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第31話  自重しない奴ら

 昨日は投稿できなくてすみません。土日に慣れない仕事をしたら、疲労と筋肉痛がひどくて小説書く気になれなかった。

 はぐれ狼狩り。


 ラジャスの話を信じるなら一流冒険者でも死者を出し、2匹以上の群れなら全滅必至の危険な狩り。


 それを、昨日登録したばかりの新人冒険者を捕まえて、ナニ言ってやがるんだとは思うが、表面上は取り繕って言う。


「お手伝いですか?私は、そんな危険な狩りに同行できるような、実力を持ち合わせていませんよ?」


「ああ、勘違いしないで。ヒロに戦ってもらうつもりはないわ。

 貴方の実力は、ラジャスの攻撃を無反応で食らってる時点でよくわかってるわ。」


「そう言えば、ホモのおっさんにケツを撫でられても無抵抗だったな。

 新人の女性冒険者でも、もうちょっと何とかするぞ?」


 いや、あんなの反応できないし。

 ホモの件は、痴漢にあった女性が、抵抗できずにされるがままになる気持ちがよくわかったぞ?


「ヒロに手伝ってもらいたいのは、はぐれ狼を狩った後の毛皮の剥ぎ取りと町への運搬、それに依頼を完了するまでの間の私達への食事の提供ね。

 戦闘への参加は一切しなくていいわ。期待してないから。」


「俺達二人で、はぐれ狼でも問題はないぞ。」


 戦力外だとはっきり言ってくれやがる。要するに雑用係が欲しいと。


 戦闘に参加しなくて良くても、それでも危険地帯に態々行くことには変わりないんだよなぁ。

 それに話で聞いてるだけで、実際の実力の程は分からない。

 本当に強いんだろうなぁとは思うけど。


 ダルシャナが言葉を続ける。


「戦闘は問題ないと思うわ、剥ぎ取った後に毛皮を町に運ばなきゃいけないんだけど、それがラジャス一人じゃ難しいのよ。

 物が大きいから引きずってなら持ってこれるんだけど、依頼の品だから粗雑に扱いたくないのよね。

 それで、元々荷運びの手伝いを雇う予定では居たのよね。ただ、この町の冒険者には断られると思うし、どうしようかと思ってたのだけど、ヒロが居てくれてちょうどよかったわ。」


 なんかもう、ダルシャナの中では俺が参加すること前提になってそうな口振りだな。


「それは、狩るまで安全な別の場所で待機して、狩った後に現地に行くというわけにはいかないんですよね?

 引きずるのが嫌なら荷車とかを使われてはどうですか?」


「それだとヒロを呼びに行くのが面倒ね。狩った獲物をそのまま放置しておく訳にはいかないし、じゃあ一人を見張りに置いて、一人を町に回すなんてする方が危険だわ。

 荷車は未整地の原野を行くのには、ちょっと都合が悪いわね。荷物を二人で担いでもらって、何かあったら放り出す方が対処は楽なのよ。」


 いや、もちろん分かるんだけどね。この世界の荷車の車輪木製だったし。

 ちょっとした段差や石で引っかかるだろうし、雑草で空転もしやすいだろうしなぁ。そもそもが整備された道を行くのが前提の道具だろうしね。


 でもなぁ、俺がそんなことに参加したくないんだよな。


「私が居た世界の住んでいた国では争いがなく、戦闘訓練などを受ける人は極々一部の者のみです。

 私の世代では殴り合いの喧嘩すら経験しない者も多い位に平和でした。

 申し訳ありませんが、そんなわた・・・」

「まあ待ちなさい。結論を急ぐ必要はないわ。」


 掌をこちらに向けて突き出し、喋っていたのを遮られる。


「ヒロは自分の現状を正しく理解してるのかしら?

 貴方、客観的に見たら、奇抜な格好をして、珍しい物を持ち、ホモ好みの体格をした、態度のおかしな旅行者よ?

 背嚢も靴も見たことがないのに素材な上、一見小汚く見るのに態度は商人みたいに丁寧で凄く目立つわ。それで戦闘能力が無いなんて危険よ?」


 俺もその辺わかってるよ?いやまて、ホモ好みの体格ってなんだよ!ソッチ方面にモテたくねぇよ!


 俺の態度は、初めて喋る人に対する心の壁なんだよ。いきなりフランクに話すことなんて出来ねぇよ。

 日本でそんな奴居たら、うわ、何だコイツって思うからな。

 俺は徐々に心の距離を縮めて行きたい派なんだ。子供の頃にやりたい放題やって人間関係崩壊させた反動かもしれないが。


「それにここの宿に泊まるのに困るくらいだ、銅貨5枚の金すら無いのだろう?どうやって金を稼ぐつもりなんだ?」


「そうよ、ヒロは生活していく当てがあるの?」


 物を売るのは無理だ、塩すら危ないんだからな。だから冒険者をやるしか無い。


「ホーンラビット・・・」

「それをしたらこの町の冒険者が黙ってないって分かるわよね?」


「ヒロがそっちの趣味なら問題ないぞ。」


「そうね。因みに町の東、農地外周の狩場は人気のデートスポットらしいわよ?出会いを求めて冒険者よく集まってるって話よ。それで、人が集まって頻繁に狩られてるから、ホーンラビットが密集して無くて狩りやすいらしいわ。更に、周辺のホーンラビットを狩り尽くすと、狩りをして興奮した流れで、そのまま草むらで行為を・・・」


「ダルシャナ!それ以上、俺は聞きたくない!」


 俺も聞きたくない。耳を(けが)された気分だ。

 魔獣が出るような所でするなよ~。

 周囲には同類(ホモ)しかいないし、町の産業を握ってるからやりたい放題なんかな。恐ろしい。自重してくれよ!

