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私はだあれ。  作者: らりるれろ


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「これお揃いにしませんか?」

11月、私はマッチングアプリを開いていた。意味のないやりとりをたくさんして疲れていたのだけれど、前からやり取りしていて一人気になる人物がいた……


「お久しぶりです!連絡返してくれて嬉しいです。」

「お久しぶりです、山上さん。何ヶ月も連絡取れなくて申し訳ありません。」

「全然大丈夫ですよ!むしろ久しぶりに連絡とっていただいて嬉しいです!」

「ありがとうございます!ぜひ、仲良くしていただけると…!」


私は失恋したばかりでやるせない気持ちと闘いながら色々な人とやり取りしていた。ヤリモクばかりで話にならず、恋愛って難しいなと感じていた。だけど、この山上さんからはそのような感じを不思議と受け取ったことはない。


「急なんですけど、12月3日って予定ありますか?」

「ちょっと確認してみますね!」

「はい!できたら一緒にクリスマスマーケットに行ってみたいなと思いまして!」

「そうなんですね!私、クリスマスマーケット人生で一度も行ったことないです!あ、3日空いてるみたいなので行きたいです」

「じゃあ、3日の13時とかどうですか?前日が遅番なのでお昼過ぎからの集合になってしまいますが申し訳ないです!」

「13時ですね!わかりました。お昼過ぎ助かります!私朝早く起きるの苦手なので笑笑」

「では、当日楽しみにしてます!麗華さん、よろしくお願いします!」


私はちょっと、いや、結構期待してしまった。だって、集合時間お昼頃だから結構健全だし、クリスマスマーケットでしょ、センスがいい。こんな人初めてだなって思った。12月3日まであとちょっとしかないのに早く来てほしくてたまらなかった。


「麗華さん、どんな人が好きとかありますかー?」

「ありますね〜」

「気になります!」

「優しい人がいいです!紳士的で、そして、愛を伝えてくれてストレートな人。私のことちゃんと考えてくれる人、心の繋がりを大切にしてます」

「素敵です!!」

「逆にどんな人がいいとかありますか?」

「ありますー!!他人のことを思いやれて、できれば素直で、言いたいことをきちんと言える人です!」

「めちゃくちゃ素敵な価値観だと思います!」

「麗華さんは話してて言葉の端々に相手の気遣いが感じられてすごく好きになれそうです〜!あとアプリのプロフィールの方にあった写真もすごく可愛らしくてめっちゃ好みなんです!!内面の話した後に見た目の話するのも何かいやらしいですけど……」


その間にも山上さんとはやり取りをして、それ以外の人とは話さなくなった。


当日、13時、駅に着いた私は山上さんに連絡をした。


「駅につきました。服装どんな感じですか?私はベージュのコートを着てマフラーつけてます!」

「自分も駅つきました!奇遇ですね!!自分もベージュのコート着てますよ!なんだかちょっぴり嬉しいです。」


驚いた。私はベージュのコートがお揃いになるなんて思ってもみなかった。私も少し舞い上がってしまい、運命を感じてしまいそうだった。私と山上さんの改札が違うみたいなので、私が山上さんのところへ向かうことにした。緊張しながら改札へ足を運ぶ。改札から少し離れたところにかしこまった感じでスマホをじっと見つめて立っている、ベージュのコートを着た男を見つけた。


「すみません、初めまして、山上さんでしょうか?」

「あ、初めまして、麗華さんですか?」


私が彼を見た第一印象は爽やかな好青年だった。身なりは綺麗に整えられているし、口調もねっとりしていなくてハキハキと話すタイプだった。


彼はため息をつくように頬に手を当て、この世のものではない美しい彫刻を見たかのような表情になり、つぶやいた。


「かわいい…」

「え?」

「あ、いや、写真より可愛いなって。」


私は第一印象をクリアできたかなとホッとしていた。


「まずは、出口探しましょうか!自分地図出すのでそこまでゆっくり歩いていきましょう!」

「すみません、ありがとうございます!私、地図苦手で読めないんです。地図見てても反対方向いっちゃうんですよ」

「そうなんですか!地図は自分に任せてください!」

「お願いします!」


私たちは駅を出て外の空気を吸った。私は、ワクワクとドキドキでたまらなかった。山上さんは地図をチラッと見てこっちですねと言って案内してくれた。私たち二人は他愛もない話をした。


