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私はだあれ。  作者: らりるれろ


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1/4

「またね、じゃあね」

人は、いくつの自分を持っているのだろう。


恋人の前の私。

友達の前の私。

仕事をしている私。

誰にも見せない私。

そして、自分ですら知らない私。


これは、一人の22歳の女の子、荻窪麗華が、恋愛や仕事、人との出会いと別れを繰り返しながら、「自分とは何者なのか」を探していく物語です。


誰が正しくて、誰が間違っているのか。

誰が傷つけて、誰が傷つけられたのか。

それさえ、見る場所が変われば違って見えるのかもしれません。


綺麗な感情だけではなく、人を愛することの幸福も、醜さも、矛盾も描きます。


荻窪麗華とは、いったい誰なのか。


『私はだあれ。』

これは、彼女が「私」を探す物語です。


※カクヨム・エブリスタにも掲載中です。

本サイトではR15に合わせ、一部の表現を調整しています。原文の表現を残した版は他掲載サイトエブリスタにて公開しています。

私、22歳。一見どこにでもいる普通の女の子、荻窪麗華。 今は彼氏とのデート中。どこからどう見ても、普通に楽しそう。でも、今の私の心の中は最悪。暗雲が立ちこめ、ありえない量の雨が降っている。冷え切った心をかき乱すように、生温い風まで吹いている。なぜかって? それは今、横で楽しそうにガハガハと笑っている飽田健二という男が、私の過去を思い出させてくるから___


5ヶ月前___


女「ねえ、そんなにひどいこと言うならもう一緒にはいられないよ」

男「ああ、いいさもう出てってくれ、話すことはもう何もない」


何これ、くっだらない。なんてひどいもの見させられてるのかしら。私、恋愛ドラマは見ないんだけど……。そう思いつつ、彼が好きなドラマなので一緒にくっついて楽しそうに見ていた。だけど、彼が急に目の前のテレビを一時停止した。映っていたのは『愛の巣窟』という、ひどい恋愛ドラマ。彼はなんだか今にも土下座しそうな姿勢になって、私を見つめてきた。


「どうしたの、続き見ないの。それに、正座してどうしちゃったの。」

「ちょっと話したいことがあるんだ、聞いてくれないかな」


私はなんだか嫌な予感がした。背筋が凍って、この場から逃げ出したくなった。けれど、いい言い訳を思いつくことができず、その場に残って彼の話を聞くしかなかった。


「話って何かな、悪い話じゃないといいんだけどな」

「その……すごく言いにくいんだけどさあ。今見てたドラマでね、僕たちのこともよく考えさせられたんだ」

「ごめん、それってどういう話のことかな」

「いや、できれば言いたくなかったけど。ここ最近君とのことを考えていたんだ。それでね」


ああ、やはりそうか。これは、別れ話か。この後のことはよく覚えていない。彼はもう話すことはないと言ってそのままスチール製の階段を上がってロフトで眠りについてしまったようだ。私は絶望の淵に立たされたが、内心ずっとわかっていた。いつかこうなるんじゃないかって、ここ最近そのことばかり考えていた。無駄な努力もこれでおしまい。なんのために今まで頑張っていたのか分からなくなっちゃった。私は目の前がぼんやりしてきて息がしづらくなってきたので、そばにあるティッシュボックスを手に取って何枚も何枚も出し続けた。やがてそうしているうちに友達のaikoからメッセージが来た。


「ヤッホー!急だけどさ今から遊べたりしないかな〜?」


窮地への救いかと思った。もう今すぐここから逃げ出してこの救いようのない気持ちを捨て去りたい、そう願った。私は、ドタバタと支度をして彼の家を出て行った。その時、彼にこう言われたのよ。


「またね」ってね。


私はその「またね」に2回ともじゃあねと返し、呼んでおいたタクシーに飛び乗って駅へ向かった。もうすぐ終電が無くなってしまうので飛ばしてと強く言い放ち、友達にメッセージを送った。


