第73話 帰還
いつも読んでいただきありがとうございます!
今回、話の区切りで短めになってしまいました
一章の終わりという感じでよんでいただけると幸いです
アンガスと今回の事を話しながら上層区を歩いていると見慣れた屋敷が見えてきた
「よし、清十郎。ここからはもう大丈夫だろう」
「うん?屋敷に寄って行かんのか」
「お前ってやつは・・・」
顔を覆いはぁーっと溜息を吐く
「な、なんじゃ?溜息なぞ吐きおって」
「愛しの姫君と会えばどうなるか予想がつくわ!じゃあ、また今度な」
ジト目で睨みながら突っ込むとアンガスは清十郎に背を向けひらひらと手を振りながら来た道を戻っていった
「あやつは・・・」
呆気にとられた清十郎は呟くと気を取り直し屋敷に向かうと見張りの兵士に無事を喜ばれ挨拶を交わし門をくぐる
見慣れた庭を歩いていると玄関の扉が開き意匠を凝らしたワンピースに身に纏い胸元に自分が贈ったペンダントが輝く女性が出てくる
女性の涼やかだが優しい笑みを湛えた顔を見た瞬間、胸の中にしまっていた女性への思いがあふれ理性がはじけ飛び清十郎は本能のままに駆け寄ると女性を抱きしめる
女性は一瞬驚いた様子だったが清十郎を優しく抱きしめかえす
「おかえりなさいませ。清十郎様」
「ああ。ただいま。イリア殿」
清十郎はイリアの髪に顔をうずめイリアの柔らかな香りを堪能する
「あ、あの清十郎様?」
いつまでも離さない清十郎にイリアが困惑の声をあげる
「あ、ああ。すまない・・・」
うずめた顔を離す。イリアの涼やかな顔と潤んだ瞳が目に入る。会いたくて会いたくて仕方がなかった女性。その女性が目の前にいる。清十郎はそっと顔を近づける。イリアも目を閉じてそれを受け入れる、瞬間
「えっと・・・清十郎、そいうのはさ。二人っきりの時でするものだと思うんだ。さすがに妹のキスシーンに立ち会うのはちょっと恥ずかしいかな」
あわてて離れる二人。声のする方を見てみれば、ウェインをはじめミーニャにポーラ、ティリ、ビット、ロムアなど屋敷の面々が全員そろっていた。全員の表情は様々だ
「おかえりなさいませ。清十郎様さっそくやってしまいましたね。イリア様もみんないるのを知ってるのに雰囲気に流されちゃってたった一週間しか経ってないのにお熱いことで」
「ちょっとミーニャ目が痛い!抑えすぎ!目が取れるー!」
「気のせいですよ。気のせい」
ミーニャはにやにやしながらビットの両目を抑えている
「おかーさん、おとーさんはイリアおねーさんと何をしているの?」
「うふふ。あれは仲良くしているのよ。若いわねぇ。私にもしてもらおうかしら」
「ふーん。あたしもおとーさんにしてもらおうかな」
「あらあら。ティリったら」
ティリとポーラはその様子をにこにこと温かく見守っている
「若いとは実にいいものですな。お子がお生まれになりましたら是非、私にも抱かせていただきたいものですな」
ロムアは姿勢をただしカイゼル髭をなでながら一人頷いている
「あ、あの、私ったらどうしよう!」
思わず何を言っているかわからない状態に陥ったイリアはその場に両手を顔で覆いしゃがみこんでしまった
清十郎も恥ずかしくなったが咳払いをして気持ちを落ち着かせるとみんなの方を向いた
「ただいま」
「おかえり」
ウェインが代表して挨拶を返す
「さあ、清十郎、僕は街の噂としてしか聞いてないから詳しい話が分からないんだ。屋敷の中で詳しく教えてくれないか」
「ああ、しっかりと聞かせてやるぞ」
だがその後、ウェインが聞かなきゃよかったと頭を抱えるのに時間はかからなかった
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