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森の創造館の主は、今日も騎士を癒している  作者: 桜桃
癒しの場所を守り続けます

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第16話 僕と危機察知能力

 翌日。


 体の重さはだいぶ抜けていた。

 だが、胸騒ぎは消えていない。


 胸の奥に、小さな棘が残っているような感覚。

 ベッドの上で胸元を押さえたまま考えていると、クニーが部屋に入ってきた。


『大丈夫か?』


「あ、クニー。うん、大丈夫だよ」


 心配をかけても仕方ない。

 そう思って体を起こし、ベッドから降りる。


 ……少し、ふらつく。


 熱はない。頭も痛くない。

 体調不良とは違う。


 前世では病院通いだった。

 だからこそ、自分の体の異変には敏感だ。


 これは、体の不調じゃない。


 ――空気だ。


 周囲の何かが、身体に影響を与えている。


 電波?

 いや、森の中だ。そんなはずはない。


 電柱もなければ人工物もない。

 低周波でもない。


 では、何だ。


『クリエント、本当に平気か? 体調がすぐれないのではないか?』


「いや、そういうわけじゃないんだけど……」


 言葉にできない違和感。

 体が、思考より先に何かを察知している。


『そうか。……絶対に、無理はするな』


「体調不良ってわけじゃないんだ。本当に……。だから、大丈夫だよ。心配かけてごめんね」


 心配をかけてしまった。

 本当に大したことはない。違和感があるだけだ。


 でも、少し急いだほうがいいかもしれない。


 何かが、僕の知らないところで動いているのは、多分本当だ。


 それなら――


 僕は絶対に、この館を守り切らなければならない。

 リヒトさんの癒しの場所を。


 いや、守らなければならない、ではない。

 守りたい。僕が、絶対に。


 ――ポスッ。


「え?」


 額に、柔らかな感触。


 クニーが思いきり跳び上がり、前足を額に当てていた。


 ……すごい跳躍力だな。


『まずは落ち着くのだ。慣れぬ気配に身体が反応しているのだろう』


「あ、ごめん。焦ってたかなぁ?」


 頬を掻きながら聞くと、クニーは頷いた。


『謝ることではない。ただ、今日は館を開けない方が良い。嫌な気配が混じっている。姿を隠す術も施そう。ご主人様にも連絡を取る』


「ありがとう」


 ここまで言われれば、休むしかない。

 開いていても、客はほぼリヒトさんだけだ。


 もし来てくれたら申し訳ないが、無理に迎え入れても心配させるだけだろう。


『横になれ』


「うん……」


 再びベッドへ。


 身体は軽いのに、胸だけが重い。

 今日は、眠ろう。


 ・

 ・

 ・


 クニーは、クリエントが寝息を立てたのを確認すると、静かに部屋を出た。


 廊下を駆け、客間を抜け、二階へ。

 窓を覆い、テーブルの上に黒い帽子を置く。


 赤い石が埋め込まれた、リボン付きの帽子。

 赤い石に映る自分の顔を見つめる。


『――ご主人様、お時間をいただけますか』


 呼びかけると、赤い石が歪み、光を放った。

 天井へと光が伸び、やがて一人の少年の姿が浮かび上がる。


 スカイブルーのウルフカット。

 映像のように揺らめきながら、笑みを浮かべている。


『クニー、元気そうだねぇ』


『ご主人様こそ』


 クニーは兎の姿のまま器用に腰を折り、敬礼する。


『それで? わざわざ呼ぶなんて珍しいじゃないか』


 映像のように揺らめきながら現れた少年は――サモス。

 世界最強と呼ばれる召喚士。


 人前に姿を見せることは少なく、動くときは召喚獣や人を使う。

 穏やかに見えて、その本質は底が知れない。


『主の件でご相談が』


『ああ、分かっているよ』


『……まだ、何も申し上げておりませんが』


『クリエントが体調を崩した。ただの体調不良じゃない。そうだろう?』


『……はい』


『仕方ないねぇ。ツェダリア国に“脅威”が迫っているから、それを感覚的に察知してしまったのだろう』


『脅威……』


『今回は少し大きいよ。オルレアン家も動いている。それでも、もしかしたら止めきれないかもしれないし……僕も、そろそろ動こうかなぁ』


 言葉とは裏腹に、サモスは楽しそうだった。

 これから起きる混乱を、待ち望んでいるかのように。


 クニーはそれを咎めない。

 いつものことだと、鼻を鳴らす。


『私は、どう動けば』


『今のままでいい。クリエントを支えてあげなさい。外は僕が処理する』


 そう言うと、サモスは一方的に手を振り、映像は途切れた。


 光が消える。

 静まり返った空間。


 クニーは帽子をかぶり直し、天井を仰ぐ。


『……始まる、か』


 森の外で、何かが動き出していた。

ここまで読んで下さりありがとうございます!

出来れば次回も読んでいただけると嬉しいです!


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よろしくお願いします(*・ω・)*_ _)ペコリ

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