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2019年度地区大会向けに書いた台本NIGHTMAREが思ったより気に入って、せっかくならと小説にして見ました。面白いと思っていただけたら幸いです。
賑やかな雰囲気に呑まれて上がっていたテンションがいまだ冷めない中、日が沈むにはまだ早いはずの時間なのにお日様が影に隠れてしまった事を、僕は良く覚えている。
その時は、『さっきまでに降らなくて良かったなー』なんて、
そんな事を皆で話したぐらいで。
家で自慢する事を考える事に気をとらわれていて。
その後何が起こるのかも知らずに。
僕はただー。
◆
バタン、という音が出る程の勢いで、ドアを閉める。その音が思った以上に大きくて、軽く驚く。別に僕は暴れて物に当たるような暴力的な人ではないし、むしろ普段なら音が出ないよう極力ゆっくり閉めるタイプなので、つまりそれだけ僕は浮かれているのだろう。では何故こんなにも僕は浮かれているのか、その理由を教えよう。
…明日は遠足だからだ。
もう一度、あえて言おう。
明日は遠足なのだ!
分かるか!?この気持ちが!
分かるか!?この胸の高鳴りが!
遠足があると聞くだけで僕達の心は踊り、おやつはどうしようか?とか、バナナはおやつに入るのか?とか、おやつは、おやつが、おやつに、おやつと、おやつで……。
まぁそこまでおやつの事ばかり考えている訳ではないのだけど。
でも、これでどれだけ僕がこの遠足を心待ちにしていたかはわかって貰えたと思う。少なくとも、冒頭の、話の序盤の序盤であるここまでで、エクスクラメーションマークやクエスチョンマークを多用してしまうくらいには、今の僕はテンションが上がっている。
しかも、僕のテンションを上げている要因はこれだけでは無い。これだけでは無いのだ!
何と驚く事に、僕はあの、柳ヶ瀬 要と同じ班なのだ!!
そう、もうお分かりかもしれないが、僕は柳ヶ瀬が好きだ。
正直、同じ班になれるとは思っていなくて、班が同じだと知った時は少し泣いてしまった。その後、それを見た厚村にからかわれて(コイツも同じ班だった)、ちょっとだけ悔しかった。
と、ここまで長々と話していたが、そもそも僕は寝るために部屋に戻ってきたのだった。
夜もかなりふけてきていて、いくらテンションが上がっていてもそろそろ寝なければ明日にひびくと本能が訴えている。
まぁ要するに、僕は眠いのだ。
という訳で、電気を消し、布団に入り、目を閉じた。
もっとも、あまりにも明日が楽しみすぎて、中々寝付けなかったが。
◆
「よう。突然だが、お前夢ってのは何か、知ってるか?」
前も後ろも右も左も分からない暗闇の中、声だけが聴こえる。
くぐもった、合成された様な声が。
何人かが一斉に同じ言葉を言ったような重なった声が。
「…知らないだろう?特別に教えてやろう。」
僕は動けない。喋れない。
「夢とは、睡眠中あたかも現実の様に感じる一連の心像の事だ。通常、睡眠中は、それを夢だとは認識しておらず、目覚めた後にそれが夢だったと気付く。」
少しずつ暗闇が薄れていく。
「次に、悪夢だが、コレは文字通り睡眠時に見る悪い夢の事だ。現実で、凄惨な物を見たり、体験した事を、夢で何度も追体験する、なんて事もある。」
暗闇が薄れるにつれ、熊のような、あるいは狐のような人形っぽい物が見えてきた。
僕はまだ動けない。口も開けない。そもそも体が動かない。
「そして、夢の中に、……」
暗闇が光で塗りつぶされ、声もだんだん聞こえなくなる。
それと同時に、僕の意識もだんだん薄れー。
ぼやけてる視界に一瞬、黒い車が映った気がした。
更新はゆっくりになりそうです。