「今向かってるから、ちょっと待たせちゃうけど待っててほしい。言いたいこともあるの。」


駅に着いてからは最終の電車に急いで乗った。 私の心の中は友達に会えるからワクワクとドキドキでいっぱいだったけど、大きな悲しみを忘れたわけではなかった。タクシーでも電車でも涙は止まらなくて、泣いてばかりだったけど、やっと決別できてよかったのかもしれないと心の中で思うことにした。 いつもの東口交番の前で友達は待っていた。見つけるとすぐに駆け寄って


「話したいことがあるの」


と言って抱きついた。そうすると、aikoはこう言った。


「こんな遅くにわざわざ遠くから来てくれて嬉しいよ!ずっと会いたかったんだもん。1週間も会えなくて寂しかったよ!ねぇ、どこ行きたい!?」


内心、どうせ絶対ホストの初回周りしかしないのになと思ったけど、aikoのことが好きだしホストの初回周りでも喜んでついて行ってた。


「うーん、そうだね。シーシャも外せないしなんかちょっとお腹空いたかもなあ。aikoはお腹空いたかな?」

「え!私もお腹空いちゃったよ!ちょっとそこら辺でなんか食べてく?」

「てか、私散歩したいかも!aikoも付き合ってくれるよね?大久保公園とかバッセン辺り散歩しよ?」

「麗華、天才!行こ行こ!」


私たちは新宿駅東口の交番前から歩いてでっかい猫の広告を見ていた。いつも猫がニャーニャー鳴いていて可愛くてつい見上げてしまう。新宿に来たらこれだよねって思えるほどデカデカと光っていて主張の激しい広告。でも、私、犬より猫派だから見ていて悪い気分はしないし、むしろちょっと癒されるまである。二人で交差点の向こうを歩いてドンキの横を通り過ぎたら、ちょっとダサいキャッチに声をかけられちゃった。


「お姉さんお姉さん、二人ともイケメンどう?イケメン!」

「今から大久保公園行ってお散歩してくるから着いてこないで。」


aikoがそう言い放ってケラケラ笑ってた。私も今から女の子二人でお楽しみがあるから着いてこないでってダサいキャッチに言って笑ってた。二人で手を叩いて爆笑しまくって疲れたねって話してラブホ街をゆっくり歩いた。そしたら前に私が行ったことのあるラブホが目の前に出てきて私がここのラブホまあまあよかったよってaikoに言ったら驚いてた。それって彼氏と行ったのかって聞かれたから、うんそうだよって答えた。その後、大久保公園を一周して前までいた女の子たち、いなくなっちゃったよねって話してたら今はラブホの前とかに立ってたりするんだよってaikoが教えてくれた。そういえばラブホの入り口に女の子が地べたに座ってたりスマホいじってぼーっと立ってたりしたなって思い返せば、不思議だった。今ってそうやってビジネスしてるんだなって思った。公園を一周し終わったので二人で手を叩いて笑いながらバッセンに向かった。


「私バッセン来たことないんだけどなにすんの?」

「あれ?aiko、来たことないんだ。ゲーセンの役割も果たしてるから、それでちょっとタイタツして遊ぼうよ!それに飲み物も飲めるしさ」

「いいね!タイタツってほとんどしたことない。ウケる」


入り口に入ってすぐの目立ったところにあるタイタツの機械に二人で100円玉を入れてお互いの好きな曲を選んで楽しく遊んでたら知らないおじさんに声をかけられた。


「ねえ君たち、可愛いね。おじさんとも一緒に遊ばない?」

「はあ、アンタ誰?てか、おっさん話しかけてこないでよ。キモいんだけど」


aikoは結構きついことおじさんに言ったけどおじさんは怯まなかった。


「おっさんとは失礼な!まだそんな歳ではないぞ。君たち、学生さんかな?ちょっとそこにあるホテルで一緒に映画でも見てマッサージどうかな?」

「はぁ?キモすぎ。私たち”学生”じゃないんで」

「そ、そうなんだな。まあ、学生じゃなくても別にいい。君たち20歳前半だろう?若くてピチピチじゃないか!君みたいに悪態つく子はあんまりタイプじゃないけど三輪車が夢だったんだ!俺ははずむよ!二人で5万でどう?」