「今日、雨降らなくてよかったですね!確か昨日山上さん雨予報だって言ってましたよね」

「あ!確かにそうですね!雨降らなくてよかったです!」 「場所そこまで遠くなさそうですね!歩いてお散歩できるの楽しいです。歩くの好きなんですよね」

「そうですね!割と近いかもしれません。自分も歩くの好きなんですよ!一緒で嬉しいです」


そんなこんなでクリスマスマーケットの会場へ着いた。会場の入り口にまばらに人がいて奥の会場内も少し見える。会場の前に何かステージがあってどう考えても好ましくない栄光の架橋が流れていた。それに突っ込むように山上さんが


「クリスマスマーケットなのにクリスマスの曲ひとつも流れてないですし今は栄光の架橋が流れてますね」

「確かに!なんかミスマッチで面白いですね!」


なんて言って会場の入り口へ辿り着いた。入場料は1000円だったので思ったより安かったのだが山上さんがここは私が払いますと言ってくれた。だけど、私は大丈夫です、お気遣いなくと言ってお金をお返しした。


「わかりました、本当にいいんですか?」


と言いながらお金を渋々財布の中に入れた。ちょっと歩いたところにあるくるみ割り人形をぼーっと眺めていた。かなり大きくカラフルな色をしていてとても目立っている置物だったが後から来た人たちは目もくれずそそくさと会場に入って行ってしまう。私たちは二人で大きなくるみ割り人形のそばで少し話をしながら1、2分眺めてから会場に入って行った。


会場に入ると中は思ったよりもかなり広くて人もたくさんいた。山上さんはもらったチラシを広げて写真を撮っていたので私も便乗してチラシを撮らせてもらった。近くにあるショップでは美味しそうな食べ物がたくさんあったが私は素敵なお酒を見つけた。なので山上さんが何を考えてるのか知りたくて質問をした。


「美味しそうなご飯たくさんありますね!何食べるか決まりました?」

「うーん、たくさん魅力的なものがあるので難しいですね!でも、少し寒いので温かいものが飲みたいですね!」 「確かに!温かい飲み物いいですね!」


山上さんは多分ココアを飲むのだろうなと思った。昼からお酒を飲むなんてと思われそうだなと考えたが遠慮なくお酒とリゾットを頼むことにした。


「お酒とか飲まれるんですね」

「お酒好きなんです。ココアとソーセージの3種盛りですか?いいですね!」

「麗華さんもリゾットいいですね!」


しばらくして商品ができたので取りに行く。ホカホカのリゾットとお酒が出てきた。フルーティーなカシスワインの香りがフワッと漂ってきて胃を刺激された。早く食べたくて仕方ないので席を探して良さそうなところを見つけた。二人で座って、商品を食べる。山上さんのスマホのケースに大量のシールが付いていた。


「それなんですか?」

「あぁ、これはステッカーです。趣味みたいなものです笑。このスマホケースも結構ボロボロになってきちゃいました。麗華さんのスマホケースも可愛いですね!」

「あ、これはお気に入りのスマホケースなんです!スタンプも壁紙も持ってるんですよ!」

「へー!じゃあかなりのお気に入りなんですね!自分もスタンプ買ってみようかな」


ふとお皿を見ると少しソーセージが残っていた。私も少しだけリゾットがある。彼が全然、手をつけなくなってしまったのに気づいたがまさか、これはシェアをする気なのではと思った。だが直接聞いてみるわけにもいかず、シェアは困るので残っていたリゾットを全部平らげた。山上さんはその後ソーセージを一口で食べた。


しばらくして少しマーケット内を見て回っていた。1つ気になるものがあって、それはスノードームだった。私はじーっとそれを見つめて素敵だな〜と思っていたら、彼が急に


「これお揃いにしませんか?」


と言ってきた。私は少し驚いたのと嬉しさで胸がいっぱいになった。お揃いとか持ったことないしそっちからしかもプレゼントでとか嬉しすぎて飛んでいきそう。私の考えすぎかもしれないけどこれは結構脈ありかなとか考えちゃった。


「え!いいんですか!ありがとうございます!」

「はい!お互いお部屋に飾りましょ!」


彼からそう言ってもらえてとても嬉しい。だが少し疑問なことがある。マーケットが広いとは言ったが1日いられる広さではないのだ。この後のプランを聞いていないため1日ここにいる気なのかなと思ってしまう。それだけだとさすがに寂しいデートになってしまうなとだんだん心配になってきた。


なので、少し外に出て夜にまたここへ戻ってこようかなと思い、ちょうど近くに見える美術館に行ってみようと誘ってみた。

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