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第11話 国々と貨幣の価値

後半説明回です

ブックマーク、評価をしていただいた方、ありがとうございます!

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 あの後、ミーニャに促され清十郎は朝食に向かうとウェインがにこやかにすわっておりイリアとビットはすでに席に座っていた

 清十郎は席に案内される


 ちょうどイリアの対面だ

 ビットは仏頂面を隠そうともせず清十郎を一瞥もしない

 それはわかる。しかしイリアも先ほどから清十郎と目を合わせようとしない


(ううむ・・・これは失敗したかもしれぬ)


「おや?みんな何か雰囲気が固いね

 なにかあったのかい?」


 清十郎がどうしたものかと思案しているとウェインがにこやかに訪ねてくる


「・・・・ふん」


「・・・なにもございませんわ」


「いや、とくにはないぞウェイン・・・」


 三者三様に答えを返すがウェインが首を傾げる

 とそこに爆弾を投下する


「ふーん。てっきり僕は清十郎とイリアが仲良くなってそれにビットが不貞腐れたと思ったが・・・

 いや、清十郎とイリアに限ってはもっと親密になったのかな?」


「違います!」


 にやにやとするウェインにイリアが強く否定する


(なぜだろう・・・いま心が刺されたように痛んだぞ)


「ほらほら。イリアがそんなこと言うから清十郎が傷ついているよ」


 清十郎の顔にハイライトがかかっていたような暗い顔をしていたことに気づいたウェインが茶化す


「え!あ、いえ、その、ちがいます!!」


 清十郎の顔をイリアは見るとしどろもどろになりながら顔を赤くして下を向く


「ははは。朝から面白いものが見れてよかったよ

 さぁ、朝食にしよう」


 ウェインは笑いながら朝食を促すことによってみんなが食べ始める

 朝食はコーンポタージュにオムレツ、パンであった

 やはり米はないかと清十郎は落胆するがこれらも初めて食べるものでとてもうまく不満はなかった

 ビットがさっさと詰め込むように食事を終えるとそそくさと食堂を後にする


 ウェインとイリア、清十郎は食事を終えるとメイドが淹れた紅茶を楽しんでいた


(今朝のイリア殿は美しかったのう)


 紅茶を口にしながら今朝の出来事を思い返しているとウェインが声をかけてくる


「くくく・・・清十郎」


 うむ?いかがいたした?


 清十郎がウェインを見ると笑いをこらえており周りに控えているメイドたちも苦笑いをしている

 その中にミーニャの姿をみつけたがミーニャはこれでもかと甘みを詰め込まれたような複雑な顔をしていた


「声にでてるよ。イリアをみてごらん」


 ウェインに言われてイリアを見た時、イリアは下をうつむき顔を首元まで真っ赤にしていた


「し、しちゅれいします」


 イリアは噛みながら挨拶をすると慌てて席を立ち小走りで食堂をでていった

 清十郎は恥ずかしさのあまり頭が真っ白になり止めることもかなわずそのままイリアを見送る

 ウェインは面白いものをみたとでも言いたげに優雅に紅茶に口をつける


「ところで清十郎」


「な、なんでござろう」


 清十郎の心は恥ずかしさのあまりに嵐のように荒れていた

 落ち着こうと紅茶を口にする

 そこにまたまた爆弾を投下するウェイン


「イリアを嫁に貰ってくれる?」


 ブハッと紅茶を噴き出す清十郎


「ごほっごほっウェイン何を言うお主!」


「だってもう見ればわかるって。僕は兄として許すよ」


 ウェインはにこやかに笑っていてどこまで本気かわからない


「まあ、考えておいてよ。さて、僕はこれから仕事に行くからあとのことはミーニャに任せたよ」


「はい。お任せください」


 ウェインはそういうと清十郎の肩をポンっと叩き部屋を出て行った


 残された清十郎は心を落ち着けるのに時間がかかったのは言うまでもない



 食後、清十郎は部屋へ帰るとミーニャが袋と巻物を抱えて部屋へと入ってきた

 そこにイリアの姿はない


「イリア殿はいかがいたした」


 ミーニャは部屋へとはいり机の上に袋と巻物を置くとジト目で清十郎を見る


「どなたか様がとんでもないことを言われるものですからイリア様はお部屋に閉じこもってしまわれましたよ」


「そ、そうか・・・それはすまぬことをした」


 ミーニャに嘆息しながらおかげで仕事が増えましたと小言を言われるとさすがに清十郎も申し訳なさでいたたまれなくなる

 ふぅっとミーニャは壁に巻物を広げて張り終えたところで清十郎を見る


「すぎたことを申しても埒があきません

 気を取り直してこの世界のことを順番にお教えいたします」


「よろしくたのむ」


 清十郎は気を取り直して居住まいを正す

 ミーニャはテーブルの上に袋の中の物を取り出す


「これはこの国で使われているお金で貨幣と言われています

 これらは教材用の見本ですので実際には使用できませんよ?」


 ミーニャはイタズラ気に笑うと出された硬貨に指をさしていく


「こちらが価値の一番高い虹貨そこから白金貨、大金貨、金貨、大銀貨、銀貨、大銅貨、銅貨

 の順に価値が低くなっていきます

 一般的な家族がひと月に生活するのに大体、金貨2~3枚必要といえばわかるでしょうか

 ちなみに私のお給金は大体それくらいです」


「なるほどしかし国が違えばその貨幣の価値も変わるのではないか?」


 清十郎は前世を思い出していた

 貨幣に含まれる鉱物の含有量で変わる価値

 各国で発行されておりややこしかったのを覚えている


(甲州金の信用はたかかったがのう)