「はぁ?ありえない。麗華、もう行こう!こんなとこ出よ!あいつキモすぎ。」


私たち二人は荷物を急いで持ってバタバタとバッセンを出て、少し走って逃げた。二人であいつキモくねって話しながらお腹が痛くなるくらい笑って楽しかった。しばらく2人で街行く人々をゆっくり見ながら歩いてたら顔なじみのキャッチに声をかけられた。


「あ、二人とも!何してんの?いいお店紹介しようか?」

「ヨツキくんじゃんやっほー!いまいいお店ある?さっきめっちゃキモいおっさんに麗華と私声かけられて気分悪いからイケメン見たい!」

「えー!そうなの?おっさんてみんなキモいよね。aikoちゃん、いいね!イケメン探しに行こうか!いいお店とってあげるよー」

「ね!麗華も一緒にイケメン見にいこうよね?」


内心、私はホストなんてくだらないって思ってた。別に好きじゃないしお酒を飲むなら普通に一人で家で飲んだ方がいいとしか思えてなかった。でも、気晴らしにいいかなと思ったし、そもそもaikoに会ったらこうなるのがいつものパターンなので断ることはなかった。


「aikoが行きたいならいいよ。希望あるの?私は中性的な男子がいるお店がいいんだけどな」

「麗華っていつもそうだよね。私は断然イケメン一択!」

「あはは!aikoちゃんっていつもイケメン!だよね!今探すからちょっと待ってね。俺、電話かけてみる」


しばらくして、黄金というホストクラブの予約が取れたみたいなのでaikoと二人で行くことにした。二人で1時間くらいホストを楽しんでいつもの行きつけのシーシャに行くことにした。


「何名様ですか?お席はご希望ございますか?」

「2名です、奥の方の足湯のできる席がいいです。」


私はそう言って、いつもの足湯の席を確保した。ゆったり座って足湯ができてとてもくつろげる場所なので私のお気に入りだ。最高にチルって感じ。


「麗華、フレーバーどうする?私はいつものフレーバーにしようかと思ってるけど」

「私、甘い系にしようかな」

「あ、そういえばさ、なんか話したいことあるって言ってなかったっけ?」

「別れた」

「え?」

「彼氏と別れたの」

「そうなんだ。大丈夫?」


私は首を横に振って頼んだカクテルを一気飲みした。届いたシーシャを吸って吐いて、2、3回繰り返した後、私は今日あったことを全部話すことにした。


「でね、最後にまたねって2回言われたけど2回とも『じゃあね』って返したの。それが私の別れの挨拶。またねって言うのが私の中で大事な行為だったからそれを否定してさよならを言いたかったの。」

「そうだったんだ。ずっと上手くいってなかったの?」

「全くと言っていいほどうまくいってなかったよ…。私、ずっと我慢してた。彼に何言われようともどんな態度取られようとも我慢してたの。」

「何されたの?」

「いろいろあって…。」

「ちょっとずつでいいから話せそうなら話してみてよ。外に出すことでスッキリして客観的に見れる部分もあるしさ。」

「そうだね、ありがとう」


私は元彼との間にあった出来事を語り始めた___

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


このパートは、どう書けば自分の中にあるものをうまく文章にできるのか、かなり悩みながら書きました。


文章を書くことも読むことも大好きなのですが、まだまだ文章力が追いついていない部分もあり、拙いところも多いと思います。それでも、最後まで読んでくださったことが本当に嬉しいです。


物語はまだ始まったばかりです。

これから麗華が何を経験し、どんな人たちと関わり、どう変わっていくのか。ぜひ、この先も見届けていただけたら嬉しいです。


そして、読んで感じたことや、印象に残った場面、登場人物について思ったことなど、どんなことでも感想をいただけると作者としてとても励みになります。


よかったら、ぜひ感想を残していってください。


次のお話でもお会いできたら嬉しいです。

最後までありがとうございました。

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