03
凄い暗い話になってきた。
色々時系列とか合わないように感じられるかも知れませんが、演出の一環です。
白い。
意識が覚醒すると同時に僕はそう思った。それから、何かに憑かれたように歩き出す。
前後左右、一面の白。
どこまでが地面で、どこからが空なのか、その境界線が分からないほどの白さ。
穢れなき白。
真実の白。
そんな言葉が合うような程に。
この世界全てが白かった。
怒りや悲しみ、喜びや嬉しさなどの感情を一切含まないようにも、それら全ての感情をそなえているようにも感じられる、白い世界。
見ていて心が落ち着くような、しかし同時に不安をかき立てられるような白の世界。
影の無い世界。
純白の世界。
こんな世界にいる人は僕ただ一人。そう直感しながらも前へ前へと歩いている。
憑かれたように。
……疲れたように。
僕以外の誰もいない世界で。
ー否。
よく見ると、その白い世界に一つの黒いしみがあった。少し小さめの、黒いしみ。
気付けば、あれだけ白かった世界は黒いしみだらけになっていた。
そしてそれらしみは、段々、段々と滲むように広がって行き……。
しみだらけとなった世界で、僕は確かに誰かとすれ違った気がした。
僕以外の誰もいない筈の世界で。
◆
いつもと変わらない朝が来る。
それがどれほど幸せな事なのか、事だったのか、今の僕にはわかる。
あの日以来、僕は目覚ましで起きることが無くなった。
目覚ましがなる頃には、既に起きていて目覚ましの音で自分が起きていた事に気付く。
そんな生活になっていた。
きっとこれからもこのままなのだろう。
ただ無意味な時が過ぎてゆくだけ。
しかし現実は無慈悲だ。
僕の意思なぞ気にもとめず辛く悲しい朝は毎日やってくる。前を向くことなど当分出来そうになかった。
心のどこかではまだ信じているのだろう。頭では理解しているつもりでも、
心が追い付いていないのだ。
今更悔いても余計に悲しみが増えるだけだと割り切れるだけの覚悟は、僕には無い。
自分の仕事を思い出したように鳴り出した目覚ましを止めようとして気付く。
……どうやら今日も、泣いてしまったようだ。
そして一日が始まる。
「…でだな、今出てきたコイツをさっき計算して出てきたコイツと掛けると、…コレが答えになる」
「っと、もう時間か。それじゃ、今日はここまで。各自で復習しとくように」
「…起立、気を付け。…礼!」
『ありがとうございました』
いつもどうりの教室。いつもどうりの授業。そして、いつもどうりの先生とクラスメイト。
全てがいつもどうりで、やはりアレは夢だったのかと、そう思い込み現実逃避し
「おい、○○!ちょっと職員室来い!」
ながら授業の片付けをしていると、先生に呼ばれた。
途端、集まって来る好奇の目。
中には面白がって、
「…ちょっと、あのウワサ、ホントらしいよ?」
「嘘!信じらんないー!」
「でも見てみろよアイツの顔…アレだろ?」
「ちょっと男子声でかい!」
「あははははは!」
なんて言う奴らもいる。
僕はクラスの空気感に耐えられなくなって、俯き早足で教室を去ろうとした。
「…っ!!」
去り際、厚村と目が合う。
アイツはクラスの中心で、誰よりも愉快そうに笑っていた。
さぁて、面白くなってきた!?