 前世に思いを馳せる清十郎にミーニャは首を振る


「百年以前は大小さまざまな国があり各国が争う時代がありました

 その時には清十郎さまがおっしゃられた通り国々で貨幣価値が変わる時代でしたよ

 ですが百年前に現れた異世界者によって世界は変わりました」


「ふむ・・・神聖アルバート帝国か」


 清十郎は昨夜、ウェインから聞いた話を思い出していた


「あら、ご存じでしたか

 清十郎さまがいまおっしゃったられた神聖アルバート帝国、以前はアルバート国でしたが

 異世界者が現れそれをアルバート国が保護したことで時代が動いたのです

 異世界者率いるアルバート国は瞬く間に大小の国々を平定、併呑していきました

 結果、この大陸はアルバート国によって統一され神聖アルバート帝国になったのです」


 と、一旦ミーニャは間をあける

 ミーニャの目は清十郎にこの話と貨幣の関係を考えてみろと清十郎に問いかけている


「統一されたのであれば国々で変わる貨幣価値も統一すればいいということか」


 清十郎の答えに満足したのかミーニャはうなずく


「その通りでございます

 異世界者はその後、帝国の初代皇帝となりますが最初に行った事業が貨幣の統一でした

 その背景には商人との利害関係があったとかいろいろな説がありますがそのおかげで

 商業が発達し利便性も向上したのです」


 ふむ。異世界者は傑物した人物であったのだな


「そうなのです

 初代皇帝の元いた世界では鉄が人を乗せて空をとぶとか鉄に人が乗り馬より早く走り回っていたそうですよ」


「それはすごいのう。どうやったら鉄が空を飛ぶのやら・・・」


「初代皇帝はその乗り物の数々を復元させようとしたみたいですけどいずれも失敗したようですね

 そのこともあって帝国の財政状況は徐々に悪くなったみたいですよ

 決定打は40年ほどまえに初代皇帝が崩御されたことですかね

 次世代へと受け継がれてから帝国は衰退の一途をたどります」


「よくある話ではあるな

 おそらくだがそのあと後継者争いでも起きたのではないか」


 清十郎は前世を思い出す


(織田の殿さまと跡継ぎ殿が逝かれた時は荒れたのぅ・・・)


「清十郎さまのおっしゃる通りでございます

 帝国の当時の皇子は6人おられましたが末子を残しすべてなくなられております

 その末子が今の皇帝ですね

 結局跡目争いは10年続き、その間に6か国が独立したのが現在の大陸の状況です」


 ミーニャはそういうと地図を指さしていく


「大きくは北半分とパール海を挟んで南半分になります

 南半分は神聖アルバート帝国、北半分は残り6か国ですね

 最北はこの国オーランド王国、その左隣にキーマ共和国、右隣がロックバラン王国

 その下がテナン連邦共和国、キーマとテナンに挟まれた最西の国がマリカ教国です


 マリカ教国はちょっと特殊な国でして宗教を元に統治されております

 わが国でもマリカの教えは広まっていますが現在のところ害がないと放置はされております

 宗教は非常にややこしいのでここでは省きますね」


「ふむ・・・宗教はいつの場所でも厄介じゃのう・・・」


 清十郎のつぶやきにミーニャは反応する


「厄介ですか?」


「うむ。宗教で人は死ぬ。仏の教えと称して人が争うのよ

 死ねば極楽浄土が待っておるとな。あれはまことに凄惨じゃ・・・」


 清十郎は前世の一向宗の末路を思い出していた

 その瞳は暗くミーニャはかける言葉がない


「えっと・・・と、とりあえず国に関してはあと東の国ですね!」


 ミーニャが無理やり話を変える

 清十郎を気遣ってのことだろう


「一番東の国はフィラルド共和国といいまして大森林を有しています

 ここは、獣人やエルフといった人間種でないものが大半を占める国です」


「ほう!人間でないとな

 エリザ殿のような者がいっぱいおるのか」


 清十郎が話に食いついたことでミーニャはホッとする


「はい。ここでは人間種は少なく獣人とエルフが主に政治の主権を握っています

 ただ、人間嫌いの国として有名ですのでうちの国の外交官も苦労しているそうですよ」


「ふむ・・・」


 清十郎が残念そうにうなずいたところでミーニャはそれでと続ける


「以上が国々についてですがここで貨幣の話にもどしますね

 当然、商人は国をまたいで商売をします

 ですので帝国が貨幣を統一したことで一番商人が喜んだのです

 結果、今もそのまま当時の貨幣が変わらず使われ続けているのですよ」


 ミーニャはそこまで言い切るとふぅっと息を吐いた


「とりあえず、貨幣と国に関してはここまでですね

 お昼も近いことですし今日はここまでといたしましょう」


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