第53話 スキル
いつも読んでいただきありがとうございます!
今回は説明要素が強いです
食後、片付けを終えたアンナは後は男2人でごゆっくりとツマミをいくつか作るとそれを置いてさっさと寝に行ってしまった
「くはぁー!飲めんお前には悪いがたまらんな!」
エールがなみなみと注がれた木製の大ジョッキを一気に飲み干しバングリーは唸る
「そんなにうまいのか?」
「ああ!冷えたエールほどうまい物はないな!」
「ふむ。そういうものか。しかしよく飲むな。大丈夫か?」
生前、清十郎は晩酌に一杯飲むくらいの酒はたしなむ程度だ。先ほどから10杯以上は飲んでいるバングリーを見て心配になる
「ああ。こんなもの俺たちドワーフにとっては水と一緒だ
アンナを見てみろ。あいつも俺と変わらず飲んでスタスタと歩いて行っちまったろ?」
そういえばと清十郎は先ほどのアンナを思い出すと納得する
「さてと酔っぱらっていないと言えば嘘になるが昼間の話を聞こうか」
「うむ。その様子を見る限りしっかりしとるし大丈夫じゃろ」
清十郎は頷くとバングリーに剣を打っている時に聞こえた声について細かく伝えていく。話を聞き終えたバングリーは腕を組み頷いた
「清十郎、それはスキルかもしれんぞ?」
「スキルとな?」
「ああ。ひたすら儂のように鍛冶を修練して身に着けていく後天性のスキルと生まれ持った先天性のスキルに大まかに分かれるんじゃ」
「つまりは積み重ねて自力で身に着けた者と生また時から身に着けていた者ということじゃな?」
「そうだ。もちろん後天性のスキルでも素質のない物はまったく物にならんがそれでもそこそこには伸びるだろ?」
「そうじゃな。道半ばで折れていく者も多いがそのあと身に着けた技を生かしてほどほどに生きていく者もおるな」
「うむ。それでだ先天性のスキルには後々、努力で身に着けていくものを手助けスキルが多くあるんじゃ」
「うん?誰でもやろうと思えば鍛冶でも剣術でもやれるではないか」
そこで理解に生き詰まったのか清十郎が首を傾げる
清十郎の世界ではスキルなんてものはなかったが為に理解しがたい話だ
「なんといえばいいんだか・・・。ふむ、いわゆる素質ってやつだ。それが目に見えてわかるのがスキルなんじゃよ」
「おお。それなら分かる」
「よし。なら話をつづけるぞ。それで先天的に持って生まれたスキルは誰でもありふれたコモンスキルと滅多に出ないエクストラスキル、最後に異世界からやってきたもの全員が持っていたと言われるレジェンドスキルに分かれるんだ」
「ふむ・・・。なんだか難しい言葉が並んできたな」
「まぁ、平凡、特別、伝説、って感じだな」
「おお。お主その顔にしてはしっかりと説明ができるではないか」
「・・・お前、俺を馬鹿にしてんのか?」
「誉めてるんじゃ」
清十郎はジト目を向けるバングリーを呵々と笑い流す
「ふぅ。まあいい。話を戻すぞ。コモンは鍛冶や剣術などの適正スキルともいわれるもので憶えやすいとかそんな感じだな。レジェンドは剣聖や戦乙女や賢者などが該当してくるな」
「なんじゃそれは?剣聖なんぞ称号ではないのか?」
「まぁ、そういう意味合いもなくはないが剣聖のスキルは剣術の伸びが凄まじいんだ
あと剣を持っている時に限り力や速さ、器用さがものすごくなる。昔の伝承ではドラゴンを一撃で屠ったとかあるな」
「なんだか奇天烈な話になってきたな」
「お前はスキルも魔法もない世界からきたんだからそういうことにしておけ
で、話を戻すぞ。質問は最後で受け付けるからな。めんどくさいから一気に話すぞ
戦乙女は魔法と剣の両立だな。女限定で発生するスキルなんだが士気高揚や空間魔法に適正があるぞ。あとは力や速さ、器用さがすごくなるのはこいつも一緒か
ただ戦乙女の場合、剣を持っておらんでもその能力が反映されるからな」
そこでバングリーは喉が渇いたのかエールを樽から注いでくると一気に飲み干し話を続ける
「賢者なんかは適正のある属性の習得レベルが凄まじく早くて魔力量もものすごくあるみたいだぞ
ここ最近、賢者のスキル持ちがいたなんて話は聞かないが魔法使用時に威力があがったり魔法操作がやたらとうまくなったりするらしいぞ
レジェンドは今のところ勇者とか聖女とかそういうものだな。詳細はすべて伝承で分からんが聖剣を使ったり神罰って凄まじい魔法を使えたりするみたいだな。ま、レジェンドについてはお前以外に転生者がいないからな。ぶっちゃけよくわからん」
そこで話が一旦終わりなのかバングリーがじっと清十郎を見てくる
「たぶん、その声だがお前が分かっていないだけでレジェンドスキルの可能性があるぞ?」
「む?」
「よく儂らでも武器が語り掛けると比喩するが、あれは音や感触で判断しているものでそんなにもはっきり声が聞こえるのはおかしい」
「ふーむ・・・たしかにそうじゃよな。あまりにもはっきり聞こえすぎる」
「まぁ。とりあえずスキルかもって思っておいて、また何か分かったら教えてくれ」
「ああ、そうするとしよう。まだ奇天烈すぎて話についていけていない部分があるが
おおまかなことは分かった。ありがとう」
「よせやい」
清十郎が礼を言うと恥ずかしかったのか横を向いて鼻を指でこすっている
「爺が照れても可愛くないぞ」
「お前が言うな!」
「ははは。そういえば、エクストラとかレジェンドとか持っていても鍛錬しなかったらどうなるんじゃ?」
「ああ、そういえばそんな話が昔あったな。そこそこに強かったもんだから胡坐をかいてさぼった奴が昔いたんだが魔物の氾濫であっけなく死んだと聞いたな」
バングリーが思い出すように言うと清十郎は腕を組む
「いかに素質を持っていようと鍛錬をしなければ伸びないということじゃな」
「まあ、そういうことだな。ああ、そうそうポーラ殿は巫女というエクストラスキルをもっているから能力の判定に困ったら聞いてみるといいぞ。スキルも見えるらしいけど詳しいことはポーラ殿に聞いてくれ」
「ほう。道理で何事も見透かされた目が気になっていたがそのようなスキルであったか」
「そうか、体感したんだな」
「うむ。あとはイリア殿は嘘を見破るスキルを持っているとか言っていたな」
「あぁ、お前の愛しの姫君か。あれはこの街じゃ有名だぞ。審議眼と言ってな。嘘をついている者が分かるんじゃ。だからお前みたいな嘘のつけん奴に惚れたのかもしれんな」
バングリーは目の前で顔を真っ赤にしている友を見ながら笑う
「ま、まぁ。イリア殿の前では誠実であるように心がけよう」
「そうするといい。さて、難しい話はこれで終わりだ。これからお前の工房をどうするか決めねばならんしお前の世界の鍛冶についても興味があるからな。しっかり話を聞かせてもらうぞ」
「ああ、それはもちろん構わんぞ。是非よろしく頼む」
「なら改めて乾杯!」
「「乾杯!」」
木製のジョッキを2人はぶつけあうと片や酒、片や果実水でありながらも楽しい一晩は過ぎていった
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