妖精さんにジョブチェンジしました
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独立99日目 朝 モズクワ王国 王宮中庭
俺は飼葉の中で馬の世話をする人を待つ。
「やあ、みんなおはよう!昨日は賊が侵入したようだよ。怖いねぇ~みんなは無事かい~?そうかい!よかったよかった」
「(こいつ・・・馬が友達君か?独り言君か?だが、シンパシーを感じるぞ・・・ちくしょう)」
俺はそんな馬に愛情を注ぐおっさんが背を向けた瞬間に羽交い絞めにし、腰を落とし、耳元でささやく。
「やあ、おはよう!僕は馬の妖精さ!ただ姿を見せることができないから、こうしてるのさ!ごめんね!いつも僕たちに愛情をもって世話してくれてありがとう!君はボクタチのことが好きなのかい?そうなら頷いて、違うなら首を振っておくれよ」
おっさんはコクコク頷く。
「そうかい!ありがとう!うれしいなぁ!おじさんは王宮に住んでるの?それとも王宮に通っているの?
王宮に住んでいるなら、頷いてそうでないなら首をふっておくれよ」
おっさんは頷く。
「そうかい!ありがとう!ということは、王宮内には使用人の住む区画があるということかな?そうなら頷き、違うなら首を振ろう!」
おっさんは頷く。
「じゃあ、おじさんはそこに一人で住んでいるのかい?そうなら頷き、違うなら首を振ってみよう!」
おっさんは首を振る。
「これが最後だ、これが終わったらおじさんに馬の宝物をあげよう!いつものお礼さ!おじさんは王宮内の自分の部屋に家族ですんでるの?そうなら頷き、違うなら首を振ろう!」
おっさんは頷く。
俺はおっさんを締め落とす。
そして、飼葉に優しく寝かせてやった。
「(いい夢みろよ)」
俺は心の中でつぶやき、馬小屋から外の様子をさぐり、庭師が頑張って手入れしているであろう、垣根から垣根を移動する。
馬飼いといい庭師と言い、ワリを食うのはいつも下の人間だ。
そんな風にして、夜からわちゃわちゃしている兵士をやり過ごして、城の正面の垣根まできた。
すぐに城の側面まで移動。
使用人の出入り口やそれに準ずるもの、野外物置やゴミ捨て場を探す。
俺は今、お嬢様が毎日憂鬱そうにお茶を飲みながらため息をつき眺めるであろう、中庭の垣根にもぐりこんでいる。
「(なんで、こう無駄にでかく庭をいじるんだろう。こうやって侵入されるぞ・・見栄ってやっぱ大事なのかなぁ・・・)」
そんなことを考えながら、飛び出す隙を伺う。
独立99日目 昼 ケミナルビ
俺は今、城のベランダの窓の隣に立っている。
目の前には午後のひと時を優雅に過ごす庭園が見える。
俺は眼下に見える庭に兵士がいないのを確認し、再び壁を登り始める。
目指すは上に見える小窓。
屋根裏部屋か?お姫様が囚われているか、嫉妬に狂った王妃が鏡に語りかけているかもしれない。
俺も仲間に入れてもらおう。
贅を凝らした城のガラスの小窓から中をうかがう。
机がありベッドがあり人気はない。ベッドメイクはされていない。
城の位置とこの部屋の様子からこの部屋にいるであろう人物のポジションがわからない。
俺は今のままでは外から丸見えなので、さっさと屋根にあがる。
ケミナルビでもっと高い建物屋根。
もうだれにも見つかることはない。俺はやっと緊張の糸を緩める。
「(ここまで大変だった・・・腹が減ってきた・・・)」
俺の装備はナイフが6本にロープ、丸薬のケース、煙幕のケース、毒の玉のケース、薬のケースだ。
食い物は現地調達だ。
俺は三角錐の屋根を這い、中庭、ベランダ、屋根から見える窓から中の様子をさぐる。
窓を掃除する使用人だけに注意していた。
独立99日 夜 モズクワ王国 王宮屋根
ある程度偵察を終えた俺は夜まで屋根で寝ていた。鳥にだけみつかった。
モンスターテイマーがいたら俺の侵入はバレているだろう。
寝ていたので、お嬢様が憂鬱そうにベランダにでてぼんやりため息をつくのは見ていない。
または、王子ががみがみ文句を言いながら城を移動するのも聞いてない。
はたまた、王様が「お、おうさま・・今は仕事中ですので・・・」と、こんなこと言う掃除中の使用人の尻をなでるイベントも見ていない。
俺は夜闇を利用し、ベランダにおりては部屋をチラ見し、ベランダにおりてはチラ見を繰り返し、目的の部屋を探す。
目的の部屋を発見した。ここまで地味に大変だった。
ときおり、黒装束をしたやつらが同じように屋根にあがってきて交戦した。
3人一組の彼らは、さっさと顔からナイフを生やしで屋根で寝ている。
まさか朝から屋根に俺がいたとは思ってなかったようでサクサク倒せた。
屋根から落ちていかないか、叫び声を上げないか、ただそれだけが心配だった。
ベランダの窓から中を覗く。部屋の中には二人。
一人はデカいベッドで眠っており、もう一人は剣を持ち鎮座している。
「(護衛が女ってなんかエロイな、でも覗いてる俺に気づかないとは・・ガチ愛人か?)」
俺はそんなことを思いながら窓ガラスをゆっくりと溶かす。
窓のカギを外し、窓をそっと開けると同時に加速。同時に左腕を硬化。
「ぞっ!ふぐっ!」
窓が開いた瞬間、俺のほうを向き口を開くがすでに目の前にいた俺は女の口をふさぐ。
咄嗟のことでテンパる女の背後に周り意識を奪った。
武器が床に落ちないように支え、ゆっくりと女を下ろした。
「(ふぅ・・・ザコでよかった)」
俺は何も知らずに眠るおっさんの首に手をかけて意識を奪った。
これから三者面談だ。
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