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第25話 先送りだよ人生は。

普段より少し短いです。

 結局の所はスプーンでカレーを混ぜるのは諦めた。


 スプーンは柄が短いのが致命的だった。

 スプーンの端を親指と人指で力いっぱい握って、ようやく鍋の底に触れるかという状態。そんな状態でかき混ぜていれば、当然熱伝導で金属のスプーンが熱くなり持っていられなくなる。

 それに二本の指で必死に保持してると手が()る。


 何だよコイツ使えねぇな。

 元々鍋を混ぜる為の調理器具じゃないんだが、スプーンに万能性が無いことが悪い。

 そういうことにしておこう。



 仕方がないので箸で混ぜた。今回地球から持ってきてた箸は天削箸。

 天削箸って何だ、って思われるかもしれないが、箸の天辺が斜めに削られてるのが天削箸、四角いのが元禄箸、両端が削られて細くなってるのがらんちゅう箸だ。

 俺は手がでかいから、長い箸を選んで買ってきてた。

 それに割り箸って安いのだと、ささくれ立って嫌だったから、表面が磨かれたようにツルツルなってるのにしておいた。


 コレが良かった。長さがあるからかき混ぜるのに楽だ。

 俺、何で最初スプーンに拘ったんだろう。

 いかにも混ぜやすそうな形をしてるのが悪いんだ。

 よくよく考えたら先っぽ丸くなってるから、底に当たる接地面は狭いんだよな、スプーン。


 そんな風に無駄な努力をしていたら、鍋の容量は8分目くらいに嵩が減って、タマネギはトロトロになってた。じゃがいもがもう少しな感じだな。


 一応アクは掬っておいたけど、混ぜるのに必死になってたからな、結構アクって混ぜるとまた拡散して消えたりもするんだよな。いやそこまでして混ぜる必要があったのかが、今思うと疑問なんだが。

 でも、アクなんてやたら気にするの日本人くらいなんだよ。

 カレーなんか風味が強いから、微妙な差なんてわかんないだろ。


 って事でコレはコレでよーし。




 次の問題はルーを入れてからだ。

 カレーのルーは粘度があるからよく混ぜながら火を通さないと鍋底が焦げる。


 まあ、今まで焦がした事はないから実際どうなのかはわからない。

 シチューでは、冷凍して保存してあったとろけるチーズを足して、チーズが拡散するのが嫌だったから混ぜずに火を通したら、底が焦げそうになってたことは有ったけど。

 俺はカレーの具はドロドロに溶けてるのが好きだから、普段は木べらでルーを入れたらコレでもかと混ぜる。今回は箸だから焦げないか不安だ。


 なので溶けやすいように、先にカレーのルーを包丁で刻んでおくことにする。

 ルーをちょっと濃い目に入れるのが好きなので、一箱とさらに数欠片追加して刻んでおく。

 刻むとカレーの匂いが凄い。そして手がカレー臭い。



 鍋の様子を見てみる。じゃがいもに箸を通すと生っぽい抵抗はなく、崩れる。

 じゃがいもに火が通れば大丈夫、火を止める。

 人参タマネギと豚バラ肉が合わさってすでに良い匂いがしてる。タマネギとじゃがいもが溶けてスープは濁ってる。

 そこに刻んだカレールーを入れる。

 火を止めたのは焦がさない為。箸でぐるぐると混ぜる。

 箸では混ざりにくいけど、刻んだ分だけいつも作ってる時よりもルーが溶けていってる。



 暫く混ぜて、ルーのダマがなくなったら完成だ。蓋をして朝までこのまま置いておく。

 朝、食べる前にもう一度温め直す。


 煮物は冷める時に味が染みる。

 でも40℃まで下げるとそこからは雑菌が急激に繁殖しやすくなる。

 動物の体温に近いほど雑菌が繁殖するので、よく煮込まれたカレーがさっさと食いたいなら、沸騰させて、火を切ったら一時間弱放置、そしてまた沸騰させてって繰り返せば、味はよく染み込む。

 これは肉をホロホロに煮たい時とかにも使える。グラグラと煮続ける必要はない

 まぁ、圧力鍋や保温調理器を使えば楽なんだけどな。



 カレーが出来たので体を拭いてから寝る事にする。

 衣服を全て再生成し、素っ裸になるとタオルを湿らせ体を拭く。


 しかし、カレーのくせにかなり手間取った。

 こんなはずではなかった。さっさと木べらを買わないと煮る料理はつらすぎて作れないな、コレは。

 俺が地球で愛用してたのは竹へらだ。コッチでも竹へらあるのかな?


 まあ、金がないから欲しくても買えない。

 明日の話し合いでなんか金儲けできるタネが見つからないかな。調理器具や食器が乏しいのはキツイ。もっと色々買っておけばよかった。



 体を拭き終えてシャツとパンツを履いたら、ベッドに2枚かかってるシーツを一枚剥ぎ取り、水を二口程飲んで、スマホを持ってベッドの寝袋の上に寝転がる。



 明日はご飯を炊いて、カレー以外にもう一品簡単な物を作ろう。

 ハムエッグでいいかな。焼くだけだし。



 5時50分に目覚ましをセットして、シーツを被って目を瞑る。

 夜でもそんなに気温は下がってない。シーツだけで十分に寒くない気温だ。



 今日は長い一日だった。

 異世界に飛ばされ、ホモにケツを撫でられ、ボディーブローで悶絶し、女からビンタを食らって感謝して、美女からゲップ攻撃をかまされる。


 うん、並べてみるとなんだコレ。一つ起こっただけでも俺の人生の中では大事件だな。


 色々起こり過ぎだろう。考えることも多くて疲れたよ。


 一番ショックだったのは、う~ん・・・やっぱホモとの遭遇かなぁ・・・。貞操の危機を感じるなんてことが、俺の人生で起こるなんて思わなかったよ。


 あ、でもラジャスのゲップも結構厳しい物がある。コレは美女と思うからいけないんだよな。

 でも普段から男と思ってて、うっかりそれが伝わるとまた悶絶ボディーブローが来るんだろ?タチが悪いよなぁ。

 あそこまで女捨ててるんなら、変なこだわりも捨ててくれよ。もう男でいいじゃん。



 はあ、今日はもう考えないようにしよう。明日は良い日になるはずだ。たぶん、きっと。

 最低でも今日よりはマシなはず。



 そう思い込むようにして、意識を意図的に飛ばそうとする。




 明日のことは明日考えたら良い。先送りだよ人生は。

 このパス1は朝食と引き換えに、明日の夜も使える予定だからな。そう考えるとちょっと気が楽だ。


 さあ、さっさと寝よう。

 ブクマありがとうございます。この場をお借りして感謝を。


 コレでようやく初日が終わる。二日目からは多少テンポアップ・・・しないかも。

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