと、アマネンの指示が良かったんだろうな」
プー氏が何だか嬉しそうに、
「じゃ~よ、エイソルしよ~ぜ!」
岡部氏が難しい顔をした。
「あれは、、初心者むりだろ」
「初見殺しオンパレードだしな、、、」
「それに最大3人までだぞ」
同じく古川氏が難色を示した。
「初心者引率だと、かなりきついぞ」
「余裕で1コインクリアできる奴2人と初心者1人でやっとじゃないか?」
プー氏が食い下がる。
「じゃ~よ~、古ちゃん手伝ってや」
「肉屋はいらんど」
「下手やから」
いつの間にか桜か蓮香がエイソルをやらされる羽目になっている、、。
『なら私は、あぶれた方と何か他のげームか、またD&D3をやってもいいし』
と明日香も勝手に脳内で話を進める。
結局、桜が興味を示しプー氏と古川氏に引率されてエイソルをすることになったらしい。
ホントに桜は誰とでも仲良くなるな、、、。
蓮香はと言うと明日香を独占したいのか、2人きりでD&D3をしたいと言い出した。
明日香は二つ返事で了承すると、蓮香は大喜びする。
明日香のファンクラブ会長と言うだけあって、蓮香は本当に明日香が大好きなようだ。
そして他の常連連中は、格ゲーコーナーの方に行ってしまったので広いフロアーには明日香と蓮香の二人きりになってしまう。
エイソルも狭い方のフロアーにあるので桜もこっちには居ないのだ。
なんだか少し照れ臭い。
桜伝えで今日出会ったばかりなのに、まるで以前から仲が良かったように慕ってくれる蓮香。
それに桜もそうだが、蓮香も凄く可愛い。
見た目もそうだが、何と言うか可愛らしいのだ、、、。
こんな可愛らしい子達に好かれるのは正直気分がいい。
何かせがまれたり、我儘を言われても多少の事なら聞いてしまいそうだ。
と言うか、聞いてしまっているし。
好きでもない相手にこんな対応は絶対しない。
私は桜や蓮香が好きなのだろう。
愛しくも感じる。
隣に座る蓮香を見つめて、明日香は呆然としてしまう。
自分が桜と蓮香に好意を持っている事に、今更ながら気付いて自覚したからだ。
『そうか、、私は桜と蓮香の事が好きなんだな、、、』
それが異性に対する恋愛感情なのか、母性本能にも似た感情なのかは分からないが、、、。
それから少し照れ臭い気持ちを抱きつつ、蓮香とD&D3をクリアーしてしまい閉店間際になってしまう。
まあ明日は日曜だし問題無いか。
D&D3の終盤、桜が戻って来て明日香の背中に抱きついたものだから大変だった。
大きくて柔らかな感触が明日香の背中を刺激する。
その上、抱き着かれたまD&D3をプレイしていたので、操作に苦労するわで。
スパースターに来てから蓮香が明日香を独占しっぱなしだったので、桜が嫉妬したのかもしれない。
あとでフォローしておかないとね。




