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第四十話 真実

「これから話すことは決して必要ではない。ただ、聞いておいて欲しいことだ」


「我々の住んでいた星、地球は26世紀に到達した時点で、資源が枯渇し、食物を採取できなくなり、住まうには限界が訪れていた。そこで、我々が生存するために2つの計画が打ち出された」


「他惑星へ移住する計画と、他世界へ移住する計画。我々は後者を選んだ。その結果、異世界ディフェシウンへとたどり着いた」


「その地はまだ未開の土地であり、そのままでは生活する事ができなかった」


「だから我々はこの土地の開拓を始めた」


「だが、元々資源が尽きた星からきた我々に開拓に回せる資材が限られていた。持ち込んだAWアシストワークス……作業用汎用機械は少なく、まともな住居を作ることも困難だった」


「資源不足という眼前の問題を打開するために、私の友であり、天才科学者のE20Sスウィジは資源採取とAW不足を解決する施設の開発を始めた」


「天才科学者と呼ばれるだけあって、彼は短期間で何基もの資源採取施設を建設した。すぐに資源に余裕が出てきた」


「次に求められたのは医療機関、住居スペース、食物採取プラント、等。生きる為に必要な施設が大量に必要となった。そのためにAWをかなりの数を求められた」


「そんな彼と一緒にAW自動製造施設の開発をすることになった。その施設は資源の採取とAWの製造を自動で行う自律式の大型工場だ」


「彼は呼び名に負けず本物の天才で、打ち出す計画、アイディア、設計、全てがこちらに及ばぬほど完璧だった。そんな彼と共に建造する工場は全てが順調で、予定より早く完成するのではないかという勢いだった」


「そんな中、彼と将来を約束した恋人が病に伏した」


「その病は未知のもので、どうやらこの世界にある風土病の一種らしかった。医療施設が整っていないために、彼女を救うことはできなかった」


「彼女が亡くなった後、彼はより一層工場の開発に没頭し寝る間も厭わず開発を続けて行った。私から見ても彼の姿は常軌を逸していた。それを分かっていても私は何も言うことはできなかった」


「工場が完成し、我々はこの工場を世界を生み出す母とし、『マザー1』と名づけた」


「そして、マザー1の落成日に事件は起こった。製造されたAWは我々を襲いだしたのだ」


「こちらに残存していたAWに武器を持たせ、反乱を起こしたAWの討伐は一時的に成功した。だが、マザー1から製造されるAWは例外なく敵対し、我々26世紀人を攻撃してきた」


「マザー1は彼が設計、開発した工場。こちらに気が付かれないよう巧みに隠された反世界システムが我々を襲ったのだ。私が友として彼の目論見に気付き、止める事ができたなら、このようなことにはならなかった」


「そこからは泥沼の戦いだった」


「マザー1から生み出される無限のAW。それに対抗する為に資材をなげうってAWの製造と兵器開発が行われた」


「マザー1には自己改造の機能もあり、AWの兵装はどんどんと性能向上が行われていった」


「20年間戦い抜いた我々だったが、ついに限界が訪れた。残された戦力全てを使い、マザー1を直接襲撃し、その機能を止めることには成功した。だが、戦いの傷跡としてこの地は草も生えぬ死の大地となってしまった」


「我々26世紀人はこの土地の復興を諦め、別の異世界へ移住することを決定した。それほどまでこの大地は荒廃してしまった」


「皆が去った後、私はこの世界に残り続けることを決めた。彼を止める事ができなかった私の贖罪だった」


「20年に及ぶ戦いを経ても彼の生死は不明であったことも残る理由の1つだ」


「この大地の荒廃から、私は彼が相手にしていたのは、26世紀人ではなくこの世界だとわかった。彼は風土病で亡くなった恋人はこの世界に殺されたと考えていたのではないか。もし、彼が生きているのなら、彼は必ずこの世界を破壊しようとするだろう」


「この世界に残った私は彼を探しながら、マザー1のAWと互角以上に戦えるAWを開発した。彼らが去った際に残った資材で製造したAW、それが守護者ガーディアンだ」


「私は守護者の開発に当たって慎重になる必要があった。この世界の原住民に政治利用されてはいけないことだ」


「過度な文明から生み出された兵器を使えば、世界征服も可能だろう」


「それを防ぐためにいくつか工夫を施した」


「パイロットは異世界人であること。これは守護者を容易に扱わせなくするため」


「武装は極力時代に合わせたものにすること。過剰な武器は世界を滅ぼす」


「痛覚を共有させること。異世界人が召還者と信頼関係を結べるため。痛みを耐えられる目的を共有する事が必要だと考えた」


「この制約を守護者に課し、各都市へ渡り配った」


「旅を終えた私は年老い、肉体は限界を迎えていた。それでこの施設ごと機能を凍結した」


「そして、マザー1のAWが活発化したことによって、私は目覚めた。諸君にマザー1と戦う術を伝えるために」


「私はもう戦うことができない。本来ならそれは私のすべきことだった。私の代わりに彼を、友人を止めてくれないだろうか?」

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