 想像以上に酷いな。詰んでるか?俺、この町で一人で生きていける気がしません。


 悍ましい話を聞いて、目線を下げ考える俺。はあまじはあ。


「さて、ヒロが私達と依頼をした場合の報酬について言うわ。

 まずは、私達が受けた依頼の配当ね。

 比率は私が2、ラジャスが2、ヒロが1で分けるわ。

 コレは戦闘に参加しない、ポーターへの報酬としては破格よ。

 特に今回は、相手がはぐれ狼と言っても、毛皮を担いで町に戻るだけで、楽な仕事な方よ?


 次に、依頼を達成するまでの間の宿泊費や、移動費用などのパーティで行動するのに必要なお金は、私達で全部払ってあげるわ。

 コレは立て替えとかじゃなく、こちらで経費は受け持つわよ。

 でもコレはヒロが作った料理を食べたり、物資を使わせてもらうからお互い様って所ね。


 更に、お金の持ち合わせがないと厳しいでしょうから契約金として金貨を1枚あげるわ。

 但し、条件として依頼を達成するまでは、私達と行動を共にしてもらうわね。

 何か質問有るかしら?」


 話題を変えて来た。条件は良いようにみえる。でも貨幣価値がわからないのと、ニコニコと楽しそうなダルシャナが気に食わない。

 暗に、ホモに掘られたくなきゃ、良い条件出してやるからちょっと付き合えって所なんだろう。


「依頼の報酬はいくらなんですか?」


「依頼自体は金貨500枚ね。

 まあ、知り合いから頼まれたし、ソミソのフィールドウルフの依頼としては安いわ。

 ヒロが受け取るのは金貨100枚で、そこから税金が引かれるわ。税金は金貨一枚程度だと思うわよ?」


 大金っぽいけど、ダメだ、先に貨幣制度を聞こう。価値が分からない。


「すみません、金貨とか、銀貨とか・・・」


 って事で、話の腰を折って悪いけど聞いた。

 金貨>銀貨>銅貨>鉄貨

   1>10>100>1.000だった。

 その上に更に高額の貨幣が有るらしいが、俺が使うことはないらしいから聞かなかった。ちなみにダルシャナはその高額な貨幣を持ってるらしい。今度見せてもらおう。


 それはさておき、金貨100枚は宿代や、推定で1食鉄貨5枚くらいだろうと思われる食費を考えると、数年は遊んで暮らせそうな大金だな。


 なんか上手く乘せられてる気がして嫌だけど、まぁ、ホモに襲われたくないから仕方ないね。


 決して金に目が眩んだわけじゃない。

 金を受け取る段になったら始末されちゃうんじゃない?とか考えてしまうが、そんな事はもう今更な話だ。気にしない事にしよう。

 と、自分に言い聞かせ、自分で今後の事を考えるのが面倒臭くなった俺は、流れに身を任せ、目の前の美味しい話に乗っかる事にする。


「その条件でよろしくお願いします。」


 と、頭を下げると。


「それじゃあ明日は、はぐれ狼を狩るけど、必要なものはラジャスと相談して昼から買いに行けばいいと思うわ。

 今日はまた珍しくて美味しい料理をお願いね!」


 ダルシャナは上機嫌だ。思い通りの結果にになったからだろうか?

 ラジャスは腰の貨幣を入れてる袋から金色に輝く貨幣を取り出し。


「ヒロ、この世界のことがあまり良く分かってないだろう。

 外出する時は護衛についてってやる。わからないことがあればなんでも聞け。

 相談にも乗ってやる。これから同じ依頼を受ける仲間だ。お互い伝えたいことははっきり伝えないといざって時に困るといけないからな。」


 そう言いながら俺の掌に貨幣を置いた。コレが契約金の金貨だろう。


 言ってることが相変わらずのイケメンっぷりだな~なんて感心してると、そのまま肩に手を置かれて。


「そんな訳だから俺はビールが飲みたい。出してくれ。後ツマミも何か作ってくれ。」


 と、真剣な表情でラジャスに言われ。


「あ、私もチューハイが飲みたいわ。出してね。」


 ついでにダルシャナが乗っかってくる。





 あー、うん。なんか、こうなるのが分かってたような気がするけど、モヤッとするな。

評価・ブクマありがとうございます。この場をお借りして感謝を。


明日の投稿は気分次第。この話も後で見ると修正が必要になりそうで怖い。(眠くて頭が鈍ってる)

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