4 迷宮の猛威
「彼らのこと、つける?」
開口一番にレイナがそんなことを言ってくる。
「そんなことするわけないでしょう」
「だよね。確認しただけ。ただ、彼らがどうしてここに来ていたのかは気になるところだなぁ。まさか魔石の採掘に来たってわけないでしょ?」
それはリナも気になっていたところだ。
ここは彼らにとって他国領で、しかも入り口が隠された迷宮だ。
勇者パーティがそんな場所へわざわざやってくる理由――。
「……精霊の祠を目指してるってことはないかな?」
「精霊の祠?」
リナはリュッカから聞いた話を一通りレイナにも説明する。
「じゃあ七百年前の勇者が精霊と対話していた場所で、同じように彼らも対話しようとしてるってことかな? 精霊伝説だと、精霊ラナの力を得た勇者は魔族を圧倒したんでしょ? なら不味いじゃん」
「まあ……そうねぇ……」
あのカナトという男性はあまり魔族に対する敵意を持っていないように見えたので、彼が進んで魔族に対し悪逆を働くとは思えない。
一方、イシュアと呼ばれていた女性の言う通り、戦争とは国家間の外交手段だ。
勇者が強大な力を得れば、彼の意思など関係なくそれを利用しようと考える輩は出て来るであろう。
「無視はできないけど、だからと言って戦闘するのはリスクが大きいわ。人数の不利もあるし、彼らは人族最高峰の戦闘力を持つ六人よ。パーティのバランスも良かったから、連携もちゃんと取って来る」
「レレムに行って部隊を連れてくる?」
「そんな余裕あると思う? さっき鵺はまた地震を使った。たぶんレレムではまた多数の被害が出ているはずよ」
「でも勇者が力を得たら、将来より多くの魔族が殺されるかもしれないのよ」
「そうかもしれないけど、でも今はレレムに災厄をもたらす鵺の討伐と、行方不明になったミコトを探す方が優先すべきことだと思う」
「鵺だって倒せるかわからないんでしょう!? 同じことじゃない!」
レイナに強い口調で言われてしまい、たしかになと悩んでしまう。
鵺を討伐できなければ、レレムの被害は今後指数的に拡大するであろう。
一方で、勇者たちを放置すれば、将来魔族にとってのリスクとなるかもしれない。
自分たちのリソースは限られていて、すべてに十分な対応をすることなど当然不可能なわけで。
何を選択するのが最善かは現状だと判断がつかないのに、これは今選択しなければならないことだ。
ふと、頭の片隅であのイシュアという少女のことを考えてしまう。
彼女は姿恰好からして魔法使いだ。
もしリナが勇者選定をクリアし、勇者パーティに入れていれば、自分のポジションはあそこだったであろう。
そんなとき、自分はさっき彼女が言った言葉と同じことを言えていたであろうか。
イシュアの言葉は冷たく聞こえるものではあったが、その実、人族という種のことを考えるのであれば正しい内容だ。
今のリナたちにとって、魔族という種のことを最優先に考えるのであれば、勇者パーティを背後から奇襲するのが自分のやるべきこととなろう。
それが魔族にとっては一番利益となるのだが……、
心がそれを正しいことだと思ってくれない。
でもそれなら――
――何をするのが、私は正しいと思っているの?
