60話 完成と出発
無事に魔界領域から帰還した一行は耐魔鉱石で武具を作るために一時解散した。
ラストルはヴォーラスと戦う事に若干の抵抗を抱えており、胸の内をヴァンに話す。
武器屋を開いたジャックとダガーに新しい武器をつくってもらう為に鉱石を渡した。
〜 武具屋『ナイブズ』 〜
「ほら、できてるぞ!剣と防具だ!」
スキンヘッドのジャックはカウンターに剣と鎧を置いた。
「耐魔鉱石は魔法的な側面が強いから、それ自体はとんでもなく脆い。
粉状にして繊維に練り込むくらいは簡単にできるから、防具自体は簡単に作れた。
闇属性の耐久テストも難なくクリアだ。
問題は剣だが、こちらも鋼を叩き延ばしていく過程で粉状の鉱石を練り込んでいくくらいしか加工できなかった。
強度は下がるが、闇属性の耐性はこちらもピカイチだ!うまく使うんだな。」
ラストルは防具を身につける。
「お、軽い。」
「だろ?お前はアレだ。
受けて耐えるってよりかは、避け躱す方が得意だろう?
重さがハンデにならないように軽量の鋼と柔軟な繊維にしている。
強力な一撃には弱いから気をつけな?」
次にラストルは剣を抜いてみる。
鋭く尖った長い刃先、銀の鍔、そして黒い柄。
以前使っていた剣は訓練戦士時代の使い古された剣だったが、今回完成した剣は明らかに上質な剣であるのが見てわかる。
「耐魔剣フェルフィンド。
闇属性を弱体化させるロングソードだ。常に夜が続く魔界領域では光属性弱体化のデメリットが働くが、これを握っていれば本来の力が出せる。
注意事項は剣の物理耐久性があまりなのと、光属性が強化されるわけじゃないって事だ。」
部屋の奥から杖をついたダガーが現れ言った。
「おっと。もう一つお前から預かったこの剣だが…」
ダガーは背中の方から聖剣ソートと呼ばれた剣をラストルに差し出す。
「俺じゃダメだわ。
刀身が見えるのに触れないから何にもできん。
物で叩くくらいはできるが、鋭さも重さも材質も何もわからなかった。
申し訳ないが他をあたってくれ。」
ダガーは申し訳なさそうに言った。
「分かったありがとう!
ジャックもダガーも早く仕上げてくれて助かったよ。
これで、問題なく戦える!」
ラストルは2本の剣を腰に携える。
「死ぬんじゃ無いぞラストル?
ヴォーラスはつえぇはずだ。
準備はしすぎるくらいしとけ。
Aクラスの戦士なんて全く相手にならないくらいだそうだ。」
ジャックは念を押すように言った。
ラストルは頷いた。
「じゃあ、行ってくる!」
ラストルは店を後にした。
〜 首都ユーズ 戦士登録デスク 〜
「よーし。全員揃ったな。
んじゃラストル、頼む。」
ヴァンがラストル、ムンナ、ペティの3人の顔を確認して言った。
「今回の目的は1つ。
魔将ヴォーラスを倒す事。
Aクラスでも攻略不可能だった相手だ。
幸い、敵の性質上挑んできた相手は殲滅するだけだ。
その後、怒り狂ってユーズ王国に報復という事はおそらく無い。戦意の無い者は追わないというのがヴォーラスの特徴だ。
細かい事は気にせず全力で戦える。
その他の特徴は魔将城へ向かう道中で説明する。
こんな感じで良いかな?」
ラストルは粗々と説明し確認する。
すでに全員が特徴を把握しているため3名は頷いた。
「じゃあ…行くか!」
4名は依頼受付デスクへと向かう。




