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第九十三話 攻略!! 温泉ダンジョン


 再び最下層を目指して突き進む事一時間。


 ほとんど大きなイベントが無いままに地下十三階まで進む事が出来ました~。


 驚いたのはここまで下りて来たのにまともな採掘ポイントが見つからなかったことかな?


 鉱山型ダンジョンでここまで何もないのは逆に驚きだぞ。


「ここまで来てるのに碌な採掘ポイントは無し。俺が探してるのにここまで見つからないってのは凄い事だよ」


「いつもはすぐに見つけちゃうのにね」


「魔物の種類は変わってるみたいだけど、ほとんど後ろ姿しか見えない。いつも通りだけどさ」


 ダンジョン自体にも大きな変化はないし、初めはループしてるんじゃないかと疑った位だよ。


 間違いなく下に向かってるっぽいし、小さな変化は所々にあるんだよね。


「しかし、ここまで不味いとフロアボス問題は杞憂かもしれない。わざわざ下りて来る価値もなさそうだし」


「小さいレア鉱石でしたら上の階でも出ますもんね」


「あのサイズのレア鉱石を搔き集めるのは流石に精神的にきそうだけど……」


 闇魔法に支配でもされていない限り、採掘するのを投げ出しそうなレベルだ。


 米粒サイズのレア鉱石が、一日採掘して一つか二つ。


 正直、鋼の精神を持って無けりゃ数日で心が折れそうだ……。


「流石にあれを採掘する趣味はないかな。五階あたりだとそこそこ出るらしいけど」


「あまり下の方に行くとレア鉱石の種類が変わるっぽいですね。レア度は低くても、人気のある鉱石は高いらしいですよ」


「神銀や魔銀辺りに混ぜると能力が飛躍的に上がる鉱石があるそうです。名前は銀光晶(ぎんこうしょう)でそれが出るのがたしか、地下三階……」


 純度が高い方がいいって噂される魔銀とかの性能をあげるレア鉱石。


 俺も調べてみたけど、耐久力とかがかなり変わるらしいね。


 流石に攻撃力は武器レベルが上がらないとそこまで増えないし、切れ味も大きく変わることは無い。


「武器に魔素を流す性質を与えるレア鉱石が輝彩晶(こうさいしょう)。魔道展開式の武器を鍛冶師が作る為には必要な鉱石らしいですね」


 なるほど、あの膨大な必要魔力をどうするのかと思えば、それを何とかする為のレア鉱石があったのか。


 普通は何万も魔力を要求されても困るだろうしね。


 ということは、その辺りの鉱石は俺には必要ないな。


「単体で強力な鉱石もあるけど、魔力消費量の関係で人気が無いんだよね」


 ――――わかる


 ――――喜んでカイトリに持ち込んだら、珍しいだけで価値が無いとか言われることあるよね


 ――――あるある。しつこくアピールすると出禁にされるしさ


 ――――あそこ直ぐ出禁にしやがるよな


 買い取りさんの悪口が……。


 やっぱり一流の業者なんかは厳しいんだな。


「俺が欲しいのは金鋼晶(きんこうしょう)って特殊な鉱石なんだけど、これも人気は無いっぽいね」


「なんですかそれ?」


「高額な鉱石では聞きませんよね? 希少なんですか?」


「あるって聞いてるけど、何処で獲れたかった情報は少ないね。少なくともいつも俺が利用しているような店だと取り扱ってない」


 ヒヒイロカネに近いって言われてるけど、あれより遥かに魔力との融合率がいいらしくて、ナイフサイズの剣を打つ事すらできないって言われてる鉱石。


 金鋼晶(きんこうしょう)をメインで魔道展開式の武器を打ったら多分世界最強の武器が出来る。筈なんだよな……。


「どんな石なんです?」


「俺も小さい鉱石を一度見た事があるだけだしな。何処で獲れたか教えてくれなかったし」


「本当にダンジョン産の物って知られてない物も多いですよね」


 そこなんだよな。


 ちょっと調べたら意外にゴロゴロ出て来るんだよ、希少な何か。


 どこで獲れたか分からない。


 利用価値が分からないから研究もされてない、だから最悪二束三文で場末の販売業者がボロボロのワゴンか何かに並べて売ってたりする。


 当然情報なんてその時点で分かんないから、何処で獲れたなんて情報は残されてないときた。


「ダンジョン肉系は味で値段が割とすぐ決まるから分かりやすいんだけどね」


「薬草系も色々集められてるけど、最終的に無価値って判断される事も多いって話だね」


「そして意外な利用法が見つかって高騰する事もある」


 美容系で使えそうな薬草とか多いんだよね。


 暇になったらその辺りの商品も開発していいかななんて思ってる。


「えっと、次が最下層でこの転移用ポーターがあるって事は、最下層のダンジョンボスはボス部屋型?」


「みたいだね。本気でここまで碌な物が無かったから、八階のあいつは永久放置でいい気はする」


「鉱石ひとつないって珍しいよね」


 今回は俺がダンジョンに潜って一番実入りの悪い探索になる気がする。


 光雷獣(ライジング・ビースト)の素材はデカいけど、あの素材を使うような武器なんてもう必要ないだろうしね。


「最下層の地下二十階まで潜ってきても本気で何もなし。最下層にいい採掘場所でもあるかと思えば本気で何もなかったよ」


 あの魔族は何でここを拠点にしようと考えたんだ?


 もしかして、価値があるダンジョンを占拠したりするのが例の神とやらの契約に抵触するのか?