勇者になりたいという夢は今も心の中でくすぶっているが、別に彼らのパーティに加わりたいという意味ではない。
自らにとって、正しい選択を選べることがリナの勇者像を形づくる。
しかし、残念なことにその像はまだ朧気だ。
「……リナ?」
レイナからの言葉で我に返る。
「ああ、ごめん。……そうね。今はやっぱりミコトと鵺を探しましょう。勇者が必ずしも何かを見つけられるとは限らないし、そもそも精霊伝説が本当の話かどうかもわからないわ」
「……わかった」
これにレイナは納得していない風ではあったが、リナに従ってくれるようだ。
「レイナ。私、あなたがそうやって忠告してくれること自体は嬉しく思ってるからね。あなたのこと信頼してるし、私情で言ってるんじゃないんだってこともわかってる。私も迷ってて、でも答えが上手く出せずにいるの」
「……うん」
レイナが静かに手を握って来て、その頭をリナの肩へと乗せてくる。
リナはそれを静かに撫でるのだった。
「あの、お二人さん。イチャイチャするのはいいんだけど、できればあたしが見てないところにしてほしいなぁ」
すぐ後ろからそんな言葉が飛んできたものだから、リナは大急ぎで一歩距離を取って背筋を正してしまう。
「むぅ。せっかくリナと結婚できると思ったのに」
「話早すぎじゃない!? それとも七百年後の世界ではこれが普通なの!?」
「全然普通じゃないわよ……」
気を取り直して、リナは歩き始める。
「さ、行くわよ。鵺が逃げて行ったのもちょうどこっちだし」
*
洞窟をさらに進んでいくと、広めの鍾乳洞のような場所へと出た。
天井からは数多くつらら状の岩が突き出しており。
段々畑のような岩棚には水が張っていて、光魔法から照り返される水面にはそれらがぼんやりと映し出されていた。
「うーん。ここらへん見たことないな。どの辺りだろ」
「中を全部把握してるってわけじゃないの?」
「できないよ。霊魂の迷宮は内部構造が常に変わり続けるの。だから鵺が崩落させた通路とかも時間が経てばまた元に戻るんだ。変化には一定の法則性があって、中で暮らしてたときはその法則を頼りに移動してたかな。お母さんも一緒だったし」
「自慢のお母さんだったんだ」
うん! とリュッカは万遍の笑みで言ってくる。
「お母さんはとーっても強かったんだよ! いっつもみんなのために頑張ってたの! だからあたしもみんなのためになることをしたいなぁって思ってたんだ」
リュッカが夢見る少女の顔となる。
「レレムでもう活躍してたじゃない。みんな感謝してたわよ」
「ふふーん。あれちょっと嬉しかったんだっ! 私の魔法ってもっと弱っちかったから、七百年前は全然みんなの役に立てなかったんだよね」
「でも創造魔法は使えたんでしょう?」
まあねー、とリュッカは地面を見ながら言葉を続ける。
「お母さんから受け継いだ唯一の取柄かな。本当は回復魔法とか生産魔法が使えればよかったんだけど、あたし当時は適性が低くてさ……。それに、前創造できたのも小人みたいに小さいのばっかりだったや」
リュッカの魔力が飛躍的に向上しているのも少し引っ掛かる内容ではある。
封印を受けた者の能力が飛躍的に向上、あるいは低下したという話は聞かない。
七百年という長い期間ともなれば事例は希少であろうが、少なくとも封印によって中の状態は変わらないというのが今の常識だ。
「この前出したゴーレムは私の身長をだいぶ超えてたね」
「うん! だから少しだけワクワクしてるんだぁ。やっぱり魔法ができるってそれだけ嬉しいじゃん」
まあ、そうね、なんて微笑んでいると、隣からレイナが腕を掴んでくる。
「あ、あたしだって最近けっこう上達してるもん」
レイナがいつものごとく嫉妬してくる。
この場合は魔法の練度の話ではなく、リナにアピールできているかどうかであろう。
「ミコトのおかげで?」
意地悪気に言ってしまう。
「う、そ、それは……。悔しいけど、その通りよ。彼女の言われた通りにしたら、魔法の扱いが見る見る上達したわ。あたしは特に貫通系の魔法に才能があるそうよ」
男どもが二度見、三度見するその綺麗な顔で、唇を尖らせながら言ってきたものだから、リナは胸の奥がキュッと締まってしまう。
――ああ、レイナ、かわいい。
なんて思っていたら、リュッカにそれがバレた。
「あ、リナがデレてる」
「え!? なになに!? 今デレる要素あった!? もっかいやる!」
さっそくリュッカに見つかったものだから、レイナはお祭り状態となり。
隙を見せてしまった自分に後悔しつつ、なんでもない! と言い放って、歩を進めていく。
「あ~ん、リナ待ってよ~、ほらっ! あたしタコ唇だよ!」
「あたしも! 見て見て~、リナ~、タコさん~」
二人して唇を突き出しながらやってくるが、こうもわざとらしくやってくると一切の可愛げがなく。
むしろ鬱陶しいくらいに思うのであった。
「もうちょっと集中なさい! 鵺が潜んでいるかもしれないのよ!」
二人にデコピンをお見舞いしていき、痛がる二人を無視して大岩を跳躍魔法により超えていく。
いちおう子どものリュッカがついて来られるかには気を払ったが、要らぬ心配だったようで。
むしろレイナが若干足を取られていた。
しばらく歩いていくと、リュッカの知っている場所に出たようだ。
道案内に従って、とりあえず精霊の祠を目指すことにする。
だが、ややもすると違和感を察知した。
収差演算はだいぶ身についてきたもので、ミコトが言っていたようにずっと続けていると息をするようにできるようになったものだ。
目や耳で情報を得るよりも、こちらの方がよっぽど早いし情報量が多いため、今ではむしろやっていないと周囲が気になって仕方がなくなる。
そんなリナのアンテナは何か得体の知れない異常を伝えてきたのである。
手を掲げて全員に停止を示し、何事かと前方へ視線をやっていると――、
明かりが見えた。
ほんのりとした蝋燭のような色。
それは徐々に徐々に大きくなっていき、やがては周囲を照らし出すほどの光りとなり。
水あめのような高粘体が熱と光を発しながらこちらへと迫ってくるのであった。
「溶岩流!? こんなところにまでっ!」
「どうする? 凍らせて行く?」
迫りくるマグマは流れこそ早くはないものの、ジリジリとこちらに迫りつつある。
この道を進むというのであればこれらを凍らせて進むしかないが、魔力とて無尽蔵ではない。
進んだ先がマグマだまりとなっているのであれば、精霊の祠とやらはとっくに焼き尽くされていることであろう。
「別の道を進むわ。リュッカ、道案内をお願いできる?」
「うん。でも、精霊の祠には他の道から行けないの。どこに行く? もう行く当てがないけど」
「この前行ったあなたたちが住んでいた場所を目指しましょう」
わかった、というリュッカの言葉を聞いていると、レイナから忠告が入る。
「リナ、このマグマ、進む速度がどんどん早くなってるわ!」
「わかったわ、みんな急いで!」
速足で元来た道を戻りながら、分岐路をリュッカの指示に従って進んでいく。
なのに、引き離したはずのマグマがどんどん迫ってきており、明らかに勢いが増している。
辺りは土と地中生物の焼ける匂いが充満しており、光魔法が必要ないほどの光源がついてきていた。
「リナ、こ……っち……!?」
次の分岐を進もうとしたところで、リュッカから唖然とした声が漏れ出る。
その足は止まっており、何事かと進行先を見ると、そちら側からもマグマが迫ってきているのだった。
「行けないわね。仕方がないわ。こっちへ行くわよ」
分岐道のもう片方へと走りながら進んでいく。
「この道はどこへ続いているの?」
「わからない! こっちは行っちゃいけない道なの! 霊魂の迷宮は行っていい道といけない道があって、いけない道は進んだことがない」
脂汗の混じった声に、リナは最悪の事態を想定する。
内部構造を常に変え続ける迷宮における進んではいけない道。
それが意味する可能性はだいぶ限られてくる。
しばらく逃げ続けていたのだが、逃げても逃げても溶岩との距離は開かず。
むしろこちらの疲労が溜まっていくばかり。
なんて思っていたら、前方に――
「鵺……!」
その巨体でこちらの行く手を塞いでおり。
殺意を纏うその姿は恐怖そのものかのようで。
「突破するわ!」
「【サモン エレメンタルゴーレム】」
【フォトンセイバー】を片手に、ゴーレムと並走しながら奴へと突貫。
すぐ後ろにリュッカとレイナが続く。
「【スパイラルレイ】」
「【ペネトレイトアイスランス】」
リナの曲光魔法と、レイナの貫通氷槍が空を翔け。
鵺はいずれもを避けてこそいるが、そのまま突っ込んでくるリナたちには後手。
光剣を振り回しながら、側面をすり抜けていく。
リュッカはゴーレムをそのまま使い捨てるようだ。
鵺の尻尾でズタズタにされてしまい、そのまま光の礫となって消えていくも多少の時間は稼げた。
リュッカが抜け、レイナもあと少し。
――よし!