 だから本気で最下層までほとんど無価値なこのダンジョンを拠点にした。


 ありえなくはないけど……。


「あ、何とかここは掘れそうだ」


「ここまで潜ってきてやっとですか?」


「今回の配信って本当に何もありませんでしたよね」


 ――――光雷獣(ライジング・ビースト)戦が無かったことにされてる件について


 ――――普通はあれだけでもありえないレベルなんだけど


 ――――やっぱり感覚が狂ってるよね


 俺もそれは思うけど、でも普通の配信でもここまでイベントが無いと視聴者減るんだけどさ。


 なんとな~くドローンのカメラが俺じゃなくて玲奈(れいな)達を映してる事が多い気がする。


「……おおっ!! 金鋼晶(きんこうしょう)が出たよ!! しかもこんなサイズの鉱石が」


「それ、見た事がありますけどかなり安い鉱石ですよね?」


「あ、わたしも見た事あるかも」


 ――――俺も見た事ある。買取拒否られた鉱石だ


 ――――ワゴン鉱石?


 ――――それそれ。試しにそれで剣とか打とうとして大事になる奴


 ――――馬鹿みたいに魔力と生命力を要求するんだよな。


 分かってるよ。


 というか、これ売ってるの?


 今度調べて纏めて買いあさってやる!!


「という訳で何事もなくボス部屋前。本気で午前中で片付きそうだ」


「戦闘も一回だけでしたしね」


「あの光雷獣(ライジング・ビースト)は強敵だったんだろうけど、あんな感じだしね」


 おそらくもう討伐される事が無いフロアボス。


 相当に強いし経験値もおいしいんだけど、倒すには条件が悪すぎるよな。


 一般的に見ればキッチリ平均的なドロップがあれば美味しい相手ではある筈。


 雷対策と防御対策、それとトドメを指す為に強力な魔法か何かをひとつ。それで倒せる相手だしさ。


「さてと、このダンジョンボスは何なのか?」


「メタル系の虫型魔物?」


「もしかしたらゴーレム?」


 俺もゴーレム系だと思うんで、多分桜輝(さくらぎ)さんが正解。


 元々このダンジョンの魔物ってゴーレム系が多い筈なんだよね。


 もしかして、あの魔族がこのダンジョンの魔物出現率か何かをいじった?


 魔族ってそんな真似もできるのか?


 冒険者の状態が普通じゃない事を周りにバレさせないように、冒険者と魔物で定期的に戦闘とかさせてる奴だしな……。


「それじゃあ正解発表。正解は~」


「えち……、じゃなくてメタルゴーレムでした~」


 ――――コメント欄が一瞬、例の会社名で埋め尽くされた件について


 ――――あれは仕方ない


 ――――そしてほぼ空気なメタルゴーレム


 というか、このメタルゴーレムも鉱山型ダンジョンでよく見かけるとはいえそこまで強そうには見えない。


 そういえばあの魔族、本来のフロアボスをガラクタとか言ってたしな……。


「このゴーレムは防御特化型のパワータイプですね~。厄介な相手ではありますが、大体この辺りにコアがあるのでこれを破壊して終わりです」


「説明がてら破壊されるゴーレムがかわいそう」


「チュートリアルよりひどい何か」


 仕方ないじゃん。防御特化型なんて本当に鈍重なんだよ。


 メインの武器は右手に握りしめてる超巨大な棘付きハンマーだし、それ以外には碌な特徴が無い。


 アレを振り下ろすまで待ってるなんて暇だしさ。


「さて、あまり面白い場面はありませんでしたが、温泉ダンジョンの攻略はこれで終了です。次回の配信を楽しみにしてください」


「それじゃあ~ね~♪」


「次はわたしたちも戦闘できるといいですね」


 配信終了。


 カメラの電源とか色々確認して特殊インベントリに収納してっと……。これで大丈夫だね。


「おつかれさま~。今回は経験値も入らなかったし、あまりおいしくはなかったね」


「昨日カンストしたのは痛かったし、良さそうな敵もいなかったから」


「途中で死んだフリしてる魔物を倒してもいいんだけど、アレを攻撃するのはちょっとためらうよね」


 知り合いの中でもアレに平気で攻撃をするのは依理耶(いりや)先輩だけだ。


 あの人は割とそういった面があるよな。


 弱ってる敵とかでも容赦なく串刺しにするしさ。いや、冒険者としては依理耶(いりや)先輩の方が圧倒的に正しんだけどさ。


「そういえば、金鋼晶(きんこうしょう)を売ってる店を知ってるって言ってたよね?」


「鉱石を売ってる店だったら、多分何処のワゴンにも転がってますよ」


「見た目が割と綺麗だから、アクセに加工できないか試す人がたま~にいるらしいけど、やっぱり無理でワゴン行きなんだよね」


「特性的には凄い金属なんだけどね。扱いにくいのは間違いないだろう」


 ドロップ的な実入りは本当になかった。今回の遠征は人助けの面が大きかったし、あれだけ多くの人を助けられただけでも十分な成果かな?


 あの旅館も最高だったしな……。今度から息抜きに旅行ってのもいいかもしれない。


「それじゃあ帰ろうか。明日は例のバーベキュー大会だし」


「あれは楽しみだよね。今回は気合を入れて食べるんだ~」


「メインはやっぱり古龍のステーキ?」


「そうなるだろうね。他にもいろいろあるけど」


 かなり下拵えをして臭みを抑えた古龍の肝を焼いて食べるってのはどうだろう?


 若返りの薬の材料でもあるけど、他にも効果は高そうだしさ。


 その辺りは帰ってからかな?


 明日、準備の為にもう一回古龍を倒すし、その時にいろいろ肉が追加できるだろうさ。




読んでいただきましてありがとうございます。

楽しんでいただければ幸いです。

誤字などの報告も受け付けていますので、よろしくお願いします。

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