「【アトミックブラスト】!」
強衝撃波を放って、無理矢理に距離をこじ開け、
「【アイスウォール】」
氷の壁を創り出して、鵺を向こう側へと閉じ込めてしまう。
これとてただの時間稼ぎにしかならないが、ないよりはマシだ。
「よし、行くわ――」
言おうとして、絶句してしまった。
レイナが血だらけとなって倒れていたのだ。
「ごめん、後ろ脚に、やられ、ちゃったや」
強がりを言うためかレイナは笑っているが、その顔は冷や汗にまみれている。
傷の状態はかなり悪い。
横腹が大きて裂かれていて、治療が遅れれば死にいたるであろう。
だが、ここで治療なんてしようものなら、薄壁一枚向こうにいる鵺の餌食となるだけだ。
「置いて、いって、リナ。足手まとい、なんて、ごめんだわ」
「いやよ! 立ちなさい!」
彼女の肩を持って無理矢理に立たせる。
それだけで多くの血が流れ出てしまい、レイナの苦痛にまみれたうめき声が聞こえてくる。
「痛い、痛いよ、リナ」
「走るのよ、レイナ!」
彼女の顔に浮かぶ脂汗を見れば、どれほどの痛みを感じているかは考えるまでもない。
それだけで心を鋸で削られているかのような思いをしてしまうが、こんなところに彼女を置いていったら、リナは一生それを後悔してしまうであろう。
ぼたぼたと血を流す彼女に治療魔法をかけながら、それでも歩みは止めない。
「レイナ、頑張って! 絶対に死なせなんてしないから!」
「痛い。リナ待って。ちょっとだけ待って。ホントに痛い、痛いよぉ」
レイナが涙目となりながら、腰が引けていく。
裂かれた体を無理矢理動しているのだから、傷口をやすりで削っているようなもの。
「ダメよ。今止まったら鵺に追いつかれる!」
激痛で足が動かなくなっていくレイナを無理矢理引きずっていく。
後方で氷壁が破壊された音が聞こえてきて、さらに焦りが増す。
「【サモン サンダーバード】 行って!」
リュッカが創造体を後方へ送り込んで時間稼ぎ。
なんて思っていたら、進む先も後ろと同じ色に光り始めた。
折れそうになる心を何とか保ちながら、レイナを横たえて迎撃態勢を整える。
「リナ、前からも溶岩が来てるわ」
「わかってる、止まって! ここで食い止めるわ!」
「で、でもそんなの――」
「わかってる!」
自分の声が震えそうになるのを必死に堪える。
冷凍魔法によりマグマを固めていくことは可能だ。
だが、そうしてしまうと通路が塞がっていき、やがては八方塞がりとなってしまうであろう。
前方にマグマ、後方に鵺、しかも鵺の後方からも溶岩が迫っている。
おまけにレイナは瀕死状態。
「リュッカ、冷凍か水冷魔法は使える?」
「ごめん……。そっちは適性がないの……」
「そしたらレイナを治療してて」
迫るマグマへ冷凍魔法を乱雑に放って、静かにこちら側へとやってきた鵺をねめつける。
レイナがすぐ後ろにいるんだ。
絶対に負けられない。
その意気や刺し違えてでも殺してやるというもの。
狭い洞窟で互いに睨み合い、今か今かと殺し合いの間合いをはかり。
次の瞬間――
地面が爆ぜた。
踏み込みの強さよりそう錯覚するほどに。
瞬き一つで距離が死んで激しい打ち合いを始める。
スピードこそ相手が上回っているものの、技量ならばリナだって負けはしない。
これまで戦ってきた場所のようにここはそれほど広いわけでもないため、相手は素早さによる翻弄が使いづらくはある。
正面からの打ち合いともなれば、リナにだってやりようがあるのだ。
「【フロストジャベリン】」
無数の氷塊棘を飛ばしながらなおも斬り合う。
身体中に傷が増えていくも、そんなの無視。
こんなのレイナの痛みに比べればどうということはない。
「リナ! マグマが!」
「【アイスクラスト】!」
氷弾を振り返りもせず後方に放ったが、そのわずかな隙に――
「がぁぁっ!! ……あぅぐぅっ!」
尻尾が左腕に被弾。
腕の骨は完全に粉砕されてしまったが、腹に攻撃をもらうところをガードできたので良しとしよう。
左腕をだらりと垂らしながら、鵺と再び距離が取れたので睨み合い。
鵺の後方から迫っているマグマで奴を倒せるかもという淡い期待を抱いていたが、あろうことかそのマグマが鵺の体からも溢れてきている。
この魔獣は溶岩系の魔法まで操れるというわけだ。
負傷したことで均衡の取れていた戦力バランスは一気に鵺側へと傾いてしまった。
次の打ち合いでたぶん自分は死ぬ。
二人を助けるためには次の攻撃で相手を倒さなければならない。
ならば、決死の覚悟で刺し違えて見せる。
そう心に決めたリナは、最期とばかりにレイナの顔を見て笑みを差し出す。
それだけで何をするかを悟ったレイナは
「ダメ! やめて! リナ!」
叫ぶも時すでに遅し。
相手はすでに地を蹴っている。
飛び掛かる鵺にリナは自爆魔法の魔法陣を展開。
――レイナさえ生きてるなら、もう思い残すことなんて……
「リナ! 上だ!」
魔法を唱えようとした瞬間、声が降りそそいだ。
誰かと思って視線をあげると、そこには、
ミコトがいた。
少しだけくぼみがあって、そこから上方の抜け道があるようだ。
それを見て瞬時に判断。
「リュッカ! 掴まって!」
即座に彼女らの元へ戻って、レイナを抱き上げる。
「【サモン ホーリーペガサス】」
リュッカが聖獣を捨て駒にして時間を稼ぐ。
「いくわよ! 【アクセルバースト】!」
三人分の体重にいつもの加速度は得られない。
鵺がホーリーペガサスをズタボロに引き裂いてこちらへ。
その殺人的な爪が迫る。
目算するにあと一歩鵺の方が早い。
――あとちょっとなのにっ!
二人を投げて、捨て身をしようとしたところへ再びミコトの声。
「レイナ! 訓練通りやれ!」
「【ミーティア・エンペラー】!!!」
呻き混じりの詠唱から、空気が唸った。
幾重もの真空の槍が生成して、それが鵺を襲っていく。
その数、十や二十ではきかない。
さすがにひとたまりもなかったのであろう。
鵺はやむを得ず攻撃を諦めて、レイナの魔法を回避していく。
ギリギリミコトのいる位置にまで届いたところですぐさま振り返って、【ストーンウォール】を何回も重ね掛けした。
これとて鵺の力量であれば破壊できるであろうが、あの場所にはすでにマグマが通路の前後から迫っていたので、壁を破壊するだけの猶予はないはず。
命からがら逃げ延びることができ、リナは大きく息を吐き出しながら、座り込んでしまうのだった。




